無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2005年05月13日(金) 落ちる人形/ドラマ『冬の輪舞 特別編』

 夕べは『黒薔薇の館』を見に行って見られなかった木曜ドラマ『アタックNO.1』第5話、録画しておいたのを見る。前回、こずえ(上戸彩)が選抜を外されて富士見学園に戻されてしまったので、お話は富士見メンバー中心に返ってしまい、何となくこれまでの選抜中心のドラマ展開は何だったんだ、ちゃんと伏線張っといたの、収束されるんだろうな、と心配に思わないでもない。三条(遠野凪子)、八木沢(宮地真緒)、吉村(加藤夏季)、垣之内(秋山エリサ)、そして猪野熊(船越栄一郎)の出演シーンまでがた減りなので、いささか心配になるのである。
 ストーリーも「富士見学園存続の危機か?」と盛り上げたいのは分かるけれども、設定があまりにも雑過ぎる。前回、酔っ払い(中務一友)に怪我をさせたために、こずえが謹慎処分をくらったのも処分としては行き過ぎだよなあと感じてはいたのだが、これが今回はありえないくらいにどんどんエスカレートするのだ。
 もともと、非があるのは女子高生に絡んできた酔っ払いなのである。こずえの暴力はものの弾みで、事故でしかないのだから、訴えられれば酔っ払いのほうこそ立場がないと思われるのに(ドラマ中だってそのことは言及されている)、日本バレーボール連盟は富士見のバレー部を廃部させようとするわ、酔っ払いは部長の大沼(大友みなみ)に退部しろと言うわ、現実にはありえない展開が続くのだ。
 さらに連盟が「インターハイで優勝できれば廃部決定は取り消す」と条件をつけるに至っては、連盟は常識も人間性のカケラもないやつらの集団か?! とあきれてものも言えない。よくもまあ、モノホンの連盟は自分たちを徹底的にバカ扱いしているあほな展開を看過してるもんだよなあと、その度量の広さに驚くばかりである(いや、ホントにクレーム付けられても困るんだが)。
 ちょっと「たたみかけ過ぎ」でここまで来るとしらけるばかりで、脚本家の底が知れる。一応、好意的に解釈するなら、本郷コーチ(中村俊介)が猪野熊の影響を受けていきなり冷酷になっていくという無理やりな展開を、脇からフォローするための設定かとも考えられるのだが、外側を補強したって、中がガタガタだと、結局はドラマ全体が崩壊するのだ。そうならないことを祈りたいんだけどね。


 朝、変な夢で飛び起きる。
 高層ビルから飛び降りるのだが(理由なんかわからない)、一緒に飛び降りてくれる娘(しげのような気もするのだが、それにしてはスタイルがいい)がいつのまにか人形にすりかわっているのだ。「詐欺だァァァァァァ」と叫びながら落ちていくところで目が覚めた。
 昔から「落ちる夢」というのはしょっちゅう見てるが、地面とか海面にたどり着いたことはない。落ちきると死ぬ、という俗説はあるが、今朝は起きたら本当に心臓がバクバク高鳴っていて、ホントに死ぬかと思った。
 しょっちゅうとは言っても、私が「落ちる夢」を見るのはたいていココロに何かのわだかまりがあるときなので、しげの情緒不安定に私も引きずられてるのかな、とちょっと心配になる。

 職場で今日は健康診断があった。
 もう40歳を越しているので、身長と体重だけ、というわけにはいかない。心電図やら胃透視やらで、小一時間はかかるのである。仕事が忙しいにもかかわらず合間にあっちこっちと移動させられるので、かなりバタバタ。同僚と「こういうときは午前中だけでも仕事を休みにしてほしいものですねえ」と会話するが、そういう余裕がないのがうちの職場の現状なのである。
 ニュースで「会社員の帰属意識が低下している」と報道されていたが、どこの会社だって、本気で景気が回復したとは思っちゃいない。私んとこも、もう七年も給料減額だ。なのに仕事だけは増える、という状況が続くのであれば、誰だって「会社のために働こう」という意識が低下するってものである。特にうちらのような職種は、「心の余裕」を作らないと、やってけない仕事なんだからね。
 検査の結果は今日すぐには出ないが、最近の体調を考えると、ちょっと悪い予感がする。バリウム飲んだあと、下剤をもらったのだけれども、そんなもの飲まなくったって、ここ一週間くらい、便はずっと下痢便だ。今年は職場を変わったばかりでもあるし、入院だけはしたくないんだけどなあ。


 昨日、連絡があったのだが、結婚が秒読みでそう言いながらなぜか足踏みしていたハカセ(穂稀嬢)が入籍されたとのことである。個人的なことなんで、日記に書こうかどうしようかは迷ったけれど、破局のニュースではないからまあよろしかろう。
 これまでは散々直接間接を問わずノロケられまくっていて、そのあたりの話題もアップすれば楽しかろうなあとは思っていたのだが、万が一にでも破談なんてことになったら可愛そうどころの話じゃないと思ってたんで控えていたのである。
 考えてみれば知り合ったのが彼女がまだ十代のころで、当時からその強烈なキャラクターにはかなり圧倒されていた。どこがどうすごいか、それこそオモテじゃとても書けないのであるが、まあ、基本はいい子だと思うよ(←これだけ言っときゃいいと思ってる)。ともあれおめでとう。末永くお幸せに。
 せっかくだから、ウェブ日記でも書いて新婚生活教えてよ、とメールを送ったのだが、「痛いからいいですよぉ」と返事が来た。ハカセからこんな「わが身を知る」の言葉が聞けようとは! ヒトはオトナになるものである。


 『テアトロ』6月号、演劇評論家の林あまりさんが、うずめ劇場の『ねずみ狩り』を観劇して、「スッポンポンになるなんて潔い」と誉めていらっしゃる。私はあの芝居はかなりつまらなくて退屈してしまったので、あまり誉める気にはなれなかった。というか、真裸になることを評価するような動きがあっちゃ、よくないなあと思っていたので、案の定、こういうレベルの低い批評が出たことに暗澹たる気分に陥ってしまったのだ。
 演出家のペーター・ゲスナー氏の、恐らくは虚飾を排した肉体そのものによる演劇の構築を目指したらしい意図は理解できなくもないのだが、それが同時にこの演劇の限界にもなってしまっている。つまり、真っ裸になってしまったら、それ以上、我々は脱ぐものは何もなくなってしまうのだ。更に言えば、スッポンポンになるくらいのことで話題になる程度に現代日本の演劇表現は稚拙で逼塞してしまっているのかと逆に問いかけたくもなる。映画のほうなら、ああいう芝居は大島渚がもう何十年も前に『愛のコリーダ』で凌駕してしまっているのだ。
 芸術もまた一つの「メディア」である。それはすなわち「媒体」であるということで、作家、演出家、役者の意図したことがそのままストレートに伝わるわけではない。そこに現れた現象を観客は自らの経験と知識とに裏打ちされた見識によって咀嚼するのであるが、厄介なのは、観客は自らの頭脳に対して著しく無自覚である、という点である。舞台と観客との間に、さながら魑魅魍魎が蠢くブラック・ボックスが存在しているようなもので、演出家の才能というものはいかにその魑魅魍魎に形を与え、観客を心理誘導できるかという点にかかっているのだが、『ねずみ狩り』はかなりな部分でその誘導に失敗してしまっている。翻訳劇を外国で上演する際には、文化も習慣も違う風土にいかに現実性を持たせるかの工夫が必要であるが、それがまるでうまく行っていない。たとえば殆ど初対面の二人がどうして関係を持とうということに至ったのか、その背景がニュアンスとしてすら出せていない。真っ裸になり、お互いの獣性を発露するかのように求め合う二人の姿の中に、ほんのひとかけらでも人間的なものを残すような演出を試みていれば、それすらも最後の最後で踏みにじられる悲しさが、観客にも伝わったはずだと思う。日本人の観客を誘導するには、「そういう描写」が絶対に必要になるのである。
 役者の技量が高ければ、あるいは演出家がもっと日本の現実を捉えられていれば、『ねずみ狩り』はもっと笑えたはずだし、もっと切なくなれたはずだし、もっと感動できたはずだ。戯曲自体は悪くないと思えるだけに、そこが残念な芝居だった。


 夜、金曜ロードショーで映画『エボリューション』。DVDも買ってるので見ようと思えばいつでも見られるのだが、ダン・エイクロイドが出ているので、流れていれば結局チャンネルを合わせてしまうのである。映画としては『ゴースト・バスターズ』のエイリアン版で、つまんなくはないけど二番煎じの印象をぬぐえないんだけどね。

 そのあと、裏で録画しておいた『冬の輪舞 特別編』を見る。新聞のサブタイトルがものすごくて、「話題沸騰の昼ドラマが今夜復活! ボタバラを越えた40年に及ぶ激動の愛憎劇が遂に完結! 出生の秘密に翻弄され続けたしのぶと千鶴子が最後に選んだ究極の愛とは!?」で、もうストーリーを全部説明してしまってるでないの(笑)。
 吉屋信子の『あの道この道』が原作で、ということになってはいるけれども、子供すり替えの設定とキャラクターの名前が踏襲されているくらいで、原作とはかなり違ったテイストになっているようだ(総集編だから、細かいところは分からん)。まあ大正時代の少女小説を現代でリメイクするならそのまんまじゃ無理だろうけれどもね。
 しかし、遠野凪子、ちょっとキツ目の顔立ちではあるけれども、『日本の黒い夏・冤罪』のころまでは可憐な美少女役で売ってたのに、どんどん濃くなっていくなあ。「昼ドラ女優」なんてはまり役なんだけれども、この手の作品ばかり続くと、それはそれで似たような約しか来なくなりそうで、いずれは『極妻』路線にまで行っちゃわないかと、いささか心配なのですが。いや、私が心配してどうする。

晩飯は、しげがコンビニで買ってきた、期間限定の「若狭の浜寿司」。美味いんだけれども、950円という値段を考えるとちょっとボリ過ぎだ。回転寿司で鯖なら、100円で新鮮なのが食べられるんだからね。

 日記を何とか読みやすくできないかといろいろタグをいじくってみるのだが、これがなかなかうまくいかない。諦めるのも悔しいので、少しは機能が増やせないかと、一年前、二年前のその日の日記がリンクできるようにしてみた。4年前となるとさすがに話題が古いが、一年前だと、そう時間が経ってないように感じる。アレはほんの一年前だったのか、ついこないだのような気がしていたが、というようなものである。年を取ると時間が早くなるというのはホントだね。

2004年05月13日(木) そう言えば梅雨なんだわ。
2003年05月13日(火) すっ飛ばし日記/リズムな男の死
2002年05月13日(月) アッパレパソコン大合戦/『アニメージュ』6月号ほか
2001年05月13日(日) 愛の嵐/DVD『BLOOD THE LAST VAMPIRE』コンプリートボックス



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