貴女を腕の中に閉じ込めながら、 違う女の名を口にする。
「ゆみちゃん・・・」
「ゆみちゃんって誰よ?」
貴女は俺と言う衣を剥ぎ取り、 其の儘俺を、 彼方へと蹴り飛ばした。
「ゆみちゃんて誰?」
「知らねぇよ。」
突如出現した濡れ衣に。
俺は惑い、 そして貴女は、 自身の興奮をより一層強くするのだ。
嫌な夢の話は、 其の日の午前中に、 誰かに話してしまうと良い。
そんな格言は、 初めて耳にしたけれど。
どの様な教えであれ、 其れを信じる盲目的な信心が、 力を産むに違いない。
そう想いながらも。
「エッチの最中の話なんて。」 「しかも夢で小坊主とエッチした話なんて。」 「他の人には言えないでしょう?」
俺に対する怒りと愚痴を、 目一杯に詰めて話さねばならない。
そんな夢の話であるにも拘わらず。
貴女が話す事の出来る相手が、 友人では無く、 唯一俺しか居ないと言う事実に。
俺は焦燥を感じて居る。
もし俺に話せない時は、 貴女はどうするんだ。
もし俺に話せない時は、 貴女はどうなるんだ。 |