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■ 美への奉仕者とメトロポリタンと英語学習
今まで取り上げなかったのがちょっと不思議だった。メトロポリタン美術館。余りに余りに余りに大きすぎて、どう紹介していいものが実は迷っていたかもしれない。学校のIDを持っていると実は無料で入館できるということもあって、セントラルパーク散歩のついでに立ち寄ったこともしばしば。特別展示だけじっくりみたり、印象派のそれも一つ二つの部屋でぼーっとしてみたり、イタリア美術のある吹き抜けの噴水脇のベンチで本を読んで帰ったり、とかなり贅沢な使い方をしている。自然史博物館のほぼセントラルパークを挟んで反対側にあるメトロポリタンは世界有数の美の殿堂。名立たるアーティストの作品が所狭しと、ふんだんに展示され、一つ一つみていたのではとても一週間でも足りないくらい。そしてその美を維持し、展示し、研究する人が学芸員(キュレーター)という人々です。実際に話を聞いたりあったりした機会は無いのだけど、実はリタイアした人たちと気軽に接することが出来る。日本でもそうだけれども(本当のこというと実はごく限られた研究施設や博物館・美術館だけらしいが)学芸員の人たちは自分の専門分野については大学・大学院で講座を持つほどの知識をもち、日々研究を重ねなければその職務を全うすることはできない。 そして、メトロポリタンの美術鑑賞ツアーに参加すれば実はそういったリタイアした学芸員や大学や研究所に勤めていた研究者の方々にじかに説明を受けることが出来るのです。その人生の大半を、美の維持と研究に費やしてきた人々の語り口は、美への尊敬をこめ、そしてとても楽しそうに話す。美術学とはなにか、当時のアーティストは何を考え、どんなメッセージを伝えようとしていたのか、そんなことを館内を案内しながら説明をしていってくれるのです。
彼らはやはり、大学などでの講義や講演の経験が豊富なため、その説明はとても分かりやすく、そしてなんといっても格調高い英語で説明をする。一度なぜそれほど洗練した英語を話すのか、と聞いたところ、「洗練された美術は洗練された英語でなければ説明が出来ない、ところが、それは決して難解なわけではなく、優れた美術ほどそのメッセージは明快なのだ」といっていました。(と、言っていたように聞こえた。私の英語力が解析するところによると・・・OTL) いつも思うのだけれども、やはり一流の人によるものは何であれ、根本的な原理を完璧に理解しているだけあって、何がどう面白いのか、という、その魅力を知るには一流の人の説明と作品に接するのが一番なのだと思う。大学のころも、いかに複雑な分野の話であっても、一流の先生が講義をする講座であれば、学生はちゃんと出席していた。 メトロポリタンは実は英語学習が出来る場と、一生をささげるだけの魅力があるものが世の中にはあるのだ、ということ再確認できる場と、一流の美術に囲まれて楽しむ場、としての三つの意義が実は私の中にはあるのだ。
展示室を廻っているとそこかしこでそのようなツアーの情景を見ることが出来る。途中から参加してもいいし、興味のある作品の前に止まっているのであれば、そこだけつまみ食いしても面白いのかも知れない。
2005年04月15日(金)
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