無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年03月11日(木) 多分今日の血糖値は馬鹿上がりだろう(T.T)。

 夕べ、しげに洗濯物を干しとくように言っといたのに、今朝洗面所を覗いてみたら、ほったらかしたままである。いつもしげは「干し方がわからん」とか言い訳ばかりして家事から逃げ回ってばかりいるので、昨日はまるで小学生相手に教えるように、具体的にどんなふうに干したらいいのか、実際にやってみせたのである。……冗談ではなく、私はしげに、「シャツとか干すときにはな、物干しにこうやって、袖を通して干すんだ」というように、バカ丁寧に教えているのである。そんなことまで教えないといけないのか、いくらなんでも自分の女房をバカ扱いしすぎてないかと驚かれる方もおられようが、ここまで丁寧に教えてもできないのがしげなのである。パートの仕事とか、金になることならするのだが、家事などはお金にならないので、自分の仕事と認識しようとしない。だから仕方なく、一日に何か家事をしたら日銭を渡すようにしていたのだが、それも段々サボるようになってきた。洗濯ばかりでなく、掃除も片付けも、何一つしたがらない。もちろん、それじゃ生活自体が成り立っていかないから、どんなにいやでも、少しくらいはやってもらわなければ困る。だからわざわざ、洗濯物の干し方まで、バカバカしいと思いながらも教えてきたのだ。けれど、もう何百回も教えているのに、一度もきちんとしたためしがない。
 どうしてそんな普通のことをしようとないの? と疑問を持たれる方もいらっしゃると思うが、私だってわけがわからない。それどころかこのことを一番疑問に思っているのは、しげ自身なのである。
 昨日も「洗濯したか?」と聞いたら、「ちゃんと干した」と言っていたので、またウソついてるんじゃないかと思って、洗面所に行ったら、やっぱり干してなかった。怒って「なんでウソつくんだよ!」と怒鳴ったら「ちゃんと干したのに!」と、自分は絶対ウソはついていない、と言い張る。それで、実際に洗濯機の前にしげを連れていって、洗濯物が入れっぱなしで干されていない様子を見せたのだが、しげは狐につままれたような顔になってしまった。「干したはずなのに!」。けれど、いくらしげが「干した」と言い張ったところで、現にやってないのは事実だから、反論できるはずはないのである。私はもう一度「やりなおせ!」と言って、居間に戻ったのだが、30秒もしないうちにしげも洗面所から出て来た。「洗濯は!? 今しがた『やれ』って言っただろ!?」と怒ったら、堂々と「だから干したよ!」と言った。……30秒で干し終えられるわけはないので、これは明らかにウソである。思わず「ふざけるな! なんでそんな見え透いたウソつくんだよ!」とまた怒鳴ると、しげも「だってホントに干したんだもん!」と涙声で怒鳴るのである。ウソをつく気なら、こんなすぐにバレるようなウソはつかない。しげは、“本気で”干したつもりになっているのだ。恐らく、起きたまま、「洗濯物を干した」夢を見ているのだ。しげはすっかり夢と現実の区別がつかなくなっているのである。「じゃあ、俺が見に行って、また干してなかったらどうする?」と聞いたのだが、しげは渋面を作って、「じゃあ、俺がウソツキでいいよ!」と開き直った。いいよも何も、実際にウソだと分ってるのを確かめる私の方がツライのだ。けれど、確かめないわけにもいかないので、また洗面所に行った。さっきから洗面所を行ったり来たりだ。もう書くのもいやなのだが、やっぱりというか案の定、洗濯物は干してなかった。ここまでしげの白昼夢に付き合わされると、私の頭の方がどうにかなってしまう。仕事疲れも溜まっていたので、「明日までに干してなかったらもうお前に給料渡さないからな!」と言いおいて、夕べは布団に潜りこんだ。
 朝になって祈るような気持ちで恐る恐る洗面所を覗いてみると、やっぱり洗濯物は干されてなかったのだった。いったい何回同じことを繰り返させられるのか。またしげを洗面所に連れていって確認させたのだが、しげは自分が干していたはずのものが干されてなくて、パニックを起こしてしまった。「なんで? ちゃんとやったのに!」
 「やったつもりになってるだけだって、いつも言ってるだろ!? だから『ちゃんとやった!』って言い張るんじゃなくて、注意されたら『もしかしたらやってないかもしれれない』って、自分を疑えって言ってるだろ!?」
 でもしげは、そう言われたこともしょっちゅう忘れているので、やっぱり同じ口答えを繰り返すことになるのだ。健忘症だけなら、単に「物忘れがひどい」程度ですむのだが、しげの場合、これに幻視幻聴が絡んでくるから始末に悪い。やってもいないことをやったと思いこみ、自分のしでかした失敗はケロリと忘れるのである。このしげの健忘症と幻視幻聴が何とか治らないものかと思って、神経科にももう3ヶ月以上、通わせてるんだけど、どうも効果はあまり上がっていないようだ。薬を飲んでもすぐに効果が出るものではないと聞いてはいたけれど、それにしても効果が薄い気がして仕方がない。ああ、せめて口答えする癖だけでも治ってくれないものか。でないと、ストレスでまたからだが悪くなってしまいそうなのだ。……神さまはいないね(T.T)。


 夜、ドラマ『エースをねらえ!』最終回。
 しょぼいテニスシーンを見てると、映画『ピンポン』はCG作画であろうが名作だったのだなあとしみじみ感じちゃうのだけれど、下見て比較しちゃいかんか。でも、思ってたよりは原作に忠実な作りになってたんで、まあこれはこれでヨシってとこにしとこうよ。誰に向かって言ってるのやら(~_~;)。


 これはもう、戦後最大のニュースと言っていいと思うのだが(^o^)、NHK『みんなのうた』が、DVD全12巻になってついに発売決定! あああ、何という朗報、何という快挙! 欣喜雀躍、呵呵大笑、これまで数々の名作ドラマ、子供番組を「ビデオ代がもったいないから」というクソバカかつケチくさい理由で廃棄して顧みなかったNHKのことだから、こんなもんが出る日が来ようとは思ってもみなかったのだが、もうこれは踊るしかないね! ヘ(^m^ヘ)(ノ^m^)ノヘ(^m^ヘ)(ノ^m^)ノ ヒゲダンス♪
 放送開始の1961年から2002年までにかけて放送されたものの中から、全169曲を厳選し、既にNHKには保存されていない映像も(これだからNHKは自分とこの文化をないがしろにしているというのだ)、多くのアニメーターに協力を要請して集めたという。まあ、私がなんでこんなに興奮してるかは、この『みんなの歌』に携わってきたアニメーター、イラストレーターの面々の名前を“ほんのちょっと”紹介するだけで納得していただけるだろう。
 和田誠、久里洋二、中原収一、藤城清治、真鍋博、やなせたかし、谷内六郎、横山隆一、横尾忠則、柳原良平、亀井武彦、小薗江圭子、東君平、川本喜八郎、長新太、佃公彦、古川タク、月岡貞夫、水森亜土、大井文雄、吉良敬三、花之内雅吉、堀口忠彦、毛利厚、福島治、岡本忠成、りん・たろう、田中ケイコ、林静一、ひこねのりお、若井丈児、矢口高雄、南家こうじ、加藤晃、ほんだゆきお、鈴木康彦、倉橋達治、芝山努、金海由美子、葉祥明、こはなわためお、小林まこと、西内としお、前田昭、西村緋祿司、葛岡博、鈴木欽一郎、水木しげる……。
 これだけの作家たちの絶品アニメを堪能できるのである(歌手についても触れたいところだがますますキリがなくなるので省略)。しかも褪色してしまった古い映像は、新たにデジタル彩色を施して極力当時の色に復元したり、ノイズ除去ソフトを使用して音も修復して、音と絵のタイミングも、ズレが出ないよう微調整を行うなど、現状で出来るかぎりのクリアな画質・音質を実現させたとのこと。もちろんブックレットも完備。
 ああ、なんというオタク仕様! クソNHKめ、オタクなら絶対買うと踏んでやがるな。つか、これ買わないアニメオタクはオタクの看板降ろした方がいいぞ。私はオタクじゃないから悩むけど。4月23日の発売だけれど、一般発売はなくって、通販のみだそうな。気になる価格は40,320(税込)を予定。……えーと、誰か私にプレゼントしてあげようという奇特な方はいらっしゃいませんか(--;)。


 まあカネがかかるということでは夏発売予定の『ピンク・パンサー』DVDボックスという大物も控えているのである。でも、実質傑作なのはシリーズ中でもせいぜい二、三本なんだけど、やっぱり買わないわけにはいかないよなあ(ーー;)。
 これまでずっとDVD化されてなかったのに、いきなりボックス発売ってのは唐突な気もするけど、これは多分、リメイク新作の宣伝にひと役買ってもらおうという戦略なのだろう。
 それにしても新作『ピンク・パンサー』、キャストだけはスティーブ・マーティン、ジャッキー・チェン、ジャン・レノ、ビヨンセと発表されていて、すげえ超豪華なのだけれど、一向に製作に入ったという話を聞かない。ちゃんと完成するんだろうか。


 その他の映画製作開始の情報、有名どころでは『ホビットの冒険』(もちろんピーター・ジャクソン監督だけれど、今『キング・コング』にとりかかっているから、早くとも数年先になるようだ)、C.S.ルイスの『ナルニア国ものがたり』(監督は『シュレック』のアンドリュー・アダムソン。ディズニー製作ってのが不安要素だけれど)、エドガー・ライス・バローズの『火星のプリンセス』(監督は『スパイキッズ』『レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード』のロバート・ロドリゲス。何だか可もなく不可もなくって感じになりそうな)。どれもこれも「いかにもシリーズ化考えてます」って感じの企画なのがいじましい。『2300年未来の旅』のリメイクってのもあるな。なんかこれも「今更」感強し。
 どれもこれもタイトルだけは昔馴染みなものばかりで、一応、惹かれはするんだけれど、どうせコケオドシのCG映画にしかならないんじゃないかって気がして、なんだか見る前から気持ちが萎えちゃってるんである。どうせプロデューサーとかは、CG映像を多用すれば宣伝になって、きっと映画も売れるだろうって安易な発想でいるに違いない。でも、センスがなきゃ『マトリックス』シリーズの二の舞になっちゃうのは目に見えてるんだけどなあ。「無意味なところにまでCGを使っている」っていうシーンが増えすぎて、「また同じことを繰り返して」と食傷してる人は多いと思うんである。観客離れを憂える人がたくさんいるわりには、物語に絡むわけでもないCG映像をむやみやたらと作り続けてきた映画人の功罪は大きいと思うんである。

2003年03月11日(火) 本気のしげ/『イリヤッド 入谷堂見聞録』2巻(東周斎雅楽・魚戸おさむ)
2002年03月11日(月) また一人のスケープ・ゴート/『新千年記(ミレニアム)古事記伝 YAMATO』(鯨統一郎)ほか……“NEW”!
2001年03月11日(日) 多分、猫たちにもある愛/『CYBORGじいちゃんG』2巻(小畑健)ほか



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