どんな顔だろうか。 どんな表情だろうか。
決して変わらぬ陰影に、 想像で色付けをして視たけれど。
全く想像が付かない。
動かない顔だから。
何度視ても、 ただ一通りの表情だから。
小さな彼の顔は、 未だ写真と言う変化の無い表情でしか、 俺の視覚に存在していない。
複雑な顔。 寂しそうな顔。
そして我慢の顔。
小さな彼が貴女に見せた表情は、 彼の想いその物だろう。
貴女にとって、 小さな彼が大切な宝物であると同時に。
彼にとっても、 貴女は一番大切な存在。
父が恋しいと言葉にする事は、 母が望まぬ想いを口にする事は、 貴女に対して、 裏切り行為だと認識しているのだ。
あの男と会って、 あの男と過ごした後も。
この強大な想いへ、 俺は逃げずに立ち向かって行くのか。
この巨大な過去を、 俺の想いで上塗りして消して行くのか。
俺は本当に闘えるのか?
---------- References May.01 2003, 「見守る心境は不思議ですか」 Apr.11 2002, 「見えない道を歩けるか」 |