無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年06月30日(日) 荒む心、続く/DVD『マジンカイザー』5巻/『忍者飛翔 雪の章』(和田慎二)ほか

 梅雨続く。

 久しぶりの劇団の練習だが、台本の打ち合わせだというのに、集まったのが私としげ、よしひと嬢、つぶらや君、穂稀嬢の3人。
 練習自体には参加できなくても、台本のアイデアは出すようにという連絡はしげはちゃんとしている。要するにみんな、やる気自体がないのだ。「やる気はあるけどアイデアがないだけ」という言い訳は却下。マトモに演劇やってるやつはそんな言い訳自体しない。
 次の公演のスタートが最初からこれでは初めから気力が萎えてしまうが、しげもいい加減で腹を立てているらしい。
 「1回連絡はしたんだから、返事がなくってもいちいち確認取ってあげたりしない。そういうのもうやんなっちゃった」と牧伸二みたいなことを言う。
 それはこちらもそういう気分ではある。この日記のアドレスはメンバーには教えてあるし、読んで反応することはできるはずだが、今まで芝居に関していろいろ文句を書き連ねても、全くと言っていいほど反応があったためしがない。かと言って、読んでるかどうかなんて確認は私だっていちいちしない。
 演劇が好きでもない人間と一緒に芝居を作れるほど、私には気力も体力もありはしないのだ。演劇は一人ではできない(できる場合もあるがそれはそれとして)。かと言って、やりたくもない人間をムリに集めて芝居を作ったところで所詮それは一人相撲だ。脚本を書くことをやめるつもりはないし、そのために個人ホームページを開きたいと考えてはいる。そうしながらいつも自問自答している。
 私は芝居を通じて誰に何を語りかけているのか。
 それは何かの実体を伴うものなのかどうか。
 答えに届きそうで、それを掴まえようとするとスルリと掌から逃げて行くのだけれども、この夏、1、2本の脚本は上げたいと考えている。
 どうやらその程度の時間は取れそうな感じなので。

 とりあえず集まった面子で、企画だけは立てる。詳しい内容はまだ発表段階ではないのでおいおい。
 そのあと、博多駅によしひと嬢を見送りがてら、紀伊國屋など回る。
 紀伊國屋のDVDコーナーに、黒澤明の東宝映画DVDボックス全3巻23作品の発売予告のポスターが貼ってあるのに気づいて、私もよしひと嬢も息を飲む。
 ずっと以前によしひと嬢にむりやり『隠し砦の三悪人』と『蜘蛛巣城』を見せて以来、彼女は黒澤明と三船敏郎のファンである。『雨あがる』を「抜け殻」と評するくらいに入れこんでいるので、当然このDVDボックスはほしいのだろう。ポスターを食いいるように眺め、やや上ずりながら呟く。
 「単品で買えるなら……ああ、でも半分以上欲しいのばっかり」
 私が「オレは買うぞ」と言おうとした瞬間、しげが何かを察したかのように「買わんよ」と言い出す。
 「どうして」
 「だって、ひとつ4万円近くするんだよ。3巻で12万? ハッ!」
 「別に一気に12万使うわけじゃないじゃん」
 それに、紀伊國屋は10%引きで売ってくれるから、3万6000円。ポイントカードの割引で更に2千円引き。10万ちょっとで買えるのである。映画ファンでこれを買わずにいられるものか。
 けどそうなるってえと、やっぱりどこかで切り詰めないとなあ。
 これでもビデオのエアチェックは控えるようにしているし、服は新しく買わないし、それなりに使うおカネを切り詰めちゃいるんだが。
 と言いつつ、よしひと嬢を見送った後、またすし大臣で食事。そうだよ、食事代がかかってるんだってば。けれど、ウチの場合、外食したほうがまだ安上がりだということが最近になってわかった。料理を二日分ほど作りおきしておくと、その日のうちにしげが食い尽くしてしまうのである。曰く、「次の日になって温めなおすと美味しくないんだもん」。
 これで人に無駄遣いをするなと言える根性が腐ってるのである。

 その後、しげと二人でこれも久しぶりのカラオケ。
 二人だけだと、今まで歌えなかった歌にも挑戦できる。私の場合はたいてい女性ボーカル曲だが(だってみんなの前ではどうしても熱唱曲ばかりになるんだもん)。あ、もちろんアニソン以外は歌いません(^o^)。
 密かに練習していた雛形あき子の『SIX COLORS BOY』(さあ、何のアニソンだかわかるかな?)、やはり音程が所々外れる。もう少しの練習が必要か。
 しげは『ミニパト』(よく入ってたな、こんなの)に初挑戦だが結構うまく歌ってる。全くいつの間に練習してたんだ……って人のことは言えんか。

 コンビニで風間杜夫の一人芝居、『カラオケマン』のチケットを買う。けれど、期日が9月11日の水曜日の午後六時半から。平日じゃん。しかも場所がサザンクス筑後小ホール(筑後市)。……ってどこだよ(~_~;)。
 博多から結構遠そうなんだけれど、本当に行けるのか。
 今日は気がついたら『009』を見逃してたけれど、もうDVDで全巻買うことにしたし、いいか。ムチャクチャひどい作画の回もなくなってきたし(その代わり飛びぬけていい回もないが)、絵が荒れたらまた総集編入れるでしょ、多分。


 ロマンのカケラもないようなドラマがまた一本作られそうな気配である。
 TBSの特別企画ドラマ『明智小五郎対怪人二十面相』(8月27日午後9時放送)の制作が開始されたが、名探偵明智小五郎役はなんと田村正和。
 ……「古畑」じゃねーか、というツッコミをしたくなる人が大半じゃないかと思うが、原作ファンの眼で見ればもう悪ふざけ以外の何物でもない。
 だからよゥ、原作には「神田伯龍にそっくり」って書いてあるってえのに、どうして似ても似つかぬ役者ばかり揃えてくれるかな。モノシラズは明智と言えば天知茂って思いこんでるやつ多いけど、明智は二枚目じゃないんだってば。
 それに田村正和って、今いったいいくつだ。いくら何でも明智やるには老けすぎてないか(そりゃ原作でも50代まで活躍してたけど、二十面相と対決するなら、せめて40歳くらいでないと)。おいちゃん、悲しいよ(T△T)。
 これまでの映像化で一番イメージに近かった(っつーか他のに比べりゃマシなだけ)のは嶋田久作だけれど、『屋根裏』じゃラリってたし、『D坂』じゃヒゲ生やしてたしなあ。みんなちゃんと原作読んでくれよ。
 それでもいつもニコニコ笑ってるけど底が知れないって感じの演技を田村正和がしてくれたら嬉しいんだけど、どうもキャスティングからして、スタッフが乱歩ファンとも思えないから期待は薄い。
 さらに視聴者を馬鹿にしてるとしか思えないのが、二十面相役がよりによってビートたけしだってこと。いったい何を作るつもりだTBS。……いつぞやの陣内孝則の明智にも相当腹を立てたものだけれど、正直言って、今回は憤りを通り越して殺意すら覚えるぞ。
 これがねえ、NHKの夏木陽介版『明智探偵事務所』みたいに、二十面相(演じるは米倉斉加年!)があのマスクしたヘンなスタイル(原作にそんな描写はない)を一切取らず、あくまで市井の人の中に埋没しているって設定ならビートたけしでも許せないものでもないけれど、スチールにはしっかりあの「怪盗スタイル」で写ってやんの。
 中村警部が伊東四朗ってのも、普通は喜びたいところだけれども、どヘタクソなコメディリリーフにされそうな気がしてこれも気が滅入る要素の一つ。
 いや、見る前からなんだかマイナス要因ばかり並べたてちまったけど、「見てからモノ言え」が批評の立て前ってものである。とりあえず見ますよ。ああ、見てやりますとも。見てどうか私の懸念が杞憂で終わりますように心から祈る次第です。


 『週刊文春』で、林真理子氏が『今夜も思い出し笑い』でナンシー関を追悼している。底の浅い駄文しか書けない人だってことはもう充分過ぎるくらい知っているので、またピント外れなこと書いてるんだろうなあと思っていたが、やっぱり今回も、ナンシーさんの文章を「悪口だけれど品があった」と愚にもつかない誉め方をしている。なんにもわかってないよなあ、品がないからこそ悪口の価値はあるし、俗だからこそ我々の共感を得るのだ。林さんの言い方じゃ、逆にナンシーさんの文章を貶めてるのと変わらない。誉め殺しするつもりか。
 「○○だけれども○○」ってのは便利なコトバで、全く何も考えてなくても意味のある文章に見せかけることのできるレトリックの一つである。「乱暴だけれども優しい」とか「猥雑だけれども美しい」とか、一見、相反するものを同価値なものとして並列しているように見えるけれども、そうではない。実は前者の価値をマトモに認めるだけの分析力を持っていない、あるいは認めようとしていないのだが、後者の言葉でいかにも理解しているように見せかけているだけなのである。
 偽善者はたいていこの種のコトバを平気で使う。私もしょっちゅう使うから間違いないぞ。(≧∇≦)/
 更に林さんは「ナンシーが自分が太っていることについて一切書かなかったのは、自分を道化にしたくなかったからだ」とかなんとか書いてるが、自分で触れたくなかっただけって、どうして考えないかな。
 こういう死去の際の妙な美化自体、生前のナンシーさんだったら真っ先に揶揄していたことだろう。ナンシーさんを誉めるのなら、こんな主観的で確認のしようもない言質でではなく、もっと理性的な人に客観的な言葉で語ってもらいたいものだけれど、語りたい人は今現在、本気で悲しんでいるんだよな。
 コラムニストの功績は、再評価がされにくい。作品自体に時事的な話題が多いために、評価する側にもその時代と現代とを結びつける批評家としての目が要求されるからだ。この二十年間のテレビ・芸能界がなんだったのかを再び評価しようという人間が出て来ない限り、ナンシー関の著作は膨大な情報の中に埋もれていくだろう。
 時代におもねって、安全なところからの物言いしかできない人間、差別語を糾弾することで事足れりと思っている偽善者が多い今、その可能性は高いように思う。
 悔しいぞ。

 同じく『週刊文春』から。
 小林信彦の『人生は五十一から』でワールドカップを総括。日本が負けた時点で既に総括に入っているというのがいかにも小林さんらしい。ベスト8に入れなかった時点で、確かに日本のワールドカップは終わっているのである。
 小林さんも、この一連の熱狂が、マスコミにより大衆が踊らされている結果だという認識をお持ちのようだ。「トルコを圧倒しつつ惜敗」というコトバが大本営発表並のウソであることも暴露している。一点差だろうが、片方が片方より圧倒的に強いということも現実にはある。負けは負けなのだから、このような報道が「偏見」あるいは「主観」によって書かれていることは否定できない事実だ。なのに、それを「惜しかった」と安易に語る人間が、既に「洗脳」されていることに、反論できる人がいるだろうか。
 この「夢」はまた次のドイツでのワールドカップで日本がコテンパンにやられでもしない限り、覚めることはないのだろうな。それでも覚めないバカもいるだろうけれど。


 DVD『マジンカイザー』5巻。
 あ〜、あしゅら男爵が弓教授に変装して光子力研究所を破壊しようって話ですけれど、ところがその日がちょうど弓教授の誕生日で、パーティでむりやりデカバナとヒゲをつけさせられたあしゅら、演じてるのは八奈見乗児さんだから、当然これは「ボヤッキー」になってしまう。「もうお仕置きされちゃて」ってセリフはストーリー上はドクターヘルにってことになるんだろうけど、誰もそうは思うまい。
 それはそれで面白いんだけど、こんなオリジナルやるんだったら、原作通りブロッケン伯爵出してくれよ。なんだかこのままだと7巻目にも出て来そうにないんだけれど。もっとも第2期シリーズで出すってんならいいぞ。


 DVD『パワーパフガールズ バターカップ缶』。
 PPGのボックスもこれで一応一区切りである。これ以降は映画版制作のためにテレビの方はお休み、ということなので、仮にシリーズが再開されるとしても、もうしばらく後になるだろう。でも、『シンプソンズ』も映画にはなってないってのに、やっぱりヒーローもの(?)は強いね。
 今回は映像特典はなし。最終回までを完全収録……というか、なんでボックスの3巻目にテレビシリーズの第1話が収録されてるかね(~_~;)。
 日本での放映が必ずしも本国の放映順にはなってないせいなんだけれど、日本のアニメだって、海外で勝手に改竄されてることが多くて、それを知るファンは憤ってるってのに、日本も同じことをしてどうするか。もっとも、あちらのアニメはそのことも考えてか、第1話をはっきり第1話と判るようには作ってない(初めから放映話順を入れ替え可能にしてある)のだけれど。 


 マンガ、和田慎二『忍者飛翔 雪の章』(メディアファクトリー/MFコミックス・598円)。
 あー、なんでイマイチ和田慎二のマンガに乗れないかって言ったら、わざとらしいカマトトキャラとか、先が読めるのに作者だけがギャグしかけて気になってるだけのバレバレなネタがやたら出てくるからなんだな。
 このシリーズを読むのは初めてだけど、ね太郎が飛翔だってことに真琴が気付かないって、そりゃいくら何でもないでしょ。
 ああ、あのね太郎のボケたフリしてる時のへの字口! こんな古臭い「記号」が今でも通ると思ってる作者の傲慢さ!
 で……、特にヒドイのが、風邪を引いて熱に浮かされている真琴の尻をね太郎が捲るシーン。実はそれは……ってオチになるんだけど、こんな昭和30年代のマンガレベルのバレバレのシモネタやるなよ、みっともない。
 そういうのはコメディの定番だって言うかも知れないけれど、シチュエーションコメディは1940年代のアメリカ喜劇だって、もっと設定に凝ってますよ。定番と安易を一緒にしちゃいけない。
 『ついでにとんちんかん』みたいに、怪盗本人が全く正体を隠してないのに誰も気づかない(なのに怪しむやつがいる)ってとこまで開き直ってくれりゃあ、ギャグとして笑えるんだが、中途半端でしかも作者本人はごまかせたつもりになってるらしいのがどうにもねえ(『名探偵コナン』も、蘭や小五郎や目暮警部がいつまで経っても「コナン=新一」ってことに気づかないのにムリがあるんだよな)。
 クレリア王女が『ローマの休日』のアン王女がもとネタってのも一発でわかるが、作者本人がメイキングでパクリだって自白してどうする。それで免罪符もらったつもりか? せめて少しは換骨奪胎してみせろよ。
 ああ、でもどうして毎回ストーリーに腹を立てながらついつい和田慎二を買ってしまうのか。やっぱりヌードの魅力か?

 なんだか今日はいつもの三倍は愚痴が多い気がするな。
 疲れてるのかな、実際。

2001年06月30日(土) 原稿アップ(´。`;)/『マンガ世界戦略』(夏目房之介)ほか



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