次々と届く状況報告。
「だいぶ家の中が片づいてきました。」 「今日はいろいろ名義変更して大変。」
目の前の雑事を粛々とこなし、 とりあえず視線が前へと向いている様な、 そんな気配と裏腹に。
「親がアドレスそのままとっておいてくれてた。」 「こうなるの予期してたのかなー。」
時折気配を覗かせる、 やり切れない後ろ向きの言葉。
馬鹿言うな。
手塩に懸けて育てた娘の不幸など、 誰が願うと言うのだ。
逞しく在れ。
ただ逞しく在れば、 きっと道は開けるのだから。
落ち着いた頃を見計らって。
いや、 直ぐに落ち着く事など、 あろう筈は無い。
一服して居るであろう頃を、 見計らって。
沢山の気配りと、 心配性をさり気無く詰めた文を、 君に送った。
「元気か?」 「へこたれてない?」
そして。
君のメールの署名から、 苗字が消えた。
---------- References May.09 2003, 「仲間の輪はもう縒れませんか」 |