無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年03月19日(金) 文春顛末と『ラストサムライ』と『牛乳屋フランキー』

 いつもいつも思うことなんだけれども、その日一日でいろんなことがありすぎると、当然、日記には書ききれないほどになっちゃうのである。しかも「他愛ないことでもなんでも書く」ということをモットーにしているので(これも「つまんねえことばかり書いて意見を押し付けやがって」と勘違いする人がいるのだが、できるだけ自分自身の出来事に関する取捨選択を減らすためにしていることである。その文章を読んで面白いと思うかつまらないと思うかは読者の判断に任されているので、書き手が云々することではない)、気がついたら日記登録の字数オーバーになることもしばしばであった。しかも日記の更新、どんどん遅れていくし。
 そういったわけで、「読んだ本・マンガ」とか「見たアニメ・映画」の類は日記を再開して以来、別コンテンツとして独立させたわけだけれども、日記の更新が遅れずにすんでる分、こちらの更新は「だだ遅れ」になってしまっているのだ。この日記は「エンピツ」の「アニメ・漫画」のコーナーに登録しているのだけれども、すっかり羊頭狗肉、看板に偽りあり、という状態になってしまっている。『鋼の錬金術師』だの『カレイドスター』だのの感想も書けなくなってるのは自分としてもツライのである。ああ、あんなに面白いのに、その面白さを書くヒマすらないなんて!(T.T)
 その日読んだ本のタイトルとちょっとした感想だけでも書きゃいいじゃないかとよく言われてるんだけれども、別に「こんなにたくさんマンガを読みました」ということを自慢したいわけじゃないので、タイトルだけじゃ何の紹介にもなってないじゃないの、と感じてしまうのである。だから、まとまったものを書こうとすれば、どうしても量が長くなってしまう。その作品を読んでない人にも「どんなお話かわかって」「読んでみたいなと思わせる」ものを書こうなんて自分の文章力も考えずに「高望み」をしちゃっているから、そういう事態に陥ってしまうのだ。私は自分の文章を「オタク向け」に書いてるつもりは最初から全くない。できるだけオタク特有のジャーゴンを使うまいとしているのもそのためである。……でも、実際にこれを読んでる人の殆どがオタクさんなんだろうから(でなきゃたかがシロウトの書く文章をわざわざ読みに来たりはしないわなあ)、そういう判断はムダかなとは思うんだけれども。でもやめられてりゃとっくにやめているのである。
 四月以降も面白いアニメは始まりそうなんだけれども、果たしてその感想をアップなんてしていけるものかどうか、心許ない。ああ、誰かいいアイデアあったら教えて(TロT)。


 出版差し止めの処分を受けた『週間文春』3月25日号、福岡では今朝の発売であった。東京とは二日くらいズレがあったのだな。そりゃそうか。
 朝、職場に向かう途中、7時半の時点でコンビニに寄って見たのだが、常時、5、6冊は入れてるはずなのに、もう2冊しか残っていない。やっぱり誰か買ってるか。たまにしか買わないのを久しぶりに買い求めてみる。
 で、当該の記事を読んでみたわけですよ。田中真紀子氏の長女に関して、どれほどひどいプライバシーの暴露がされている買ってことが判断できないとモノも言えないし。で、かなり簡略化して結論を言っちゃえば、性悪説の立場に立てば原告の訴えは正しいし、性善説に立てば被告の反論が正しいということになるかな(^o^)。
 まず、その長女さんだけれども、田中真紀子さんの長女ではあるのだけれども、「現在は」完全な私人であるわけである。記事中では暗に長女さんの政界進出も匂わせるようなことも書いてはいるけれども、単なる「予測」でプライバシーを暴露していい理由にはならない。「将来もしかしたら有名になるかもしれないから、あなたのプライバシー、記事にします」と言われたらどうしますか。世の中、それで喜ぶ人ばかりじゃないでしょう(私が自分の妻のことを含めて、劇団の人間のプライバシーについて書くことがあるのは、彼らがヘタクソであろうが曲がりなりにも「公演」を行っている「公人」であるからである。公人は自分のプライバシーの一部の公開も「公益」になるってこと忘れちゃいけないやな)。
 これまでにマスコミは筒井康隆の『俺に関する噂』もかくやというほどの「私人」の「プライバシー」暴露をやらかしてきた過去があるから、感覚が鈍磨していると思しいが、まず、長女さんをターゲットにした時点で、「間違い」を犯している点に気づいていない。記事にするなら、長女さんが実際に「政界進出」してからにすべきでしたね。「あの程度のことを書いて、プライバシーの侵害になるのか」という意見は、記事にする対象を間違えた時点で言っても意味がないことである。
 しかし、ここで指摘しておきたいことがある。ここで記事にされている「あのこと」が、そもそもニュースヴァリューを持っているという文春の判断、そして記事にしてほしくないと考えた原告の判断、その二つともが「そのこと」自体に対する偏見で成り立っているということだ。文春は、「そのこと」が、長女さんの「汚点」であると思っているから、「報道価値がある」と判断した。長女さんは、「そのこと」が世間に広まることが「恥ずかしい」ことだと思ったから出版差し止めを要求した。
 けど、「それ」は「汚点」でも「恥ずかしいこと」でもない。長女さんと同じ経験をしている人は世の中に腐るほどいるわけだけれども、そのことをみんなが恥ずかしがっているのだろうか? 「性悪説の立場に立てば」と書いた通り、現実として、そのことを「汚点」と考えて笑いものにするヤカラは世間に腐るほどいるだろう。他人の善意を信じて、「こんなこと周囲のみんなは気にしないでいてくれるだろう」と判断するのは甘い。長女さんの活動が、この記事がもとになって阻害されることは確実にあると思われる。訴えを起こして、記事の流布を止めたいと思った心情は察せられはする。
 がしかし、そこで長女さんが訴えを起こしたことは、長女さんと同じ立場にある人たちを蔑んでいるに等しい行為でもあるのだ。長女さんは明らかに「自分が傷つくこと」しか考えていない。今回の騒動を起こしたことで、何万の、何十万の人間が傷つくことについては、一片の思いもいたされてはいないのである。これは、現代人の「傷つきやすい症候群」「被害者ぶりっこ」が、かえって誰かに対する加害者となってしまう典型ではないか。プライバシーを暴露されただけなら同情もされたであろうが、訴えまで起こせば「ふざけるな馬鹿野郎」という罵声が長女さんに浴びせられても、これは仕方のない行為なのである。
 じゃあ、長女さんは、訴えを起こさないで、ただ忍従していればよかったのか? それも一つの手ではあるだろう。しかし、訴えを起こすくらいの行動力を持っているのだから、それこそ他のメディアの取材に応じて、文春がいかに人権を侵害しているかを糾弾するキャンペーンを張るくらいのことをすればよかったのである。その時注意しなければならないのは「自分が傷ついた」ことを前面に出すのではなく、現代日本の、「そのこと」を「汚点」とする報道の精神の歪みそのものを追及することである。そうすれば、「この程度のことを報道されたからって、怒る方がおかしい」と感じている世論が、「この程度のことをわざわざ個人の欠点であるかのように報道する方がおかしい」という方向に傾いていくことだろう(「私憤を公憤にすりかえた」と揶揄する向きは残ろうが、たいした影響はない)。両者は、ベクトルは逆だが、発想の根は同じなのである。……この程度の情報操作もできないようなら、仮に長女さんが政界進出を考えていたとしても、海千山千、魑魅魍魎の中を渡り歩いて行くことは難しかろうと思う。やめといたほうがいいね。
 もう一つ、裁判所の判断もおかしいのは、仮にプライバシーの流出を阻止する目的だったとしても、当該記事の削除だけを指示すればよいことなのに、「発禁」を指示したことである。雑誌の他の記事を公共の目から抹殺していい権利など、裁判所にも長女さんにもない。「表現の自由」を侵害されているのは、当該記事ではなく、その他の執筆者の人々なのだ。作家さんたちと、文春の連載を楽しみにしていた読者は、みんな揃って裁判所を訴えたらいいと思うがどうかね。


 仕事を半ドンで終えて、しげとワーナー・マイカル・シネマズ福岡東へ。以前から「どんなヒット作でも悠々と座れる」閑散ぶりを日記にも何度となく書いてまいりましたが、今月末の閉館がめでたく決まりました(^_^;)。ちょっと離れたところに6月から新しく「ワーナー・マイカル・シネマズ福岡ルクル」ってシネコンができるので、そこに吸収合併される形になるとか。こちらのほうが距離的には家から近くなるので、たいして困らないのだけれども、「いつでもゆったり座れる」ようになるかはわからない。いや、なったらまた潰れちゃうだろうけど。
 でもさあ、閉館記念で27、28日に千円均一、「サンクス上映」をやるってんだけど、の映画が『ニューシネマパラダイス』と『ロッカーズ』ってラインナップはうらぶれ過ぎててどうしたものかね。
 昼ご飯にハンバーガー一個だけ食べて、映画は『ラスト・サムライ』を見る。
 去年の12月から公開されてて、今日が最終日。やっと間にあった(^_^;)。お客さんはまあ10人ほど。
 「時代考証を気にしなければ面白い」とはよく言われてるけど、あれを気にしないのは鈍感だよ。ただの風俗の違いってことじゃなくて、日本人の精神そのものを歪めてるもの。「日本人の忘れられていた魂がそこにある」とかアホウなこと言ってるやつがいるが、渡辺謙の役、精神主義で突っ走ったただの軍国主義者じゃないか。
 それにそこに目をつぶってあげたって、描かれてる世界は思想的にもエンタテインメントとしても特に傑出してるわけでもない。つか、陳腐。そこそこ楽しめはしたけど、『王の帰還』や『ミスティック・リバー』に敵わなかったのも当たり前だ。

 そのあと、いったん帰宅してひと休み。夜になって、
 今度は博多駅に向かう。紀伊國屋で本とDVDを買ったあと、シネ・リーブル博多駅で、『中平康レトロスペクティブ』の最終日、『牛乳屋フランキー』を見る。LDで持ってるんだけど、もう見返す機会もなかなかなさそうだし、劇場の雰囲気を確かめたかったのである。古い映画だし、今見りゃどうしてもつまんなく感じるところは多々あるのだけれど、動きに切れがあるころのフランキー堺の代表作の一つであることには間違いがない。中平康の代表作にはできないけど。
 私は気づかなかったが、後ろにいた中年オヤジが、利根はる恵が市村俊幸に脱がされるシーンで、「一ま〜い、二ま〜い」と画面に唱和していたそうである。しげが見終わったあと、イライラして私に当り散らして来た。「小学生かおまえはっ!」。でも、この手のカルトな映画にはそういう孤独な客が必ずいるものなのである。アニメ・特撮映画に群がるオタクのウンチク垂れ同様、確かに鬱陶しくはあるのだが、これも劇場での雰囲気を楽しむ要素の一つであるので、あまり目くじらは立てないでいてほしいものなのよね。ムリだろうけど。


 そのあと、フォルクスでサラダバーのみの晩飯。しげはコーラのみである。私はともかく、しげがどうしてそんな軽食にしてるかと言うと、鴉丸嬢を連れてしげの店まで行くことになってるからなのだ。今、しげの店では彼女のイラストが広告チラシに使われているので、現物を見に行こうとしげが彼女をデートに誘ったのである。既に時計は12時を回っていたが、鴉丸嬢のバイトが終わるのがその時間だから仕方がない。
 イラストと言っても、広告なんだから、ビールにおでん、それにお茶のカットである。でも評判がよかったらしく、全国でも展開しようかという話もあったらしいが、鴉丸穣、畏れ多いと断ったらしい。もったいない話である。もうちょっと度胸を付けてくれるとデビューだって早いと思うんだがなあ。
 店ではしげの注文したセットの明太子じゃこ飯を分けてもらい、それに作り置きのおでんをいくつかつまんできて、おかずにして食べる。しげと鴉丸嬢は、二人でお互いの父親の悪口で盛り上がっていて、とても口を挟める状態ではない。二人ともなかなか凄絶な生き方してきているので、安穏な人生しか送って来てない私なぞは縮こまってるしかないのである。
 鴉丸嬢には、今、ホームページの挿絵をいろいろと頼んでいて、そのための資料としてDVDもかなりお貸ししているのだが、結構「手一杯」な状態らしい。まあ、一気に10本くらい貸したからな。「金田一ものとかは見れるんだけど、松本清張は苦手で」と言うそばから、しげが「でも『鬼畜』はいいよー。緒形拳がオレらの父ちゃんみたいで」と茶々を入れる。「鬼畜」みたいなって、どんな親だ、それ(^_^;)。
 しげも鴉丸嬢も、嬉々として父親のことを責めるけれども、「自分の親のことをそこまで言わんでも」と言うのは事情を知らぬ者の的外れな妄言に過ぎない。世の中ホントに「善人」だらけで、余計なおためごかしを口にする馬鹿は腐るほどいるけれども、所詮は他人なくせに自分が優越感に浸りたいだけの甘言など、二人とも一発で見抜いてしまう。そうなると二人は本気で立腹するので、老婆心は言葉通り、ただのお節介にしかならない。まあこの二人には、自分を「いい人」に見せたい人間は近づかないほうが無難であろう。人間、「誉められりゃお世辞でも嬉しい」と感じるような猿ばかりではないのである。
 鴉丸嬢、あるオタクなやつから「そんな風にお父さんのことひどく言っちゃダメだよ、君を生んで育ててくれた人なんだから」と言われたそうである。教師かテメエは、と言いたくなるような歯の浮くセリフであるが、しかもそいつ、彼女をナンパしてきたのだとか。まあ、鴉丸嬢の「テメエに言われたかねえ!」と激昂することといったらないが、当然だろう。これで下心を見抜かれないでいられると思ってるあたり、だからオタクにゃ猿が多いと思われてしまうのである。オタクならオタクらしく、二次元のキャラだけでガマンしてろよってな。


 鴉丸嬢を送って帰宅したのが午前4時。さすがに日記もコンテンツも更新する元気なく、そのまま寝る。いや、実はしげの車の中ですでに寝てしまっていたのだが、いつでもどこでも瞬時に寝る特技を鴉丸嬢にも見られてしまったらしい。まあ、見られて困るわけでもないけどさ。

2003年03月19日(水) 言わずもがなのお話/『社会派くんが行く! 激動編』(唐沢俊一×村崎百郎)
2001年03月19日(月) 文句ばっかり言いたかないけど/映画『ONE PIECE 〜ねじまき島の冒険〜』ほか



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