突然背後から、女の声がした。
驚いて振り返ると、汗だくの亀子が、
肩を震わせて立っていた。
あみ 「どーしたの?」
亀子 「あみ先輩、酷いじゃないですか。」 はぁはぁ。
あみ 「何が?」 キョトン。
亀子 「何で虫子なんかに、杉浦先輩を紹介したんですか?」 はぁはぁ。
あみ 「虫子に頼まれたからだけど、いけなかったの?」
亀子 「杉浦先輩は、お金持ちじゃないですか。」 はぁはぁ。
それがどーしたの?
お金持ちの 何処が悪いの?
亀子はもう声も出ず、ずっと肩を震わせて足もとに
涙の粒を落としている。
亀子が泣いてる。
あの気の強い亀子が泣いてる。
初めて見たよ、亀子の泣き顔。
なんか、笑いたい気持ちでいっぱいになってきたよ。
だって、亀子の泣き顔は、、面白いったらないじゃないのよ。
鼻を真っ赤にして、微妙に小鼻をヒクヒク動かしているんだもん。
こんなに、みっともない泣き顔、初めて見たよ。
あぁ〜思いっきり、笑いてぇ〜〜!!!
今年一番、笑いてぇ〜〜!!!!!
あみ 「あれ?亀子、泣いてんの?」 フッ。
亀子 「あみ先輩、今、笑いませんでしたか?」
あみ 「笑ってないよ。」
マズイ。
マズ過ぎる。
今年一番、マズ過ぎる。
私ってば、すぐに顔に出てしまうタイプだから
気を付けなければいけないぞ!!! キリッ。
あみ 「なんなら、亀子にもイイ男、紹介してあげようか?」
亀子 「今のところ、間に合ってます。」
あら、まぁ〜驚いた。
亀子のくせに今、彼氏がいるのかぁ〜。
じゃ、幸せぢゃんよ。
何で、泣いているの?
亀子 「虫子には、もっと貧乏人を紹介して欲しかったですよ。」 ズビッ。
あら、まぁ〜驚いた。
親友の不幸は蜜の味ってヤツ?
ホント、亀子らしくって、ちょっと愛しいよ。
あみ 「だって、虫子が杉浦君を紹介して欲しいって言うから、 紹介しただけだよ。」
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