無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2003年06月18日(水) 「日本人」という名の妄想/『少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険』(はやみねかおる)

 昨日、タクシーに乗ってて、ラジオから流れてきた話。喋ってたのは多分、栗田善成。
 林家ペー、パー子のことであるが、あの「ペー」がカタカナなのかひらがななのか、みなさんご存知だろうか。私ゃ気にしたこともなかったんだが、パー子さんがカタカナなんだから、当然カタカナだろう、とお考えの方も多いかもしれない。
 ところがさにあらず、マネージャーさんに問い合わせたところ、正解は「縦書きのときはひらがなで、横書きのときはカタカナ」なんだそうな。テレビや雑誌の表記がそれを忠実に守ってるとはとても思えないが、ご本人には拘りのあることなのかもしれない。
 けど、筆記体ならともかく、普通、「ペー」のひらがなとカタカナの区別ってつかないよなあ。この日記の字体だと、ひらがなは「ぺー」で、カタカナは「ペー」。わかんねーよ(^_^;)。
 ついでに言っとくと、もともとペーさんの芸名は「林家平平」と書いて、「はやしや・ぺえぺえ」と読ませていた。もちろん「おまえなんかいつまで経ってもペエペエだ」という意味である。ところが、いつの間にか「平」が一つ落ちて、「林家平」と書かれるようになった。これでは「はやしや・たいら」と読まれてしまう。そういうわけで「林家ペー」と表記することにしたのだとか。


 台風6号、九州接近。
 と言ってもコースを見るとちょうど朝鮮と日本の間を通りすぎるような感じで、それほど被害は出ないのではないか。今年はどうもカラ梅雨っぽいし、少しは雨が降っといてくれないと、また夏場の水不足を招きかねないので、今回の台風はどっちかと言うと歓迎した方がよさそうだ。
 今朝もしげは朝帰り。7時に電話をかけてきて、「今日は早出?」と聞いてくる。仕事が終わってまたどこかでバイト先の人と朝までくっちゃべっているのである。で、ウチに帰ったらまた夜まで寝こくつもりなんだから、もう完全に家事をしようって気なんかないのである。食った栄養が全部ちちに行ってるやつはこれだから。
 

 昨日まで、がんばって仕事したので、今日は少し時間の余裕がある。
 雨も降ってたので定時に退社。ちょうど通りがかった同僚が車に乗せてくれたので、いつもは歩いて15分かかるバス停まで運んでもらった。少しは雨に濡れずにすんでありがたい。
 いつもは連絡がうまく行けば1時間とちょっとで帰宅できるのだが、雨のせいでバスも遅れがちである。結局1時間半かけて帰宅。でも、バス待ちの間にコンビニでレトルトカレーとコロッケを買えた。これが今日の晩飯。


 9時から『ザ!世界仰天ニュース』を見る。
 「少女ユウコの100日間」。
 吉岡忍のノンフィクション『日本人ごっこ』で詳しくルポされてる、タイ人の女の子の日本人なりきりっ子事件だけれど、まあ、1時間のテレビ番組だし、深い掘り下げがないのも仕方がない。
 1986年、タイのバンコクに、日本大使の娘・ユウコ(番組内では紹介されなかったが、これはタイでも放送されていた『おしん』の田中裕子から取られている)と名乗る少女が現れた。彼女はある名門大学にやってくると、たどたどしいタイ語で、タイ国内の観光案内を頼む。日本大使館のサイン入り証明書も持っていた(もちろん偽造)彼女を、すっかりホンモノと信じた学生たちは歓待する。
 「日本は努力して発展した。あなたたちタイ人も頑張らないといけない!」と、学生たちにお説教をするユウコ。日本コンプレックスの強いタイ人たちにそういう強い口調で言えば、彼らをダマすことなどたやすい、ということを、彼女は肌身で知っていたのだ。
 日本の桜に関する文献を軽々と翻訳し(これも図書館で猛勉強して訳した)、彼女の「日本人ごっこ」は2ヶ月以上に及んだ。ある時は区役所まで騙し、警官を護衛につけて地方視察までやってのけた。しかし、調子に乗った彼女は大きなミスを犯す。入手不可能と言われた中国舞踊団のプラチナチケットを希望者に取ってあげると約束したのだ。しかし、ニセモノの彼女にはそんなことができるはずもない。
 ウソはバレた。彼女の正体は、出稼ぎでバンコクに出てきた、ごく普通のタイの田舎の少女だった(テレビでは流れなかったが、本名はカンティア・アサヨット)。

 テレビはその結末を語っただけで、ゲストもたいしたコメントを付けずに終わってしまったが、ノンフィクションを著した吉岡忍氏は、数年後にカンティアを探し出してインタビューを試みている。吉岡氏の興味は「なぜ日本人になりすまそうと思ったのか」を問い質すことで「タイから見た日本」を浮かびあがらせよう、ということだったのだろうが、私の専らの興味は、「この子は自分のウソにどう始末をつけるつもりだったのだろうか」ということだった。どう考えても「いつかはバレる」ウソだということはわかっていたと思うのだが。
 恐らくそれは違うのだろう。彼女は「自分が本当に日本大使の娘のような気になってきた」と語っている。彼女が一番初めに騙していたのは他人ではなく、自分だった。彼女はタイ人の日本人への憧れを利用して日本人になりすましたのだが、誰よりも日本に憧れていたのは、カンティア自身だったのだ。
 この事件を考えるとき、日本人である我々はどんな感慨を抱くだろうか。そのように憧れられることに面映さを感じるものもいるだろうし、もっと強い、拒絶感を感じるものもいるだろう。
 けれど、そう感じる日本人たちこそ、実は「日本人ごっこ」をしているとは言えないだろうか。つーか、アイデンティティってもの自体、ただの妄想って言えば妄想なんだからね。なんかまた、押井守的に夢と現実がどうのこうのって話になりそうだから、これ以上の感想は控えます(^o^)。


 続けて、『新・夜逃げ屋本舗』第10話。
 源氏(中村雅俊)は、不良少年の借金取りに追い込まれている中年の教師・宮島健作(山田辰夫)に出会う。ところがこの少年は、家出中の宮島の一人息子・友明(塚本高史)だった。
 友明は、交通死亡事故を起こした彼の友人を、父親が警察に売ったと信じこんでいた。源氏は、宮島の夜逃げの方法を考える一方で、なんとか二人を仲直りさせようと奔走するが……。

 見よう見ようと思いながら今まで見逃していたこのシリーズ、キャストが映画版と一新されてるのは残念だし、夜逃げのテクニックがあっさりしてるのもいささか拍子抜けだけれども、もともと「借金したって無責任に逃げちゃえばいいじゃん」というコンセプトが好きなので、細かいところに文句をつけようと思わない。できればまた映画版を作ってほしいと思っているくらいである。
 しかし山田辰夫がこんな実直な教師を演じるようになったんだなあ。昔は不良少年「しか」、演じないような印象があったんだけど。


 はやみねかおる『少年名探偵 虹北恭助の新・新冒険』(講談社ノベルス・777円)。
 同時発売のもう一冊だけど、仕事が忙しかったんで、読むのに時間がかかってしまった。
 『春色幻想』『殺鯉事件』『聖降誕祭』の三本立て。一応今回は恭助が三作とも登場するけど、やっぱり主役はカメラ屋の若旦那のような気がするのは私だけだろうか(^o^)。後ろの作品リストにもこれ、「虹北恭助」シリーズじゃなくて、「虹北商店街」シリーズって書かれてるものな。
 マンガの少年探偵はたいていトシを取らないけれど、小説の場合はちゃんとみんなトシを取るのが一般的。不登校の恭助君も、年齢だけは15歳、ヒロインの野村響子ちゃんともども、本当なら中学三年生のはず。もちろん「本当なら」ってのは一般常識のワクから捉えた感覚的表現でしかないので、恭助君は小学校卒で正しい。
 たまにしか虹北商店街に帰ってこない彼だけれど、どうやら故郷で暮らすことを決意したらしい。次巻からは「高校生編」ということだけれど、中学行ってなくて高校どうやって入れたのか、それが一番の謎かも。
 『春色』はまあまあ、『殺鯉』は捻り過ぎ、『降誕』はムリがあるって出来だけれど、無意味でドロドロな殺人がないだけ読後感はいい。ただ、お話全部、「冒険」にはなってないよなあ(^_^;)。

2002年06月18日(火) 狂乱の終わり……始まり?/『横溝正史に捧ぐ新世紀からの手紙』(角川書店)ほか
2001年06月18日(月) オンナノウラミ/『うる星やつら 努力、女の道!!』(高橋留美子)



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