一日の長さが、 まるで瞬き程の時間に感じる、 気の抜けない一日。
張り詰めた一日に、 張り詰める事を強要された一日に。
無理矢理捻じ込まれた、 緩み。
「ねぇ。」 「9時40分頃私の事強く想ってなかった?」
堅固な筈の石垣が、 崩れ掛けるのを、 必死に支えながら。
恨みを覚えるのも御門違いだと、 携帯を閉じて、 怒りを逃がす溜息を吐いた。
時間指定まで繰り出した、 決め撃ち。
「仕事中、小坊主が居た感じがしたんだもん。」 「小坊主の香がしたんだもん。」
仕事の合間に惚けて居られる、 甘く幸せな職場。
「うぬぼれ、自意識過剰だって?」 「完璧病気だよね?」
俺がこの時間に、 何処に居て何をしていたのかも、 貴女は知っていると言うのに。
病気? 恋の病とでも言うのか?
仕事中に失敗を繰り返して、 泣き言を繰り返したのは、 一体何時の話だ。
貴女は、 自ら原因を作って、 自ら失敗を産み出して、 挙句の果てに俺に泣き付いて、 再び同じ事を繰り返す気なのか?
俺より早く一日の終わる貴女から。 欠かさず届く定時便。
其れを要求しているのは、 俺の方だと言うのに。
俺の一日は、 未だ半日以上残っている。 |