無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年09月23日(火) お盛んな大阪/映画『總篇 佐々木小次郎』/『Q.E.D. 証明終了』16巻(加藤元浩)/『魁!! クロマティ高校』7巻(野中英次)ほか

 昨22日に行われた大阪府の緊急アンケートで、道頓堀川への飛び込みに、大阪人の83%が否定的、との結果が出たそうな。
 なんだ、結構大阪人も良識ある人って多いんじゃん、とウッカリ思ってしまいそうな数字であるが、果たして残り17%の中に「賛成」者がどの程度いるものなのか。仮に10%だとすれば、それはいったい「何人」くらいになるのか。
 9月1日現在の大阪府の人口は、8,831,220人。ということはその10%は、883,122人ということになる。これ、全然少ない人数とは言えないと思うんですけど(^_^;)。そりゃ六千人くらいは飛び込むわなあ。
 街中で石を投げれば、10人に一人の確率で「そういう人」に当たっちゃう可能性が高いのである。やっぱり今の時期の大阪には行きたくねえなあ、という判断は当たってんじゃないかと思うが。


 休日だけれど、終日無為。
 昨日から体調を崩しているので、午前中はずっと爆睡。CS時代劇チャンネルで阪東妻三郎特集をやっていたので見るつもりだったのだが果たせず。
 11児にようやく起きて、カレーライスを作る。「こくまろカレー」に焼肉のタレを混ぜて炒める。これがコクの上にコクが出ていいんだって。具は鶏肉のほかに、タマネギ、人参、ジャガイモのセット売りをそのまま使用。でも人参がちょっと古くなってへにゃっとしてたのは失敗(^_^;)。
 まあ、ルーの出来は悪くなかったので食えないことはない。しげにもまあまあ好評であった。


 昼からCS時代激専門チャンネルで『總篇 佐々木小次郎』(1951=東宝)。
 大谷友右衛門(後の中村雀右衛門)の映画出演第1作で、時代劇の名匠・稲垣弘が監督に当たっている。武蔵ではなく小次郎にスポットを当てた原作は村上元三で、脚本にも一枚噛んでいる。もっとも武蔵以上に素性の分からぬ小次郎のことだから、実在人物とは言ってもその物語は殆ど創作である。巌流島対決で小次郎が死ぬことは観客には分かっているのだから、どうしても小次郎の言動に悲壮感が漂ってしまい、モノクロ映像も相俟ってか、映画のトーンが暗く沈んだ感じになってしまうのは否めない。しかも、6時間弱の三部作を一本にまとめてるものだから、どうしてもダイジェスト的な印象が強く、三船敏郎の武蔵がチョイ役にしか見えないのも残念である。

 続けて、本作の同監督によるカラー版リメイク『佐々木小次郎 前編・風雲大阪城/後編・決闘巌流島』(1967=東宝)。
 これも四代目尾上菊之助(現・菊五郎)の映画デビュー作。稲垣監督、歌舞伎役者の若手を小次郎に起用するという伝統でも作りたかったんだろうか。話は前のと同じなんだけれども、尾上菊之助の方が大谷友右衛門より「やんちゃ」な印象を受ける。こっちの武蔵は仲代達矢だけれども、影が薄いのは前作同様。小次郎の履歴を描写しようとするあまり、ライバルを軽んじちゃった印象がある。まあこのへんが吉川英治と村上元三の腕前の差ってことになろうか。


 夕方、起き出して、ちょっとだけ日記を更新。休日こそ一気に一週間分くらい更新したいんだけれどそれがどうにもままならないのは、やっぱりこれも書いとこう、あれも書いとこうと欲が出るからである。
 もっとサラッといかんものかと自分でも思っちゃいるのだが。


 夜は民放で映画『ピンポン』をやってたのを見る。未だに原作マンガの方は完読してないのだが(買うこた買った)、松本大洋のコマ運びにはまだちょっと馴れないでいる。ひとコマひとコマが独立した静止画のような印象を受けてるもので、物語の「流れ」を掴みにくい。
 映画にそういう「静止画」を持ちこむことはかえって困難なので(持ちこんでる部分はかえって失敗している)、私には映画の方がずっと「流れ」を感じることができた。批判喧しい窪塚洋介についても、演技がどうのより、役者本人に対する嫌悪感のほうが先に立ってるような感想も多いし、そういう偏見抜きにして、これはやっぱり「面白い」映画の一本だと思うんである。


 マンガ、加藤元浩『Q.E.D. 証明終了』16巻(講談社/月刊少年マガジンコミックス・410円)。
 『サクラ サクラ』と『死者の涙』の2本を収録。
 シリーズも巻数を重ねてきてるからなのか、「異色」なエピソードが増えてきてる印象。
 『サクラ サクラ』は殺人もなければ誘拐もない。事件らしい事件もない。佐藤春夫の『家常茶飯』のような、基本的にはただの「失せもの探し」の話である。こういうのを他愛ないと切って捨てる読者もいるだろうが、「日常の謎」を描けることこそが、その作家に本当に実力が備わっている証拠なのである。「闇の中でも文字が読める」ネタに、「はは〜ん」と気づく人も多いと思うけど、この話の眼目は更に「そのあと」にあるのだから、そこで即断してこの話を侮ってはならないのである。それにただの物探しの話じゃなくて、今回は燈馬想が完全に「安楽椅子探偵」に徹してる点にも注目しておくべきだろう。
 ちょっとラブコメ要素が入ってるのはまあ、ご愛嬌ということで(^o^)。
 『死者の涙』には、ちょい怪奇ミステリの要素あり。タイトルは比喩でもなんでもなく、“本当に”死者が涙を流す話なのである。別にそこに「トリック」はありません(このへんはネタバレの範囲外だし、この手のミステリに不慣れな人は予め知っといたほうがいいだろうと思うんで書いときます)。これもカーの『火刑法廷』ほか、「そういうミステリの系譜がある」ことを知ってないと、多分「んなことあるワケないじゃん」と突っ込んでしまう読者もいるだろうね。
 つまり今回は二作ともすげえ「マニア受け」な話なんで(いつもそうだけど)、こんなん描いてお客さん付いて来れるんかいな、という心配が少しばかりしないでもない。けれどそのマニア性をそれと感じさせることなく、エンタテインメントなマンガとして成立させている点に加藤さんの非凡さがあると言えるのである。何度も書いてるけど、『探偵学園Q』とか『名探偵コナン』とか読んで感心してるようじゃ、ミステリの奥深さは全然味わえないってことなんですよ。


 マンガ、野中英次『魁!! クロマティ高校』7巻(講談社/少年マガジンコミックス・410円)。
 今度は「悲願熱涙編」(by『空手バカ一代』)です。この「〜編」ってのもいくらでもネタありそうなワリにもう随分マイナーなの選んできてるねえ。内容とはほぼ全く全然というほど関係ないのが常だけど、表紙のキャラが北斗武士だと、何となく意味ありげには見えるからフシギ(^o^)。
 中身は相変わらずで、いったいこれは面白いんだかつまらないんだか分らないセンスでぶっ飛ばしてますねえ。もうゴリラの絵がヘタでヘタで。これじゃイエティだよ(^_^;)。いやそんなことが言いたいわけじゃなくて。
 関係ないけど「ジェットコースターでは両手を上げる」なんてお約束、あったの?

2002年09月23日(月) なんだかいろいろ/『一番湯のカナタ』1巻(椎名高志)/DVD『ハレのちグゥ デラックス』第2巻/舞台『天神薪能』ほか
2001年09月23日(日) 行間を読んでね/映画『ラッシュアワー2』&『ファイナルファンタジー』
2000年09月23日(土) 昼寝とDVD三昧の一日/映画『スリーピー・ホロウ』ほか



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