< 少し意地悪でしたか >
想いの噛み合っていない事を、 お互いに察知しながら。
何度と無く、 切断の機会を伺う言葉が提示され、 何度と無く、 延長へ誘う粘りの言葉が応答する。
「切るね。」
「うん・・・」
早く電話を切りたかった。 早く貴女から離れたかった。
後数十分もすれば状況が一変する事。 俺は其れを知っていたから。
名残惜しかった。 未だ話をして居たかった。
久々に聞ける俺の声を得て、 貴女は離してなるものかと想っていたから。
貴女は知る由も無いのだから。
「小坊主、忘れてるみたいなの・・・。」
切断の後に。
貴女が友に送った文は、 仕方の無い事かも知れないけれど。
俺の想いを知る筈の、 貴女だからこそ。
其の日の範囲内に時が位置する間だけは、 信じて待って居て欲しい。
俺の性格を知る筈の、 貴女だからこそ。
日付の変わる其の瞬間迄は、 想いの詰まった贈り物が届く事を、 信じて待って居て欲しい。
そう願ったのは、 やはり欲張りな事なのだろうな。 |
2003年09月09日(火)
---------- History
|