静かな午後の庭には、優しい幸せが満ちていた。
そう、10分前までは。。。。
空の色は、しだいに濃くなっていくのと同じ速さで
少しずつ 私の心も冷えていく。
少しずつ少しずつ。。。。
夜の闇が しのび寄るように。
それは突然の事でした。、豆子から電話が来たのです。
豆子 「大変だよ、箱崎さんが二階堂君の第二ボタンを探してるよ。」
あみ 「何で?」
豆子 「卒業式の日、二階堂君に第二ボタンちょうだいって言ったら、 もう、他の人にあげっちゃったんだってよ。」
あみ 「それがどーしたの?」
豆子 「箱崎さん、貰った人が誰なのか探してるんだってよ。」
マジ!?
箱崎さんが、第二ボタンなんか貰ってどーすんの?
食えないよ?
何の意味があるのかって話じゃないですか。
全く、理解できないよ。
そこで私は、卒業式の日の事を無理やり思いだしてみたのです。
確かあの日は、雨が降っていて、大澤君が私に第二ボタンをくれたのです。
幸せをかみ締めていると、二階堂君が来て、やはり第二ボタンを私にくれたのです。
そして私は、おもむろにそのボタンをカバンの中に、放り込んだ。
そこで私は、気付いたのです。
気付いたのにも程があったのです。
あっ!!
どっちが大澤君のだっけ?
と。。。。。
私は、大澤君のだけあればいいのにですよ。
何で、二階堂君のも貰っちゃったのかって話なのですよ。
やるって言われれば、貰っちゃうじゃないですか。
自然と、貰っちゃうじゃないですか。
だから、私は悪くない。
お陰で、混ざっちゃったもん。
どっちがどっちだか解らないもん。
豆子 「二階堂君の第二ボタン、誰が貰ったか知ってる?」
あみ 「知らないよ。」
もうこう言うしかないじゃないのよ。
嘘は、墓場まで持っていく所存でございます。
豆子 「箱崎さん、相当血眼になってさがしてるよ。 見つけたら、絶対に横取りするってよ。」
マジ!?
箱崎さんは、きっと私の家に 来るに違いない。
今年一番、来るに違いない。
そして箱崎さんはホントに 来たのです。
箱崎 「あみ、二階堂君の第二ボタン持ってる?」 はぁはぁ。
あみ 「持ってないよ、大澤君のは持ってるけど。」
箱崎 「じゃ、見せて?」
あみ 「何で?大澤君のだよ。」
箱崎 「私は、二階堂君の第二ボタンをずっと前から狙ってたから 見ればスグ解るの、だから見せて!?」
破滅的に、ヤバイ。
どっちだか、ホント解らない。
もし、二階堂君のを見せてしまった場合、
私は、この先ちゃんと人間の姿で 生きていけるだろうか。
ここは、人生のわかれ道。
私はイチかバチか、どちらにしようかな?神様の言う通り?ヘとプとプププで、
人生を決めました。
そして、決めた方を箱崎さんに、見せたのです。
箱崎 「う〜ん、微妙にキズが似てるけど、これは大澤君のだね。」
あみ 「何処が違うの?」
箱崎 「ニオイが違うんだよ。」
あみ 「どのように違うの?」
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