五分だけ。 たった五分だけで良いのに。
愛しい人への電話を、 躊躇した。
貴女への電話を、 躊躇った。
貴女の声は、 俺にとって大切な栄養源だけれど。
貴女の声は、 俺にとって麻薬の様な物だから。
五分だけ。
栄養注射の時間は、 それだけで充分だけれど。
貴女の声は魅惑的で、 何時の間にか、 時間が経過している。
たった五分だけ。
そう願っても、 何度抗っても、 何時の間にか時が経っている。
五分で良いんだ。
それ以上の時間になると、 逆に栄養を吸い取られてしまうから。
そして今の俺は、 栄養を吸い取られると、 疲労困憊で動けなくなってしまうから。
貴女にとっても、 俺の声が大切な栄養源である事は、 理解しているけれど。
今日はメールで勘弁してよ。 五分で電話を切る自信が無いんだ。 |