朝、教室に入ると私の席にあの箱崎さんが
また、座ってるじゃないですか。
あれほど口がすっぱくなるまで、座るなと言ったのに
また、座ってるじゃないですか。
あみ 「箱崎さん、私の席で何してんの?」 ギラッ。
箱崎 「あみにチョコあげようと思って待ってたの。ハイ。」
何これ?
目の前の風景が、一瞬 色を失くしてかすんで見えた。
箱崎さんが、チョコと言って差し出したものは
明らかに、お饅頭の姿をしていた。
あみ 「これお饅頭?」
箱崎 「チョコだよ。」
これがチョコ?
いつの時代から、これをチョコと呼んでいるの?
一体誰が これをチョコだと認めたの?
私が知ってるチョコじゃないんですけど。
これは、どっから見てもお饅頭だよ。
あみ 「お饅頭の中に、チョコが入ってんの?」
箱崎 「ううん。お饅頭の粉とチョコを練りこんでみたの。」
あみ 「ふ〜ん、だからこのお饅頭の色は、ねずみ色なのかぁ。」
だけどさ、
お饅頭の粉は、白ぢゃん?
チョコは、茶色ぢゃん?
これを混ぜたら、ねずみ色になるの?
箱崎さんは、練りこんだって言ってたよね。
つー事は、箱崎さんの手汁がねずみ色って事ですか?
ホント、勘弁してください。
私には、未来があるんですよ。
もっとやりたい事が、いっぱいあるんです。
何たって、大澤君とまだやるべき事を やってないんですもの。
でもまぁ、後で捨てちゃえばいい事だし、
箱崎さんにバレなきゃいいんだし。
そんな事を 深く考え悩み狂っていると、箱崎さんが
まだいるじゃないですか。
私の目の前で、目をギラギラと輝かしているじゃないですか。
いやですわ、箱崎さんったら
何を考えて、いらっしゃいますの?
あら、そんな恐ろしいお顔を、
なさってはいや!!!
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