無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年06月30日(月) ダンボールの迷宮/『新世紀エヴァンゲリオン DVD−BOX』

 昨日の劇団の練習に、久々にC−1藤田くんが来ていたのだそうな。
 借金だらけのはずなのになぜかワンボックスカーを買ったという藤田君にせがんで、しげ、その車に乗せてもらったのはいいのだが……。
 まず、後部座席に乗ろうとして、ドアが開かない。鴉丸嬢のか細い腕では全然ビクともしない、しげが渾身の力をこめて、「ええい!」と開けて乗りこんだはいいが、今度は降りるとき、固く閉ざされて内側からどうやっても開かなくなってしまった。しかたなく其ノ他くんが、外から男の子らしさを発揮して、なんとか開けたそうである。
 「でね、車の中が凄かったとて」
 「どんなふうに?」
 「内装がね、ダンボールなんよ!」
 「はあ?」
 「天井の布張りが剥げてたからそこに手を突っ込んでみたらね、中はダンボールやったと!」
 ……私は世間の車に詳しくないのだが、もしかして、車はみんな内側にダンボールを張っているものなのだろうか。ベンツもフォードもクライスラーも。


 今日も雨がパラつき。
 職場に電話をして、眼科に行くことを伝える。
 同僚にやりかけの仕事など頼むが、欠勤の理由が「風邪」とかだと、露骨に「その程度で休むのかコイツは」って感じの反応が返ってくるのが常だが、「網膜剥離」だと、「無理しないでどうぞゆっくりお休みください」って感じになるのがおかしい。病気の軽重でサベツしちゃいかんな。本人にとっては仕事にならん点では同じなんだが。

 今日は病院までしげに送ってもらえる。
 検査の結果は、とりあえずレーザー治療はうまくいっているとのこと。穴が広がるのはなんとか防げているようである。
 主治医からは「また一週間後に来て下さい」と言われたが、これから毎週、点検しないといけないんかな。
 ふと小さな黒いものが目の前を横切るので、虫かと思ったら、例の首吊り紐なのであった。コバエが目にたかってるような感じで、なんだか眼球が腐っていくような錯覚にとらわれてしまう。精神衛生上、あまりよくないのである。これもレーザーで焼いちゃうことはできなかったのだろうか。
 しかし、私が虫嫌いでなくてよかった。これがよしひと嬢だったりしたら、目の前にしょっちゅう蜘蛛がぶらさがってきてるように錯覚して、悲鳴を上げてたとこだろう。
 受付で、一昨日は手元不如意で払えなかった治療費を払う。保険でなんとかならんかと思うが、証書がどこに行ったか覚えてない。病人がこういうことに杜撰では損をするのである。

 帰りがけ、「ビッグボーイ」で遅めの昼食。
 二人とも同じランチを頼む。いつも絶対に私のと違うメニューを選びたがるしげにしては珍しいことである。手ごねハンバーグにチキンと豚肉のしょうが焼きが付いて680円。ボリュームがあるのにまあまあリーズナブルだ。
 サラダバーを覗いてみると、なぜかウドンがある。普通はスパゲティだろう。もしかして、パスタと間違えてウドンを注文しちゃったのか。……んなわけないな。けど麺つゆもないのにどうやって食うのか迷っていたら、しげが「ゴマダレかければ?」というので試してみる。
 ……辛くて食えたものではない(>_<)。
 「かけすぎとうやん」としげが言うので、タレをちょっとだけ付けて食べてみると、今度は味がしない。どうも要領がつかめない。和風ドレッシングにすべきだったろうか。
 帰宅して、目を休めるために夕方まで寝る。

 夕方からしげは仕事に、私は博多駅へ。
 紀伊國屋でDVDや本を買いこむ。もう、ここのDVDコーナーの店員さんにもすっかり顔を覚えられているので、カウンターで「あの……」と言うなり「『エヴァンゲリオン』ですね」と、荷物を手渡される。こんなふうに手回しがよすぎるのもあまりいい気はしないのだが、ここの女性の店員さん、丸顔に丸めがね、ショートカットでちょっと男の子っぽい感じが可愛らしくて、ちょっと昔にアイドル(?)だった斉藤ゆう子に似ていて、何だか憎めないのである。声も実にハキハキしていて感じがいい。
 こうなると、この店では絶対えっちびでおは買えないのであった(この店でなくても買わんけどさ)。
 

 DVD『新世紀エヴァンゲリオン DVD−BOX』。
 まあ、ケースがごっついこと。梱包用のダンボールから本体を取り出すと、赤いガラスケースの中に、セフィロトの木と死海文書をレリーフにした、細長い、銅色のケースが。ちょっと厳重すぎる気もするな。
 昔LDシリーズに付いていた「EVA友の会」も復刻。まさにコレクターズ・アイテムと言ったところだ。
 とりあえず、DISC1〜3と、特典映像を見る。確かに音が昔に比べてよくなってる気はするが、たかが音声多重のステレオテレビじゃ、そんなのよくわからないのであった。
 けれど、改めて『エヴァ』を見返すと、そのドラマ造りのうまさに今更ながらに舌を巻く。やっぱりかつてエヴァに人生狂わされた人々というのは、昔ながらのテーマ主義に毒されてて、何もないところに自分を投影し過ぎちゃったんじゃなかろうか。
 本放送時、第2話の『見知らぬ、天井』を先に見たしげが私に、「すごいよ! 前の話の続きを二つに割ってね、最初と最後に持ってきてるの!」と、その「ドラマ構成」にまず注目していたのを思い出す。
 しげに演劇の才能があるなあって感じるのは、こんなふうにキャラクターの内面描写よりも「語り口」にこそ演劇の本質があると直観してるとこなんだが(だから『エヴァ』をドラマとして楽しめて、自分を見失わずにすんだのだ)、あれから8年が経って、さて、少しはその才能が開花したのかどうか。

 特典映像、アフレコ用映像と称して、シロミだらけの映像を9話分収録。台本が手元にあれば、あなたもシンジ君やアスカやレイになりきってアフレコごっこができるという趣向である。……だったら台本もフロクに付けとけよ。
 ウワサの実写版「エヴァ」は、劇場版の予告編でもちらっと使われた、レイ、アスカ、ミサトを林原めぐみ、宮村優子、三石琴乃の声優本人が演じるというもの。シンジは本人が演じるわけにいかないのは分るな(^o^)。これがあたかも『ラブ&ポップ』につながる庵野秀明第1回実写作品として極めて高い完成度を持っているのが興味深い。そうだよなあ、こういうもう一つの『エヴァ』もありえたというのが、「作品世界というのは、とどのつまり、作り手と受け手が関わった分だけ無限にあるのだ」という世界観を表しているようで面白い。最後のシンジの声は、庵野監督自身の声アテだそうである。
 この実写版見られただけでもボックス買った甲斐があったなあ。

2002年06月30日(日) 荒む心、続く/DVD『マジンカイザー』5巻/『忍者飛翔 雪の章』(和田慎二)ほか
2001年06月30日(土) 原稿アップ(´。`;)/『マンガ世界戦略』(夏目房之介)ほか



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