無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年09月12日(日) スタジオジブリ、金のオゼッラ賞

 今日は練習にドッグさんとこの公演もあったんだけれども、体力温存のためウチで一日ゆっくり。役者が揃うんなら無理してでも行こうかと思ったけれども、カトウ君が来ないことになったようなので。
 カメの水の張り替えをして、日本映画専門チャンネルで『御用金』を見る。五社英雄時代劇の代表作と言っていいと思うけれども、これもずっと見たかった映画だったのに、今まで機会がなかった。インタビュー番組が先にあって、主演の仲代達矢が「当時共演の三船敏郎さんが降りたのは、『体調不良のため』ということになってましたが、実は私が酒の席で三船さんと喧嘩したせいでした」と告白していたが、映画を見ると役柄としては『座頭市と用心棒』の二番煎じみたいな役で、これは「軽く」演じてくれていた代役の中村錦之助の方が適役だったと思う。映画自体も骨太だし、三船さんがやるとどうしても豪快になるから、全体として「重く」なりすぎてしまう。そこをコメディリリーフ的な萬屋さんの演技がうまくバランスを取った格好になっていた。
 でも物語としては「幕府の苛斂誅求に抵抗を試みる」という、当時やたらと流行った『影狩り』とか『子連れ狼』のパターンで、仲代達矢もどうしても室戸十兵衛みたいに見えてしまって(映画で十兵衛を演じたのは石原裕次郎だったが、ありゃやっぱり仲代さんの方が似合ってる役だ)もう一つ魅力に欠けるのがネックであった。ほぼ全編、雪山でのロケというのはなかなか迫力があったけれども。

 昼メシは自分で湯がいて作ったそば。こないだそば食ったあとで吐いて腹痛に襲われたことを考えると、ちょっと怖かったのだが、今度は問題なし。もう完全に普通食に戻してよさそうである。
 夜、七時半からNHKでようやく『名探偵ポワロとマープル』を見る。今回は「総理大臣の失踪・後編/真実はイギリスに」。
 ええっと、これは誘拐された総理大臣は実は……っていう他愛ないトリックだったな。文字だと騙されるかもしれないけど、映像にしたら一発でバレバレになっちゃうから(だからこれも叙述トリックなのである)、そもそもこれを選んで映像化しよう、というスタッフの神経を疑うのだけれど、少しは映像的に工夫してるかと思ったら、全然してないのな。なんでそんなアホなことしたのかなあって考えたんだけど、NHKだし、「子供向け」ってことを考慮して、わざと「わかりやすいまま」アニメにしてるってことなのかもね。でも「子供騙し」なアニメは結果的には子供にもつまんなくなると思うんだけど。これを楽しめるのってせいぜい小学生までじゃないのかなあ。今時の学生って馬鹿も増えてるから、中学生でも面白がるやつはいるかもしれないけど。
 技術的にも音楽だけがやたら過剰なだけで、アニメがそれに付いていっていない。人物はともかく、ポワロのマンションとか、背景ですらアップが多いのは、美術の手間を省いてるだけだろう。
 あちこちから散々悪評判を聞かされていたので、どれほどヒドイもんかと思って見たけど、普通に面白味のないアニメでした。オー・エル・エム製作ならこんなもんでしょ。



 第61回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門の授賞式が11日開催。
 注目の金獅子賞は、下馬評通り、マイク・リー監督の『ヴェラ・ドレイク(“Vera Drake”)』が受賞。内容は「中絶が禁止されていた1950年代の英国を舞台に、不本意な妊娠をした女性たちに非合法中絶を施した労働者階級の主婦をテーマにした作品」だそうだけれど、何だか山田風太郎の荊木歓喜か『サイダーハウス・ルール』みたいな。
 私は基本的に中絶反対派で、遊んでガキ作ってまた遊ぶのにジャマになるから降ろすとか、「今は中絶できるようになってラッキー」みたいな連中はこの糞野郎どもがという気分になってしまうのだが、「不本意な妊娠の中絶」まで禁止しろとは言わない。ただ、それでも母体への悪影響や、何よりどんな形で生まれてくるにせよ、既に意志の萌芽しつつある命を一つ奪うことに関しては、熟慮が必要だと思う。その辺の解釈について、マイク・リー監督がどんな「答え」を用意しているのかが気になるところだ。
 監督賞に当たる銀獅子賞には、これも観客の圧倒的な支持を受けていた『空き家(“3-iron”)』のキム・ギドク監督が、グランプリ(批評家賞)にはアレハンドロ・アメナーバル監督の『“Mar adentro”(“Out to Sea”)』が選ばれた。
 注目の宮崎駿監督の『ハウルの動く城』だけれども、金獅子賞こそ逃したものの、製作会社であるスタジオジブリには「金のオゼッラ賞(技術貢献賞)」が贈られた。まあ、これだけでも充分たいしたことである。ただ、「金獅子賞」ではないことで、興行収入に多少の変化は出てくるかもしれないね。日本人って、オリンピックでもそうだけど、金メダル以外はあまり注目しないから(情けない)。
 『ハウル』は公式上映後のスタンディング・オベーションがすごかったらしくて、日本の各紙も「金獅子賞最有力!」とか書いてたんだけれども、岡田斗司夫さんも「OTAKING SPACE PORT」の9日付近況報告で、「金獅子賞は確実らしいですよ」と、いかにもイワクありげな書き方していた。ああ、もしかして岡田さん、ヒミツの情報ルートを持っていて、既に結果を知っているのだろうか、とか考えていたのだけれども、今日の近況を見てみると、「リド島での上映後5分間のスタンディングオペレーションを見て、現地に駐在していた日本の新聞・TVマスコミ関係者たちも『ほぼ確定』と見込んでいたので、かなり意外です」とか書いてたんでガクッと来た。日本のマスコミ関係者の判断なんかアテになるわけないじゃん!(~_~;)
 スタンディング・オベーション自体が必ずしも審査結果に反映されないことは常識みたいなもので(全くない作品が受賞すればブーイングが起こるが)、期待と自国ビイキの願望コミの「確定」情報をまんま信じちゃうってのも、岡田さん、ちょっとどうかしてるんである。もちろん、『ハウル』は上映後の星取表でも満点の五つ星を取っていたし、だからこそ「最有力」とは言われていたのだけれども、「確実」ってことはない。日本にいたおかげで、ほかにも「最有力」な作品が目白押しであったことが海外通信を通して伝わってきていたので、「『ハウル』はきびしいかなあ」と客観的な判断ができていた。ヴェネチアにいたために、岡田さん、かえって状況が見えてなかったらしい。
 岡田さんはさらに「アニメ夜話で某氏が『カンヌ選考委員の中にはアニメを映画や俳優に敵対するもの、と捉えてる人がいた』と楽屋で話していたのを思い出しました」と書いているが、これもかなり勇み足な記述である。と言うか「受賞確実」よりもこちらの方がずっとタチが悪い。そういう人がいないとは言わないが、選考そのものに偏向があったかのようにミスリードするのは、著述家としての姿勢を問われかねない大問題だ(しかも判断元はやっぱり「楽屋話」である)。現地の批評家はちゃんと『ヴェラ・ドレイク』が最有力と捉えていたし、観客の反応が最も高かったのは『ハウル』ではなくて『空き家』だった。別に選考結果に「おかしい」ところはない。不当ジャッジの証拠もないのにこういう身ビイキに取られる書き方をしてしまうと、かえって『ハウル』の評価自体を貶めかねないが、そんなことにも気付いてないのだろうか。まさかそのことが目的で書いてるんじゃないとは思うけれど。
 サービス精神が旺盛と言うか、お祭好きなのは別に悪いこっちゃないけれども、余計なヒトコトが多いと言うか、2ちゃん情報レベルの憶測をよく吟味せずに垂れ流し続けるのは、岡田さん、あまりにシロウトっぽ過ぎると思うのである。我々シロウトの書く日記と、プロの書くそれとは自然、「重み」が違って来るからね。今更シロウトには戻れないんだから、もうちょっと考えた書き方してほしいもんである。
 ……しかし、アニメ関係の日記書いてる一般の人たちの日記で、このニュースに触れてる人って少ないね。どうでもいい?


 東芝・ワーナーブラザース・日本テレビの均等出資で作った映画製作会社トワーニ(頭文字取っただけの名前なのな)が、映画『キューティーハニー』が興行収入わずか2億という惨敗に終わったことで、解散とのニュース。結局トワーニが作った映画って、『さくや妖怪伝』、『ドッペルゲンガー』、『天使の牙』に『ハニー』の4本だけだったんかね。
 『ハニー』は企画から何から、「オタク」にしか観客対象をしぼってなかった映画だから、そのオタクから厳しい評価が下されてしまったら、惨敗も必至、撤退も余儀ないことだとは思うけれども、なんかもう、世のオタクどもってさ、えらそうなゴタクは並べるくせによ、単に「心が狭い」だけで、本気で映画も特撮もアニメも愛してなんかいやしないんじゃないかって気がしてくるよ。映画を見もしないで「サトエリだし」「アンノだし」で中身決めつけてた意見がどれだけ多かったことか。
 そりゃあ確かに私だって「サトエリ=ハニー」にはムリがあるとは思う。けれど、「事前情報好き」のオタク諸氏ならば、各種インタビュー記事やキャンペーンなどを通して、庵野監督が、佐藤江梨子が、この映画にどれだけ「愛」を注いで没頭していたか、気が付かないはずはない。そこに意気に感ずるものがなくて何がオタクか。つくづく感じることだけれども、かつて岡田さんが展開していた「オタクエリート論」は完全に空中楼閣と化してしまったのだ。今、日本に蔓延してる「自称オタク」の大半はただのミーハーかスノッブだ。流行を追うようにあのアニメからこのアニメと渡り歩いて、空虚な自分の心を満たし癒されたいと思ってるだけで、文化総体としてのアニメ、特撮、映画という表現そのものを愛しているわけじゃない。「俺、オタクだけど、『ハニー』やアンノにも、もともと興味ないし」って人、だからアンタはオタクじゃないんだって。
 『CASSHERN』が成功し、『ハニー』が失敗したという事実は何を物語るか。「本気で」オタクをターゲットにした映画は今後作られなくなるということである。『CASSHERN』が成功したのは明らかに「オタク以外の観客」を取り込むことができたからだし(オタク映画であんなにオシャレな女性客が殺到した風景を私ゃ見たことがない)、リメイク映画のラッシュだって、かつてのファンだけを対象にしているわけではなく、さまざまな「新しい観客層」の開発を試みようとしている。商売上、それは仕方がないことだけれども、その分、作品の中から「冒険」が消え、「センス・オブ・ワンダー」が消えていくのだ。
 製作母体が消滅して、『ハニー』の続編は作られなくなってしまった。それどころか、庵野監督が今後作品を作っていけるのか、心配になってきた。『エヴァンゲリオン』のあと、『彼氏彼女の事情』、『式日』、『流星課長』と、決してヒットしてきたとは言いがたい監督作品を見れば、そろそろ「遺産」も尽きたかという気がしてくるのである。かと言って、『トップをねらえ2』(監督はしてないけど)はないよなあと思う。できれば大向こうを唸らせるような波瀾万丈なSFアニメをこそ作ってほしいと切に願うものなのだが。

2003年09月12日(金) 誉められ下手な話/『ガウガウわー太』7巻(梅川和実)
2001年09月12日(水) 誰かあの飛行機に「テロチルス」と仇名をつけたやつはいないか(^_^;)/『あずまんが大王』3巻(あずまきよひこ)
2000年09月12日(火) 打ち身とワンピースの続きと/『ONE PIECE』6〜15巻(尾田栄一郎)



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