無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2005年04月04日(月) たらいまわしの私/『DEATH NOTE(デスノート)』6巻(大場つぐみ・小畑健)

 新しい職場であるが、これがやたらだだっ広い。昨年度までの職場と比べると、多分三倍はある。それくらい広いとなると、どういう現象が起きるかというと、社員の誰かに内部のことについて聞いても、「よく知りません」という返事が返ってくるのである。
 いやまあ、新しくあれやこれやとやんなきゃならない仕事が増えたものだから、どこの部署に行けばいいかと、人づてに聞いていったのだが、これがサッパリ要領を得ないのだ。
 「ああ、それなら○○課の○○さんに聞いてください」
 「それは私よりも○○課の○○さんのほうが分かると思いますよ」
 「いや、私はよく分かりませんねえ。○○課の○○さんなら分かりますよ。ええもう絶対」
 「いや、私にそんなこと聞かれても」
 ……どないせえっちゅうねん。
 郊外の支社だというのに、前の職場よりも○○課だの○○課だの、十も二十も部署が分かれてるせいでこんなことが起きるのだが、まるで黒澤明の『生きる』の冒頭シーンそのまんまである。……ってよう、社内にいる人間が苦しめられるシステムって、いったいどうなってんだ。なんだか今度の職場もいろいろ苦労しそうではある。


 博多駅でしげと待ち合わせ、新しく定期券を購入。転勤で何かと物入りになってしまったので、実は私の小遣いはもうない。映画にも行けないが、それどころか定期券も買えそうになかったのでしげから借金したのだ。情けない話であるが、もともとはしげが仕事を辞めて実入りが減っちまったので、そのしわ寄せが一番大きい。
 何にせよ、予定外の出費でオロオロしている状態なので、セールスとか宗教とか、私に金目当てで近づいたりしないように。無い袖も襟も裾もスカートも振れんわ。こないだからひっきりなしに「マンション買いませんか?」なんて電話がかかってくるんだけど、私の職業までちゃんと知ってるし、個人情報流してるのはどこのどいつだ。


 食事は博多駅の「吉野家」で、二人とも牛焼肉丼。
 安上がりだし、誘ったのは私なのだが、「そんなに吉野家が好きか」と言われてちょっと怒る。しげが肉好きなのはビョーキだから仕方がない面はあるのだけれど、「高い肉の店」ばかりに行きたがるのは、経済的なかなり苦しいのである。「ウエスト」だろうが「牛角」だろうが、チェーン店でも焼肉屋は結構高くつく。二人で3000円、4000円は普通だ。その点、牛丼屋なら牛皿とかを余計に頼んでも2000円以内ですむ。
 今日もしげは「選べるのが牛丼しかないのがイヤ」なんて糞贅沢なことをほざいていたが、「吉野家」には豚丼だって鶏丼だってあるのだ。しげの脳内では「牛丼屋=しみったれた貧乏人が食いに行くところ」という牛丼屋好きが聞いたら激昂しかねない図式が出来上がっていて、いくら違うといっても聞き入れようとしない。いかにもうらぶれたサラリーマンとかオタクっぽい学生とか薄汚れたジャンパー着たガテン風のおっちゃんとか、居酒屋に行けよお前、みたいな下賎の民が集う場所だと思い込んでいて、それで食わず嫌いになっているだけなのである。でもなあ、そんなふうに偏見の目で見ているお前自身がなあ、紛うことなき「貧乏人」の一員なんだよ。
 いい加減で現実を認識しろよってことで無理やり牛丼屋に連れて行ったのだが、私の肉を分けてやったらやっぱりがっつくように汁も残さず食い尽くしたのである。庶民の口には充分美味いぞ吉野家の牛焼肉丼。
 ついでに言うが、ファーストフードの店だって、我々貧乏人は、本当は「モスバーガー」とかに寄っちゃダメなのである。「ロッテリア」でギリギリ、「マクドナルド」の「チーズバーガー」で充分贅沢。そういう感覚でいてもらわないとなあ。


 マンガ、大場つぐみ原作、小畑健漫画『DEATH NOTE(デスノート)』6巻(集英社)。
 こないだ鯨銃一郎の『新・世界の七不思議』を読んでいたら、何の説明もなく「デスノートに名前書くぞ」という台詞が出てきて驚いたが、ミステリマニアの世界でも、本作は「基礎教養」として認知されているのだ。
 けれど、最近の5、6巻あたりは、メインストーリーに絡み損ねている第三のキラまで出してくるし、露骨に「場つなぎ」の印象がして、以前ほどのテンションは維持できなくなっている。厳密に数えちゃいないが、今巻は月(ライト)の登場シーンがかなり少なくなってるんじゃないか。第三のキラの正体も、はっきり言って「面白くない」。RPGなら中ボスですらない、「咬ませ犬」のようなキャラでしかない。なんだこれは、これじゃあ今までの「ジャンプシステム」で作られた十把一絡げのマンガと代わらないじゃないか。どうしちゃったんだガモウひろし(ホントにそうなのか?)
 ……と思わせておいて、も一つどんでん返しがあれば面白いのだけれど、連載のほうはなるべく読まないようにしているので、この先どうなるか詳しくは知らないのよ。休載中なのは知ってるんだけど、つまり「煮詰まっちゃった」ってことなのかなあ。だとしたら無理やり連載続けさせてきたジャンプがまた一つ「被害者」を作り出したってことになるのかもしれない。切に復活を望む。


 マンガ、細野不二彦『ダブル・フェイス』6巻(小学館)。
 『ギャラリーフェイク』のほうは完結だそうだから、これからはこの『ダブル・フェイス』と『闇の乱破』が細野さんのメインの仕事ということになるのか。……ちょっと小粒ってかんじだけど。本当は細野さんにはSFを描いてほしいんだけど、あまりマニアックなものが受け入れられにくい今のマンガ界の状況を考えると、ちょっと難しいかな。
 本作も昼間は街金のしがない営業員・春居筆美(最近になってやっとこの名前が「ハリー・フーディーニ」のモジリだと気がついた)が、実は闇の奇術師・Dr.WHOOという「ダブル・フェイス(カードマジックに使う両面とも数字のカードのことでもある)」のアイデアは奇抜だけれど、骨子は『必殺』だから、話もキャラクターもそんなにバラエティに富んだものは作れない。
まあそれを言い出せば『ギャラリーフェイク』だって基本は『ブラック・ジャック』なわけで、とうにマンネリの極地だったのだけれど、ネタの豊富さでマンネリをマンネリと感じさせないだけの技術を細野さんは持っているのである。だから決してつまらなくはないのだけれど、そろそろ受付嬢の小泉“世界一だまされやすい女”じゅんちゃんにDr.WHOOの秘密に気づかせてもいいのではないかな。そこで物語が終わるようなら、もうこのマンガは永遠にマンネリの極北を目指すしかなくなってしまうし。
 細野さんは絵に癖があるから(だからアニメ化には向かない)、それだけじゃファンはつきにくい。ドラマ自体は基本中の基本を押さえていかないと、ヒットはおぼつかないってことはわかるのだけれど、やっぱりもっと「濃い」ものを、と願っちゃうのはワガママかなあ。


 マンガ、青山剛昌原作、太田勝・窪田一裕まんが『名探偵コナン 特別編』24巻(小学館)。
 映画公開が近いけど、今度は初日には見に行きません。お金ないから(泣笑)。それにさすがにもうしげも付き合ってくれそうにないし。
 ああ、『特別編』のほうは本編ほどには腹は立ててません。もともと小学生向けに描かれてるんだから、トリックがチャチなのに目くじらなんか立てるほうが変。少年探偵団の話が多いから、微笑ましいくらいですよ。
 収録タイトルは「魅惑のファッションショー」「サーキットのA」「透明ケースに隠された真実」「魔の携帯メール」「宝石に秘められた奇術(マジック)」の五作。この中では「魅惑のファッショショー」がまあ見られる程度。事件が始まる前に、蘭の「無意識の」台詞でさりげなく伏線を張っているあたりはちょっと味がある。メイントリックはバレバレだけど。「サーキっトのA」、相変わらず暗号ネタは子供向けでも駄作。「透明ケース」はなんとタイトルでトリックと犯人をバラしている。いくら読者が小学生だからって、こんなに“親切”にしないといけないのかと疑問。「携帯」も同様でタイトルで中身バレバレ。単に小学生の知能を低く低く見積もってるんじゃないかという気さえしてくる。「宝石」は怪盗キッド登場編。キッドが特別編に出てくるのは初めてだっけ? ともかく無理して出演させてる感じがあって、トリックも一番ばかばかしい。でもこんなものなんだろうなあ。
 巻末のCMページを見ると、ついに小説版まで出るそうな。書き手の「谷豊」って、青山さんのアシストしてた人じゃなかったっけ? わざわざ小説版を出さなきゃならないわけがよくわかんないんだけれども、全国の学校図書館にでも置いてもらおうというハラでもあるのかねえ(タメイキ)。

 夜10時ごろ、また余震。今度は震度1くらいか。

2004年04月04日(日) 『レジェンズ』とリメイク版『犬神家の一族』と花見の夜と。
2003年04月04日(金) 遠い〜気球よ〜/『フライト・オブ・ワンダー』/『OO7/ダイ・アナザー・デイ』
2001年04月04日(水) ちかれた日〜(死語)/映画『宇宙怪獣ガメラ』ほか



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