無責任賛歌
日記の表紙へ|昨日の日記|明日の日記
2004年07月08日(木) |
「みんなのうた」はボクのうた |
通販で注文しておいた『NHK みんなのうた』のDVDボックス全12巻(収録161曲)が到着。 待ちに待ってたブツなので、一気に半分の6巻までを延々と見る。もちろん既に映像や音源が残っていないものもあって、完全収録版ではないのだけれども、それでもこれだけの分量は圧巻。白黒時代の作品などは、もう再放送される機会もまずないから、大貴重である。でもやっぱり放映開始時、1960年代の映像には、あまり予算がかけられてなかったんだなあ、ということがよくわかる。 『トロイカ』のバックに流れる映像、どう見ても北海道か東北のソリで、しかもチンタラチンタラ山道を行くから(平原はどうした!)全然走ってないし、『おおブレネリ』は、信州かどこかの湖畔で撮ってるよな、これ、って風景で、女の子たちもチロリアンの格好してても歴然とした日本人だし。今、現地ロケしないでこんな映像を流してたら、視聴者から「曲想と合ってない!」とクレームが押し寄せることだろう。 何より、60年代のは、悲しむべきことにアニメーションがまるでつまらないのだ。バンクが激しくって、長い曲で三度も四度も同じカットが繰り返して使用されているのを見せ続けられると、すっかり飽きてしまうのである。このころは久里洋二がしょっちゅう登板していたのだが、実験アニメで九里さんが見せてるような斬新なアイデアもさほどなく、正直な話、これを見て九里さんのアニメを評価されたらかわいそうだよなあ、と言いたくなるくらい、しょぼい出来なのである。 ところがこれが、70年代に入り、月岡貞夫、堀口忠彦が参入してきた途端に一変するのだ。この二人、『北風小僧の寒太郎』や『ひげなしゴゲジャバル』のようなドラマチックあるいはナンセンスな傑作をつるべ打ちしていくのだから、やはり我々の世代は、アニメが一番沸騰していたいい時代に子供時代を過ごしていたのである。 ……でもあれだな、今度もまた私のフェイバリット・ソング、谷啓の『シャーロック・ホームズとワトソン博士』は収録されなかったのだな。音源は残ってたはずだから映像がもうないのか? 続刊出したらまた12巻でも買うから、収録してくれ。
日本映画のハリウッド・リメイクも、あまり珍しい話題じゃなくなってきたけれども、『GODZILLA』とか『ラストマン・スタンディング』なんてカスを見せられてしまうと、ハリウッド野郎、企画を思いつかねえから日本モノに飛びついただけじゃねえのか、と毒づきたくもなる。ハリウッドに対しては、さほど憧れも幻想も抱いちゃいないので、「『七人の侍』がまたリメイク!」なんてニュースを聞いても、「やめときゃいいのに」としか思わないのである。 けれども、桐野夏生の『OUT』を、『ザ・リング2』に引き続いて中田秀夫監督がハリウッドでメガホンを取ることになったと聞いちゃうと、これは少しは期待したくなってしまうのだ。言っちゃなんだが、平山秀幸監督版の『OUT』は、ハードボイルドにもコメディにもなり損ねた失敗作の感が強い。犯罪ものってのはどうしたって反社会的な物語なんだから、いくら平凡な主婦が気がつけば犯罪に加担させられてる、っていう「偶然の不幸」を扱ったドラマであっても、ウェットな部分は極力抑えて悲喜劇の部分を強調しないと、客は感情移入しにくいのである。ましてや後半は積極的に死体をさばき始めるわけだし。平山監督は堅実な演出家なんだけれども、ケレンは不得意だから、『ザ・中学教師』とかはまあまあでも『魔界転生』や『OUT』なんかは苦手分野なのである。本人にその自覚はなさそうだけど。でも、もっと「コメディ」を撮れる監督でないと『OUT』の映像化は難しいと思うんだよねえ。……思うんだけど、『OUT』見て、あれが「コメディ」だということにも気がつかなかった客もいるんじゃないかな? 演出、とことん地味なんだもの。 演出の参考にしなきゃならないのはシェイクスピアでなきゃならないんだけど、じゃあ中田監督なら大丈夫かと言うと、それも決して安心、というわけじゃあない。ただ、コメディ撮れる監督ってのは、ホラーも撮れるので、素養はあるんじゃないかな、と思えるのが期待度になってるわけなんである。それに、ああいうバカ主婦って、アメリカ人が演じた方が似合うと思いませんか?(←偏見)
同じく日本映画のハリウッド映画化で、何とか撮入にこぎつけた(全く何年かかったんだ)、ピーター・チェルソム監督版『Shall We ダンス?』だけれども、まだまだトラブルは続出しているようである。ジェニファー・ロペスが歌って録音まで済ませていた主題歌『Sway』が、製作元のミラマックスの意向でカットされることになったとか。 その原因ってのが、『Sway』がロペスの新婚の相手であるマーク・アンソニーとのデュエット曲だったから、という説明だったので、アチラの芸能界の情報に疎い私には、それがどうしてカットの原因になるの? と首を傾げたのであった。でも要するにロペスって人が恋多き女で、今度の結婚も3度目で、その間もバフィ・コムズやら、ベン・アフレックやらと浮き名を流し、もともと敬虔なカトリックの家に生まれていたこともかえって災いして、やたらスキャンダラスな女優、というレッテルを貼られちゃってるものらしい。 まあ、その辺の事情についてはよくわかんないのだけれども、『Shall We ダンス?』の主題歌はあくまで『シャル・ウィー・ダンス』でなきゃ無意味だろう。その『Sway』ってのがいい曲かどうかは知らないけれど、映画のテーマに関係のない別の曲が主題歌として罷りとおることで、映画をぶち壊しにしてしまった例はいくらでもある。最近もなあ、『半落ち』のラストでなあ(-_-;)。 プロデューサーのゴリオシで映画がメチャクチャにされる例もまたたくさんあるのだけれど、今回の措置は一応、妥当、と言えようか。でもこの映画、何より主演がリチャード・ギアっていう最大の不安材料が残ってるんだけれどもね。
2003年07月08日(火) 身内だからバカって言うんだよ/『赤ちゃんがいっぱい』(青井夏海)/『20世紀少年』13巻(浦沢直樹)ほか 2002年07月08日(月) えすぽわ〜る、とれびや〜ん/『ブラックジャックによろしく』1・2巻(佐藤秀峰)/『アグネス仮面』2巻(ヒラマツ・ミノル)ほか 2001年07月08日(日) 夫婦で暑気あたり?/『昔、火星のあった場所』(北野勇作)ほか
日記の表紙へ|昨日の日記|明日の日記
☆劇団メンバー日記リンク☆
藤原敬之(ふじわら・けいし)
|