ざわついた店内。
女の子たちの笑い声が、響き渡っている。
テーブルの上には、熱々のハンバーグステーキとライス。
そして私の隣には、奈々の弟の佑馬が座っている。
佑馬は、あどけなさと意思の強さが同居したような端整な顔だち。
だけど頭の中は、少し頼りなさそうな男子。
さっきから気になっている。
何で佑馬が私の隣に 座っているのかって事。
あみ 「ねぇ、普通姉の横に座らない?」
佑馬 「普通、座らないよ。」
あみ 「ねぇ、奈々の事どう思う?」
佑馬 「普通のデブ。」
何ですって!?
普通のデブですって!?
普通じゃないよ、絶対普通じゃないよ。
奈々は絶対普通じゃないよ。
奈々 「ちょっと佑馬!!失礼な事言わないでよ!私は、普通のデブじゃないからね!!」
あみ 「自分で言っちゃうの?」
奈々 「言うよ、私は言う時は言う女だもんよ。 私は普通のデブじゃなくて、ただのデブなの。」
佑馬 「あのさ、そのハンバーグ少しちょうだい?」
やだよ。
絶対にやだよ。
だって、これ私のぢゃん。
生まれる前から、もう私が食べるって決まってたハンバーグぢゃん。
だから絶対にダメ!!!
あみ 「ダメ!!!」
佑馬 「ちぇっ!!!」 ショボッ。
おや?
がっかりしちゃってんの?
肩がなで肩になっちゃってるよ。
なで肩にも程があるよ。
そんなに私のハンバーグが食べたかったの?
しょうがないなぁ、じゃ少しだけやるとすっかな。
年下だし、可哀想だもんね。
あみ 「じゃ、少しだけあげる。」
佑馬 「いいの?じゃ遠慮なくいただきま〜す。」
パクッ!!!
あっ!!
何をしでかしてくれてんの?
少しって言ったぢゃん。
たった今、言ったばっかぢゃん。
もしかして、少しの意味知らなかった?
少しとは、ちょびっとって意味だよ。
ちょびっととは、ちびっとって意味だよ。
一般的に言うと、ほんのわずかって事だよ。
解る?
ホント・悔しっくってしようがない。
私は、馬鹿を操るのが得意だったハズなのに、
この馬鹿は、大物過ぎたよ。
さすが奈々の弟。
お見事だよ。
佑馬 「俺のやろうか?」
あみ 「いらない。」
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