お互い良い時に、 お互い良い所だけ取り出す、 都合の良さ。
その居心地の良さを、 俺は肌で感じて理解している。
お互いを高め合う事も、 お互いの精神修養も、 相手への責任も、 全てを放棄すると言う前提の上に成立する関係。
心の隙間を埋める為、 時の隙間を埋める為、 体の隙間を埋める為。
その心地良さを、 俺は既に知っている。
だからと言って、 その場所に戻る気は全く無い。
逃げ込む事が、 脇見をする事が、 何ら生産性を持たない行為であるのも、 同時に知り得たから。
「ところで彼女元気?」
沈黙していたあの子が、 動き始めている。
最近のあの子は、 彼氏の姿をおくびにも出さない。
思い返せばあの子は、 会社の人間関係を俺に話して、 軽い救いを求めていた。
毎年彼岸近くに、 俺とあの子の物理的距離が縮まる。
何時の間にか創られている流れ。
よりによって俺が不安定な時に、 よりによってこんな手紙を寄越すなよ。
今度は何を見透かしたんだ。
---------- References (初めて御覧になる方の為に)
Dec.08 2001, 「気になり始めているのですか」 Dec.18 2001, 「どこまでが本音ですか」 Jan.31 2002, 「思い通りに動いてますか」 May.18 2002, 「俺を見ていたのですか」 |