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アンデルセンといえば、来年は生誕200年。 だからというわけではないけれど、 『オールカラー版世界の童話』(小学館)シリーズのなかで もっとも記憶に鮮やかだった『アンデルセンのお話』を ついに手にすることができた、2004年。
監修は、波多野勤子、浜田廣介、村岡花子。 後にモンゴメリの翻訳でかけがえのない読書体験を させていただいた村岡氏がかかわっていたのはうれしい。 浜田廣介の創作童話も、子どものころ、図書館には たくさんあった。
さて、「はくちょうのおうじ」である。 どの場面を見ても、絵のタッチの痕跡が、わが記憶の倉庫から浮かび上がる。 あれほど見慣れていたにもかかわらず、 何十年もの間、目の前から消えていたなつかしい絵。 絵は小田忠、文章は奈街三郎。
原作(岩波版)とどれぐらい変わっているのか 比べてみたが、結末はほとんど同じだった。 途中のエピソードは少しずつ変化している。 ただ、受ける印象は、ほとんど同じろうだと思う。 ただし、最後にエリザの魔女嫌疑が晴れて無事王様と 結婚してから、原作では11人の王子たちがどうしたのかは 触れていない。「はくちょうのおうじ」では、 王子たちは自分の国へ帰って行った、となっている。 そこのところは、子どもごころに覚えている。 なんせ、王子さまが11人もいるのだ。 皆が残ってしまったら、エリザの夫の王様も 大変だろうし、悪い継母のいる故郷にはもう帰れないし、 とかなんとか、気を回していた。
他の短編もなつかしい。 「すずのへいたい」は、昨年だったか、原作(岩波版)を 読んでいて、結末がかなり記憶と違ったので、 自分がボケていたのかと思ったが、やはり、 子ども向けにという配慮なのだろう、 普通のハッピーエンドになっていた。 絵は若菜珪。
「ナイチンゲール」の挿絵は、高畠華宵であった。 なるほど、そうだったかと納得。 独特の目線やシルエットのなびき方は、 そういうことだったのだ。
「ゆきのじょおう」もかなり変化しているが、 赤い服のゲルダがとてもかわいくて、記憶以上にモダン。
解説によれば、この巻には、'特に空想的な興味に満ちたもの'を選んで いるとのこと。もう二冊、『アンデルセンの絵話』と 『アンデルセンの絵物語』というのもシリーズに入っている。
この再会をきっかけにして、ネット書店で 手にした同シリーズは、現在6冊。
他のお話についても、いずれ記録しておきたいと思う。 誰か、私のように、霧の中を探して歩く旅人のために。 (マーズ)
『オールカラー版世界の童話』 / 出版社:小学館1967初版
2003年11月17日(月) 『帰ってきたメアリー・ポピンズ』
2000年11月17日(金) 『翻訳はいかにすべきか』
家に帰ってすぐ、2時間ほどかけて 自分なりのベストを尽くし、古書検索をした結果。
絶対に今日こそは見つける!という意気込みも手伝ってか、 それらしき全集に行き当たった。
ネットで古書店さんが出品されていた 『母と子の世界名作絵物語全集』、学習研究社刊である。 発行は1964年。佐藤春夫や志賀直哉といった文豪の方々が監修している。 そんなに立派な本だったか?とも思ったが、このシリーズに 『アンデルセン名作ものがたり』が入っていることがわかった。 私が一番読みたい話も、その中に見える。 アンデルセンの「はくちょうのおうじ」。 今では『野の白鳥』と(原題は『The Wild Swan』)訳されるのが 一般的だが、当時はそのタイトルだったことを思いだす。 このタイトルですら、忘れていたのだ。
これがビンゴなら、ついに、あの本と再会できるはず。 当時、子ども向け全集を出していた出版社で、 わが家でも購入可能な先というと、 講談社、小学館、学研のいずれかだろう。 少なくても、その1に書いたように、講談社は 候補からはずしてよいと思われるので、残るは2社。 記憶にあるマークは確かに小学館っぽいが、 学研のマークも幼いころから雑誌などで親しんでいる。
勢い込んで注文したところ、探していた本ではないと わかった。しかし、がっかりはしない。 ここで大きなヒントをもらったのだ。 「はくちょうのおうじ」という平仮名のキーワードである。
あらためて、このタイトルをもとに、小学館の名前で検索する。 そこで出てきたのが、 『オールカラー版世界の童話』小学館 というシリーズである。
これにアンデルセンを加えて検索すれば、 『オールカラー版世界の童話7 アンデルセンのお話』という 本命に到達できたのだった。 表紙画像入りで出品されている!
うちのネットは一般アナログ回線のため、 画像が出るのに多少時間がかかる(高速申し込み中)。 徐々にあらわれた、緑の背景。 飛んでいる白鳥たち。 こちらを見つめる、エリザ姫のきまじめな正面アップ。 このドレスの、なつかしいこと!
(画面に向かい、独り喜びを語る時間は省略^^)
箱の色は金色、やはり青のラインも入っていた。 本体は白い表紙なので、絵がよく映える。 ああ、見ることさえできれば、こんなにあざやかに 記憶の扉は開いて、呼び出せるというのに。 それにしても、特徴のないタイトルだったものだ。 『オールカラー版』にいたっては、時代を感じさせられる。 前出の、『母と子の〜』というような名前だったら、 もっと早く再会できたのではないだろうかと思う。
こうして本を無事落札し、あとは届くのを待つ運びとなった。
(その3へつづく)
(マーズ)
『オールカラー版世界の童話』/ 出版社:小学館1967初版
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管理者:お天気猫や
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