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メアリー・ポピンズ、第ニ作。
帰ってきた、帰ってきた! しかも、思いもかけない方法で。
ジェインとマイケル、双子のジョンとバーバラのもとへ、 あの完璧なナニーが!
子どもたちの想像をかるがると超えてしまうくらい、 すばらしいファンタジー世界をのぞかせてくれるのに、 後でその話をすることを絶対に許さないメアリー。 まったく関係ない、知らない、私を侮辱してるのか?と怒りだす。 でも、どこかに、きらっと光る証拠が残っていて、子どもたちは 目くばせをして納得するのだ。 本気で怒るその様子が、昔お世話になった学校の先生方を 思い出させる。怒るべきだから怒っているのと違って、 本気で怒っているので、口が出せないのだった。
二作目の本書では、メアリーと子どもたちのたずねる 不思議な世界も、さらにスケールアップして、 しかも神聖なムードを色濃くもって描かれている。 生きること、死ぬこと、変わること、変わらないこと。
バンクス家の生まれたての赤ん坊とムクドリとの おなじみのやり取りも、さらに深みをおびてくる。 赤ん坊の最初の泣き声が、どんな悲しみを知ってのことか、 私たちがどうやってここにやって来たのか。 そんなことも、メアリーだけはすべて忘れない。 けれど、メアリーがだれなのか、それは誰にもわからない。 いつも何を考えているのやら、普通の大人とまったくちがう 人だということぐらいしか、私たちにはわからない。 メアリーがいつかまた帰ってきて、そして どんな夢を見せてくれるのかも。
「いつも、ほんとのことだけ、いうようにしています。」(/引用)
と得意そうに言うのも、ある意味、嘘ではない。
メアリーが見せてくれるのは、不思議な世界だけではない。 何でもファンタジーの砂糖衣で甘くするのではなくて、 しつけには相当に厳しい。 失礼な人にも負けていないし、誰にも自分の打ち明け話などしない。
そして、「かまうもんか!」と子どもが生意気を言うと、 メアリー・ポピンズは、こう言ってからかうのだ。
「かまうもんかが、かまわれた!かまうもんかが、ちゅうぶらりん!」 (/引用)
(マーズ)
『帰ってきたメアリー・ポピンズ』 著者:P・L・トラヴァース / 絵:メアリー・シェパード / 訳:林容吉 / 出版社:岩波少年文庫2001(新版)
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管理者:お天気猫や
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