無責任賛歌
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2004年07月06日(火) |
「ストーカー法」に引っかからないストーカーの仕方 |
ちょっとこのことは日記に書こうかどうか、かなり迷ったのであるが、今更隠しておくのもどうかな、と思ったので、書いておくことにした。とは言え、各方面にメイワクかかるといかんので、固有名詞は匿名、ないしは仮名にしておく。 今日、職場に一通のハガキが届いた。送り主の名前は一応、旧知の人物の名前が使われていたが、おそらく勝手に名前を借りられてしまったものであろう。内容は、私が本当は泥棒なのだとか変態なのだとか、下品で低劣な中傷なのだが、もちろん根も葉もない事実無根のものである。 匿名ではあるが、差し出し人が誰かは承知している。十数年前、演劇活動を通じて知り合ったある人物で、かなりオタクな人である。『ファントーシュ』を創刊号から持ってたり、『アニメージュ』『Newtype』『宇宙船』は言うに及ばず、懐かしの『SFマガジン』『SFアドベンチャー』『SFイズム』『SF宝石』(^o^)『奇想天外』『ふゅーじょんぷろだくと』『OUT』『ふぁんろーど』『ぱふ』『リュウ』『DUO』『花とゆめ』などなど、その人の部屋の中は数々のアニメ、特撮、SF雑誌に埋め尽くされ、もちろんマンガの単行本も山と積まれていて、SF小説はハヤカワの銀背がズラリという年期の入りようであった。棚には怪獣、美少女、ミリタリーのフィギュアが処狭しと飾られ(市販のものに改造を加えた自作)、モデルガンの収集も押し入れに何10丁、オーディオ関係も当時の最先端機器を常に取り揃え、LD(当時はまだDVDはなかった)コレクションも既に何千枚という、私がこれまで出会ってきたオタクの中でも、最高の部類に属する超濃い目のオタク氏であった。仮に彼をオタ氏と呼んでおく。それだけのコレクションに相当する該博な知識の持ち主で、その点では尊敬に値する人であったのだが、如何せん、性格がむちゃくちゃ歪んでいた。 ともかく、ヘタにアニメや特撮、演劇、映画などに造詣が深かったのが災いしたのである。若いころ、自主アニメの製作・監督をしたことがあり、当時、それが今や世界的なアニメ監督として評価も高い某氏や某氏などにアニメ誌上で賞賛された。そのことがその人をすっかり「プロ気取り」にさせてしまったのだ。若くして天狗になった人間が周囲から疎まれるのは世の常で、知識はただのヒケラカシとしか映らず、批評や意見はただの高慢としか解釈されなくなった。結局、当人に実力があるにも関わらず、オタ氏はアニメの道にも映画、演劇関係の道にも進まず(進めず)、関係者の間を渡り歩くような「アニメゴロ」「演劇ゴロ」になってしまった。今更言いたくはないが、その人が勝手な行動を取ってくれたせいで、私は熱愛するファンであった俳優のA氏とも縁が切れてしまった。 それだけならともかく、他人が常に自分を陰で笑っている、と思いこんだ彼は、自分の気に入らない人物の周囲に、匿名で中傷のハガキをばら撒き始めたのである。その激情たるや常軌を完全に逸したもので、被害にあった人物は数10名、毎週何10通ものハガキを各方面にばら撒き(私に関するものでも100通以上に上る)、あいつはこんな変態だ、あいつはこんな人非人だと触れ回るようになったのだ。 オタ氏と知り合った当初は、私は決して仲が悪かったわけではなかった。彼のそういう「行状」を知らなかった私は、多少エキセントリックな言動が鼻につきはしても、ユニークな人だな、くらいに軽く考えていたのである。 ところが、世間に受け入れられない鬱屈がオタ氏の精神を蝕んでいったのだろう。その言動は次第におかしくなっていった。曰く、自分には霊の世界が見える、異次元との交流も可能だ、天候も自由に操れる、念じれば人の命を奪うことさえ……。 正直な話、だんだんと気持ち悪さすら感じてはいたのだが、まあ日本は信仰の自由はあるのだし、それと人格は別であろう、とのんきに考えていた。「ああ、そうですか」と相槌を打っていれば、別にツボだの印鑑だの売りつけてこようとはしなかったし、実害はない、と高を括っていたのである。 例によって例のごとく、オタクのトラウマとなったあの『エヴァンゲリオン』騒動のときには、オタ氏は完全にアレにハマッていた。どれくらいかというのは、それこそ1話放映されるたびに真夜中に必ず電話がかかってきて、アダムの正体はどうの、補完計画とは何か死海文書とはどういうものか、とウンチクを垂れまくるのである。「明日仕事なんですけど」と言って電話を切ろうとしても「こんなこと話せるのはアナタだけなんです」と泣きつかれてしまって、無下にも断れなくなってしまう。ヘタすりゃ3時、4時までお喋りにつき合わされていたが、そのころ私がカラダを壊したのは、確実にこの人のせいもあった。 そんな風に私に甘えておきながら、オタ氏が『エヴァ』のLDボックスを予約しないで買い損なったときには、私が入手したことを知った途端に激昂して、「アンタにエヴァの何がわかるか!」と怒鳴ったりするのである。そんなヤツアタリをされたって、私にはどうしようもない。あと、吉田秋生の絵柄が大友克洋の影響を受けて変化したとき、そのことを言ったら、吉田秋生ファンで大友克洋嫌いのオタ氏、やっぱり激昂して、そのあと泣き出してしまった(-_-;)。 つまり、オタ氏は常に自分の意見は正しいと思いこんでおり、批判を一切許そうとせず、反駁されればヒステリックに騒ぎ出すという、痛いオタクの典型のような人だったのである。実際、一度ヒステリーを起こすと、髪を振り乱し、奇声を上げ、壁に頭を打ちつけ、全く手が付けられなくなっていた。しかし私は、そんなオタ氏を見ながらも、まるで『山月記』の李徴のようだ、と思い、その姿に哀れみさえ感じて、なかなか縁が切れなかったのである。 しかし、ある日、オタ氏の家に遊びに行って、セーラー服姿に女装した彼に出迎えられてから、さすがに腰が引けた(~_~;)。いやね、出迎えられただけじゃなくて、まあ、その、抱きつかれちゃったし。言っておくが、私にはそちらの趣味は一切ない。断じてない。慌てて逃げだしたが、そのときはかなり乱暴にオタ氏の手を振りほどいたこともあって、そのあとの関係が気まずくならざるを得なかった。 それから少しずつオタ氏とは距離を置くようになったのだけれども、私に関する中傷のハガキが職場やその周辺に出回り始めたのもそのころからである。かわいさ余って憎さ百倍といったところか。何しろそんな事件は「オタ氏の周辺でしか起こらない」のだから、犯人が誰かは一目瞭然であった。イタズラ電話が増え、電話をナンバーディスプレイにして、非通知電話はカットするようにした途端、オタ氏からの電話もかからなくなった。どうやらイタ伝もオタ氏の仕業だったようである。そして「被害者」が私一人ではなかった、ということも段々とわかってきた(実は今日、ハガキを受け取った時も、そばにいた同僚が、偶然にも、その人の被害者で、「アッ、それ、○○氏のハガキじゃないですか!?」と言っていた。全く、いったい何十人、何百人の人間が被害にあっているか、知れたものではない)。 しかし、警察に何度足を運んでも、誰一人としてこれを事件として取り上げてはくれないのである。名誉毀損か何かに当たるんじゃないか、と思うのだが、ともかく、たとえどんなにオタ氏が犯人である、と主張しても、物的証拠はないのだ、と言って断られる。100通、200通、ハガキをばら撒かれようが、それが本人の名前でなく、他人の名前である以上は(私の名前で他人の中傷を送られたこともあった)、責任はその「名前の」送り主に存するものであって、オタ氏には何の関係もない、という解釈を警察は主張するのである。そのオタ氏、状況を撹乱する意味もあったのだろうが、なんと「自分に対する中傷を私の名前でもばら撒いていた」のだから、オタ氏のことを知らない人間は、私が犯人なのか、オタ氏が犯人なのか区別がつかないようにもなっていたのだ。 ありがたいことに、私の知り合いで私の方が犯人だと疑った人はただの一人もいなかった(事件はあくまでオタ氏中心で、私の知らない人も被害にあっていたのだから、当然なのだが)。ところがそのことを警察に話すと、「つまりあなたは犯人だと疑われてもいず、実質的に被害にはあっていないのですから、告訴はムリです」と言われてしまった。 そんなバカな話があるか、名前騙られてるのに、と思ったが、まあ、昔から不祥事だらけの福岡県警であるから、そんなたかがハガキのイタズラ程度で動きたくはなかったのであろう。 しかしイタズラとは言っても、規模が半端ではない。オタ氏の中傷ハガキの一部は、なんと「宮内庁」にまで送られていたのだ。内容は私のことを「国家に反逆する意図がある。不敬罪で訴えなさい」、というようなものであったらしいが、私は別にそんな意見は持っていないし、第一、地方の一市民の思想について、そんな訴えを宮内庁に送りつけるという行為にどんな意図があるのか、サッパリわからない。宮内庁は一応、義務としてウチの職場に照会をしてきたようだが、もちろんそれで私がどうこうされたということはない。と言うか、理解に苦しんでいたのは宮内庁の方だったようである。 結局は私にフラレた恨み骨髄、といったところなのだろうが、相手がノーマルかそうでないかくらいのこと、見抜いてほしいものだ。全く、とんだ逆恨みである。 実はその中傷ハガキの件は、一度新聞沙汰、テレビニュースにもなったのだが、それでも警察は動かなかった。誰かケガ人の一人でも出ない限り、この国では匿名であれば中傷なんてし放題なのである。そのころまだ「2ちゃんねる」は存在していなかったが、あれば私のこともオタ氏は実名でガンガン書きこんでいたことだろう。 それでも放置しているうちにハガキの数は減り、この2年ほどは何の音沙汰もなかったのであるが、今日、また、どういう風の吹きまわしか何がきっかけになったのか、そういうハガキが来たのだ。どうやら、こないだまで、職場で窓際に追いやられていたか自宅待機だかにさせられていて、自由に動くことができなかったらしいのだが、しばらく神妙にしていたおかげで職場復帰を果たしたものらしい。しかも昔、一緒に自主アニメを作っていた仲間がプロのアニメーターになり、最近その人が監督した劇場アニメが大ヒットを飛ばしたりしたことも、多分、オタ氏の鬱屈を高める結果になったのだと思われる。 よく、オタクはアニメや特撮が好きだってだけで迫害された経験があるから、そのルサンチマンが溜まりに溜まっているのだとかほざいてるやつがいるが、そんなのは嫉妬心と猜疑心を5年も10年も抱えこんでいていい言い訳になどなりはしない。いい加減、ほかに楽しいこと見付けて、好きな「男」でもゲットしてくれたらと思うのだが(当然のごとく、そのオタ氏は独身である)、まあ、マリアナ海溝よりも深い愛情をお持ちの、同好の趣味の方であったとしても、オタ氏相手に一生を棒に振るのはゴカンベンというところであろう。いやまあ、見た目も典型的なハゲデブオタだし(^_^;)。 どうせ今回も私に「実害」はない。オタ氏がいくらハガキをバラ撒こうが、オタ氏の財布からハガキ代が飛んでいくだけの話である(月に万単位で使ってるんだから、全くご苦労なことである)。これまでの経緯から、オタ氏ができることなんて、「ハガキ書くこと」しかなく、私に対して「実害」を与えるような具体的な何かを仕掛けてくる度胸もないのだ、と確信できた。この日記でいくらネタにしたところで、何の問題も生じはしない、ということがはっきりわかったので、こうして書くことにしたのである。つか、このサイトの存在自体、オタ氏は知らないだろうけれど。 というわけで、私はしょっちゅう「オタクはよう」、とイタいオタクのことをあげつらっているのだが、念頭にあるのは殆どこのオタ氏のことなのである。この日記を読んでるオタな方、勝手に「自分のことだ」と誤解、つーか、被害妄想に陥ったりしないように。そう思い込んでしまったら、それは取りも直さず、アナタ自身がこの「オタ氏と同類」だということになるんだからね。 ……と言うわけで、あえて言おう、世間の「結婚できない」オタク諸君(する気がもともとない人は除く)、自分が結婚できないことを他人のせいや世の中の偏見のせいにしちゃイカンですよー。紛れもなく、原因は「アナタ自身」にしかないのだからねー。
しげに迎えに来てもらって、仕事帰りに「庄屋」で食事。「レッドキャベツ」で買い物をして、「積文館」で本を買い込む。 昨日に引き続いて、トンガリさんの仕事を代行していたので、今日はすっかり疲れ果てて本も余り読めなかった。 マンガ、ゆうきまさみ+とり・みき『新・土曜ワイド殺人事件』、和田慎二『スケバン刑事if』、唐沢なをき『電脳炎 ハイブリッド版』ver.5、とこんなもの。
夜、よしひと嬢に「『イノセンス』はどのバージョン買うの?」と電話。よしひと嬢、既にチラシを手に入れていて(さすがだ)、「台本とか点いてるのにしようかと思うんですけど。犬は要らないから」とのこと。だったらやっぱり私は「コレクターズボックス」を予約しないといけないのだろうか。アマゾンだと20%引きだからなあ。そちらで買ったほうが少しは安くつきそうなのである。
2003年07月06日(日) 日曜の昼は出たくないね/DVD『悪魔くん』vol.1/『ワイド版 風雲児たち』14巻(みなもと太郎)ほか 2002年07月06日(土) 理想の正論より現実の暴論/映画『スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』 2001年07月06日(金) ニュースな一日/DVD『遊撃戦』第一話ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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