無責任賛歌
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2004年05月23日(日) |
庵野秀明インタビュー&カンヌ映画祭閉幕! |
昼から、千代町のパピオビールームで練習に参加。 最初に集まっていたのは、しげ、鴉丸嬢、其ノ他くん、今回は演出補佐に回ったお久しぶりのよしひと嬢、それから照明でお手伝いしてくれることになった細川彩乃嬢。だいたいウチのメンバーには芸名のほかにニックネームと言うか、仇名がつけられている場合が多いのだが、細川嬢もちょっとトンデモない名前をつけられてしまっている。とてもここには書けないのだが、付けたのはやっぱりしげである。……いやね、愛称ってものはさ、もうちょっと世間的に認めて頂けるコトバを選んだほうがいいと思うんだけれども(-_-;)。それなのにご本人はあまり怒っているような素振りを見せてはいらっしゃらないのであるが、細川嬢の海よりも広く深い心ばえが察せられることである。 今日はチラシと衣裳案の決定なので、私も何枚か下描きを描いたのだが、全部マンガっぽいということでボツ。写真をコラージュしよう、ということになった。 衣裳案は、鴉丸嬢がステキなイラストをたくさん描いてくる。衣裳もそうだが、キャラクターがともかくかわいい。カトウくんなどは何枚も衣装を替えねばならないのでたくさん描いてもらっているのだが、一枚一枚、全部キャラが違っている。往年の光ゲンジの諸星君っぽいのまであったが、どういうキャラをカトウくんに演じさせたいのであろうか。 あとは劇中に使用する曲のサンプルなどを聞いてもらう。今回ともかく使用曲が多いので、音響は大変なのである。 鴉丸嬢、其ノ他くん、細川嬢の3人は今日は用事があるとかで、3時過ぎに帰る。入れ替わるように、カトウくん、桜雅嬢が来て、しげと二人のシーンなどを試演。よしひと嬢はカトウくんの演技を見るのは初めてなので、楽しんでいる。動きはまだ入っていないので、やはりまだ「芝居」にはなっていないのだが、海苔は前回よりよくなってはいる。ただ、二人ともまだ刮舌が甘いので、ことによるとセリフをかなり手直ししなければならなくなるかもしれない。これも今後の課題である。 今日の段階で打ち合わせられることはこのくらいなので、いつもより早め、5時半過ぎにパピオを出る。決めかねていたエンディングに使う曲も固まったので、少しずつ形ができあがってきている感じである。
それから、映画を見るために、キャナルシティまで。 と言っても、レイトショーまでには3時間以上あるので、それまで店を回って時間を潰すことにする。 まずは「ラ・ブーン」で食事。しげお気に入りの手巻きオムライスの店で、角煮オムライスとサラダ。オムライスをクレープのように手巻きしているから、歩きながら食べることもできる、というのが売りなわけだが、実際には歩きながら食べると中身を落っことしそうで危ない。座って食べるしかないのだけれど、「手頃感」はあるので、これはいいアイデアだなあと思う。 それからローソンに回って、野村萬斎の『オイデュプス王』のチケットを購入しようとするが、四日間の公演全てが完売。しげも私も、これはぜひともナマで見たかったんだが、諦めるしかない。実はツテを辿って抽選にも参加していたのだが、それも外れていたのである。野村萬斎、やっぱり「旬」なんだなあ。 福家書店にも回るが、こちらは先日めぼしい本はたいてい買っていたので、特に物色するものはなし。しげにせっつかれて、ここは早々に表に出る。
それでもまだ2時間ほど時間があったので、HMVで、芝居で使うCDを探す。私は私で、『キューティーハニー』のキャンペーンやってるよ、としげから聞いていたので、そちらの興味もあって覗いてみることにしたのだが、なんと庵野秀明監督と、武術指導のシンシア・ラスターさんが来福されてインタビューに答えられていた。こういう僥倖もあるものなのだとビックリ。 庵野監督のお話はだいたい以下の通り。 「『キューティーハニー』は『ハニメーション』と言ってはいますが、昔風に言えばスチールアニメーションです。ハニーの佐藤(江梨子)さんにポーズを取ってもらって、それを撮影して、アニメーションと同じ手法で作ったんです。実写をアニメーションの材料に使うわけで、CGよりずっと手間もお金もかかります。でも、CGにはCGにしかできないことをやっていただくだけで、後は全部こちらでやりたいんですね。ミニチュアもいい出来のものがありまして、ほんの一、二秒しか使わないカットのために、このくらい(10センチほど)の高さのハニーの人形を作って来てたんですけれども、あれは本当にいい出来でした。それは持って帰れなかったんですけれども、別のものは記念に持って帰りました。 ともかく、最初の『ハニー』のアニメの雰囲気を残そう、というのは一番気を付けたことで、音楽も昔のオープニングは全く同じテンポで使っています。アレンジは今風ですけれども、倖田(來未)さんにもそう歌ってくれるように頼みました。あとエンディングの『夜霧のハニー』とBGM一曲は使わせてくれ、と申し出まして、これだけは絶対に譲れない条件でした。結果的にあと2曲使って、他の曲も昔のアニメの雰囲気を感じられるものにしました。サントラも構成まで全部自分でやりました。アニメ業界はそこまでやる人、結構いるんです。 音楽は昔のものしか聞かないですね。それも特撮、アニソンばかりで。最近の曲、歌謡曲とか全然知らないんです。昔のもので充分と言うか、昔のものは今でも変わらないと思ってるんです。趣味が広いようで、実はすごく狭いんです。ぼくの音楽は70年代から80年代初頭で止まってますから。今日もここに来るまでにiポットで聞いてたのは『ファイヤーマン』と『ミラーマン』です。 『キューティーハニー』の続編ですか? それはこの映画がヒットするかどうかですね。映画界というのは、掌を返したように、舌の根の乾かないうちに逆のことを言う人たちばかりですから。今は全くそういう話はないんですけれども、ヒットすればどうなるかわかりません。もしかしたら『ハニー』はぼくのライフワークになるかもしれませんね。今はスカパー用にアニメーションの『Re:キューティーハニー』を作ってますが、これは3本とも監督が全部違って、全部違った作品になっています。 『ハニー』はともかく、笑えて、泣ける映画です。始まって5分で三回笑えるところを作ってます。そして映画が終わって外に出たら心が元気になるような、そういう映画作りを目指しましたし、そうなっていると思います。ぜひ見にきてください」
シンシア・ラスター女史は、「サトエリさんは背が高くてて足が長く、私と体形が全く違うので、立ち方、ポーズの取り方、全て一から考えなければならなかった」と苦労を告白。 「スケジュールは本当に短かったんですけれども、現場はともかく庵野ワールドの人たちばかりなんで、朝から晩まで何時間一緒に仕事してもオーケーみたいな、楽しい雰囲気でした。パソコンとかの専門用語が飛び交ってて、何言ってるかわからなかったんですけれども」
インタビュー自体は30分ほどで終わり。 ハニー関連のものはそんなに買うつもりはなかったのだけれども、せっかくだからと食玩とDVDプレミアム映像集を買う。しげが「これも買って」と言うので、CD『及川光博の世界』も(^o^)。 携帯カメラでキャンペーンのタテ看板なんかを写真に撮っていると、同じく隣で写真を撮っていた20代らしい長髪でやや背の低い女の子から、声をかけられる。 「お客さん、少なかったですねえ。庵野さん、まだあまり有名じゃないんでしょうか」 確かに、集まっていたのはせいぜい20名ほどである。「誰のイベントだ」、とちょっと覗いて、すぐに帰っていった客も何人かいた。「世界の庵野秀明」としてはあまりに寂しい。 「宣伝、あまりしてなかったせいじゃないですかねえ。私も、家内からこういうイベントやってるって教えてもらって来たんですよ」 さすがに「オタクの間だけじゃないでしょうか、有名なのは」とは言えないので、そんな風に返事をした。それにしても、中年のオヤジに声をかけてくるとは変わった女の子だなあ、と思っていたら、女の子は、挨拶をしてこう言った。 「私、フランスの『OTAKU』って雑誌の記者なんです」 ……一瞬、絶句しました。なんか、今日は驚かされることばかりだなあ(^_^;)。 「ご存知ですか?」と聞かれたので、「ええ、雑誌やテレビで見たことはあります」と答える。「わざわざ今日は取材ですか」 「ええ、庵野さんのお話も伺えました」 それからちょっと、ここには書けないヒミツのやりとりをして(^o^)、ついでに、『ハニー』のDVDとミッチーのCDを手に持った姿を写真に撮られてしまう。いやもう、ホントにビックリですがね。もしこのホームページ見てる人でフランスに住んでる人がいたら、来月号の『OTAKU』に私の写真がもしかして載るかもしれませんので、送ってくださいな。f(^^;) 「今日はお話聞けて嬉しかったです」と挨拶してHMVを出たが、それにしてもずいぶん気さくな女の子だったけれども、印象は『ダーティ・ペア』のユリって感じだったなあ。「同じオタクなら、声かけてもヘイキ」とでも思ったんだろうか。でも、世の中には女の子に飢えてるアブナイ独身オタクも結構いるから、記者とは言え、声をかける時には気をつけた方がいいなあとは思うけれども。 ……ああ、いや、別に相手の電話番号とか、そんなの聞き出したりはしてないので、妙な期待はしないように(^_^;)。
映画は『レディ・キラーズ』。トム・ハンクス主演、コーエン兄弟監督による往年の名作『マダムと泥棒』のリメイクである。こういうブラック・コメディは大好きなので手放しで誉めたいところだが、ちょっとラストがあっけなく終わった印象はある。キャラクターがいろんな人種に変わったのがオリジナル版との一番の違いだろうか。 帰宅して、しげと『ハガレン』のDVDを見るが、やっぱりしげは途中でイビキをかきだしてしまうのであった(^o^)。
第57回カンヌ映画祭の各部門の受賞者・作品が決定。 ◎パルムドール(最高賞) 『華氏911』マイケル・ムーア監督(アメリカ) ◎グランプリ(審査員特別大賞) 『オールドボーイ』バク・チャヌク監督(韓国) ◎男優賞 柳楽優弥『誰も知らない』(日本) ◎女優賞 マギー・チャン(張曼玉)『クリーン』(香港) ◎監督賞 トニー・ガトリフ監督『エグザイルス』(アルジェリア) ◎脚本賞 アニエス・ジャウィ、ジャンペール・バクリ『ルック・アット・ミー』(フランス) ◎審査員賞 イルマ・P・ホール『レディ・キラーズ』(アメリカ) アピチャポン・ウェラセタクル『トロピカル・マラディ』(タイ)
一部、ムーア監督がパルム・ドールを取ったのは、政治的配慮のせいだ、との批判があったようだが、現物を見てない以上、私には何とも言えない。スタンディング・オベーションが凄かったという話は聞いたから、それだけが原因ではないと思うのだけれども。 日本のマスコミは、早速「史上最年少受賞」ということで、柳楽優弥くんをフィーチャーし始めているが、これも映画を見ていないから、現段階でコメントすることはない。どちらかというと、大騒ぎしているマスコミの人間たちだって、映画を見ずに記事にしてるんじゃないかって気もするが、そういうものなんだろうね。 『イノセンス』はちょっと残念だった。押井監督は今はまだ次のアニメを作るかどうか未定、ということだそうだけれども、できればまた捲土重来を期してほしいものである。
2003年05月23日(金) すっ飛ばし日記/寝ると怒る女 2002年05月23日(木) 風邪さらに悪化/『パワーパフガールズDVD−BOX/バブルス缶』/『何が何だか』(ナンシー関) 2001年05月23日(水) できれば私への電話はご遠慮下さい/『真夜中猫王子』2巻(桑田乃梨子)ほか
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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