夜の闇に溶けこみそうな 長身のシルエット。
吹き付ける風に閃く、んこ色のコート。
ボンヤリ私だけを 見ている男がいた。
ヤツの名前は、ゲロス・沖田。
激しく嫌な予感がしてしてしょうがない。
しょうがないけど、どーしようもないこの現実。
世の中どーしようもない事がいっぱいあるのだ。
だから、しょうがない。
青白い街のネオンの中に 浮かび上がる横顔は
昼間見た時と同じにキモイのは 何故なんだ。
そんな事を考え悩み苦しみもがいていると、
いつの間にか、ゲロスが私の横にいるじゃないですか。
しかも、積極的に手をつなごうとしてるじゃないですか。
生まれて初めて感じる種類の恐怖に 金切り声で叫ぶ。
あみ 「はにゃほにょ。」
おや?
大きな声が出ない。
今年一番出ない。
ゲロス 「ほら、忘れ物。」
はい?
何、言ってんですか?
私が何を忘れたってんですか?
これは、私のじゃないですよ。
あみ 「これ、私のじゃありませんよ。」
ゲロス 「水城が落としたんだろ?」
なんか、超・可愛い私好みのハンカチに包まれちゃってるんですよ。
中身はきっとヤバイ物に決まってるんです。
触ってみると、長くて太くて柔らかいの。
なんて、嫌らしいの?
絶対に、受け取らないから。
あみ 「私のじゃないですから。」
ゲロス 「水城のだよ。」
あみ 「違いますから。」
ゲロス 「水城のだよ。」
あみ 「違うって言ってるでしょ!!!」
あみ 「すみません、ウソです。寝ぼけてました。」
受け取っちゃったよ。
でも、ゲロスが帰ったら捨てちゃえばいいんだから、まっいっか!?
だけど、ゲロスがまだ 帰らない模様。
もしかしたら、今ここで開けろって事ですか?
どーしてもこの嫌らしい物を 私に知らしめるおつもりですか?
じゃ、怖いけど 開けますよ?
開けてしまいますよ?
てか、オメーが開けろよ!!
と言ってやりたいけど言えない、このやるせなさ。
これは、箱崎さんから貰ったブタのマスコット人形。
むやみにでかくて、使い物にならないブタのマスコット人形じゃないですか。
だけど、貰ってスグに亀子にあげたハズ。
何で、ゲロスが持ってんですか?
ゲロス 「これ可愛いな。」
あみ 「じゃ、あげる。」
ゲロス 「いいの?」
あみ 「うん。」
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