無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2005年04月03日(日) 一日が喜八だけで過ぎていく/映画『ああ爆弾』

 『仮面ライダー響鬼』十之巻「並び立つ鬼」。
響鬼と威吹鬼、ダブルライダー活躍編で今回がどうやら物語の構成上、一区切りにあたるようだけれども、今一つ盛り上がりに欠ける印象。まあ一つは敵の魔化魍、これがここんとこ殆ど苦労もなしに倒されちゃってる「あっさり感」があるせいだろうね。
 今回の魔化魍は「オトロシ」。前回「サイか?」と書いたけど、カメだった。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』では神社の鳥居の上にいる妖怪として描かれているが、カメは鳥居の上には登らんだろうなあ。こないだの一反木綿は空飛ぶエイだったし、イメージのすりあわせが、ちーとばかし強引だよねえ。
 つか、もうねー、「ジェット噴射」で空飛んだ時点で、テレビの前で誰もが「が、が、が○ら!」と叫んだであろうことは想像に難くない。往年の特撮ファンには「ウルトラマン対ジラース」を髣髴とさせる「ライダー対○めら」の夢の競演という趣向でしたね。いや、喜んだ人ってあんまりいないかもしれないけど(私もビミョー)。それから、あんなデカイのが空飛んでて、誰かに目撃される心配はないのかにゃん? いや、ダブルライダーも堂々と公道を変身したままで突っ走ってるけどさ。
 それにしても「百年に一度現れる難敵」だの「謎の魔化魍現る」だの「我等の子は決して敗れはせぬ」だのと、かなりな接戦を期待させといて、最後はひっくり返ったら起き上がれないって、やっぱりただのカメじゃん! ということで拍子抜けなのであった。本家がめ○はその弱点、ちゃんと克服してたのに(そのためのジェット噴射!)。
 響鬼が初めてバイクに乗ったけれども、「実は運転がヘタ」というのは「これは『仮面ライダー』ではありません」というスタッフの意志表示かな? いや、今更もうこれを『仮面ライダー』だと思って見ちゃいないけれどもよ。
 一方、明日夢は万引き目撃事件で今回も落ち込み中。勢治郎から説教されたりひとみから慰められたり、なんだかずいぶん優しくされてるけれど、もうちょっと厳しくされてもいいんじゃないか。あきらじゃないけど、「なんでそこにいるんだ」って感じのオミソな印象がかなり強くなっているぞ。多分もうちょっとで物語にちゃんと絡んでくるだろうとは思うんだけれど。


 『響鬼』を見てた時間帯以外は、日本映画専門チャンネルで「24時間まるごと岡本喜八」を立て続けに見る。
 今月のラインナップは『独立愚連隊』『独立愚連隊西へ』『ダイナマイトどんどん』『ああ爆弾』『結婚のすべて』『肉弾』『日本のいちばん長い日』『EAST MEETS WEST』など。何かもう、至福の時間である。
 どの映画も、これまで何度見返したか分からないくらい、好きで好きで好きでたまらないものばかりだが、いったん見始めるとやはりやめられないのであった。いや、こんなの全部感想書いてる余裕はとてもないのでご勘弁。
 あえてこの名作群の中から一本だけを取り上げるなら、和製ミュージカルの傑作『ああ爆弾』。初めて見たのはもう二十年も前の大学時代だが、その斬新なアイデアに度肝を抜かれ、興奮のあまり口をぽかんと開けながら見ていたことを今でも思い出す(実はオールナイトで見ていたので睡魔に負けて少し落ちていたのだ)。
 『幻の女』『黒衣の花嫁』のコーネル・ウールリッチ(ウィリアム・アイリッシュ)のミステリ短編『万年筆』に、岡本喜八はとんでもなく大胆な脚色を加えた。なんとこれを「ミュージカル」に仕立ててしまったのである。しかも、日本の伝統芸能である「能」VSアメリカ発祥の「ジャズ&ゴーゴー」の「対決ミュージカル」として。
 伊藤雄之助演じるヤクザの親分が、自分の組を乗っ取った中谷一郎の代議士を万年筆に仕込んだ爆薬で殺そうとする。ところが、この万年筆がひょんなことから次々と他人の手に渡り……という物語の骨子はサスペンススリラーだが、今やジリ貧の伊藤雄之助や子分の砂塚秀夫は「能」を舞い(ついでに言えば伊藤の妻役の越路吹雪は日蓮宗の「どんつく」がテーマソング)、上り調子の中谷一郎一派はハチャメチャなゴーゴーで踊りまくる。いやもうその様子といったら既知外沙汰だ。
 ミュージカルが嫌いな人は、「何でいきなり歌いだしたりするの? 気が狂ってるみたいじゃん」と貶すが、蓋しその通り、岡本喜八はミュージカルをまさに「狂気」として演出しているのである。出てくる連中がみんなイカレてるんだから、イカレた連中がイカレた音楽に痺れるのは至極当然のことなのだ。『仮面ライダー響鬼』を見ている人は、この『ああ爆弾』を見れば、「ああ、あのミュージカルシーンはこれのマネだったのか!」と気がつくことだろう。そして『響鬼』のミュージカルシーンがなんであんなに「寒い」のか、いったい何が欠けていたのか、ということに気づくだろう。そう、ミュージカルは演者が狂ってないと面白くならないのである(特撮ファンには、有島“タコ社長”一郎と桜井“ゆりっぺ”浩子の掛け合いミュージカルのシーンがお楽しみだろう)。
 結果、日本の狂気はアメリカの狂気に敗れる。しかし、奢る平家は久しからず、最後の最後に中谷一郎に待っていた運命も……。これから先は言わぬが花。

 6時からMOND21で『平成極楽オタク談義』第一回「富野由悠季」の再放送。
 岡田斗司夫さんの「富野由悠季を貶していいのは俺らだけだ!」発言に苦笑。もちろん作品を褒めちぎった上で、「富野さん本人を」笑っているのである。
 7時半よりNHK総合で『名探偵ポワロとマーブル』(もうコメントはしません)、続けて『義経』。
 いつまで経ってもタッキーが全然義経っぽくならないのはどうしたものか。どうにもならないだろうけど。それよりももっと気がかりなのは丹波哲郎の老け具合である。滑舌もままならないんだけど、大丈夫かなあ。

 食事はしげが「カレー、カレー、カレー」とうるさかったので昼も夜も「ココイチ」。カラダが茶色くなりそうである(スパイスが効いてるから)。

2004年04月03日(土) 本物の外人さんって何%だろう。
2003年04月03日(木) 地元企業救済旅行(^o^)/葉加瀬太郎プロデュース「フォーシーズンズ・イン・ザ・スカイ」
2001年04月03日(火) ボクの地震、キミの地震/ドラマ『陰陽師』第一回ほか



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