スナックおのれ
毛。



 センチメンタルは好きですか?

自分の思い込みにほとほと関心する時があるのですが、ずっとノルウェイの森がミステリー小説だと思っていました。てっきり霧がかったノルウェイの森で1人佇む夢を毎日のように見る若者の不思議事件の話かな、なーんて。
読み終えて、困りました。だって、これメーテル現象の話?たとえば、無口な美女の方が想像が膨らみ、美化できるように、若いうちに死んでいった方が、美しい残像が残るように。ヒロイン直子ってそういうこと?と。でも、直子はメーテルではありません。だって、主人公は直子と付き合っていたわけですから、直子を謎の美女から血の通った人間にするチャンスがあったはず。これが人との真の関わりあいを避けた、集団のなかの孤独の話ならば納得。もしくは、ただ正直に話すだけでは、人と深くかかわり合いを持てないという話でも納得。でも、おそらくこれはただの永遠のセンチメンタル気分いわゆるエターナル・センチメンタルジャーニーの話っぺー。
主人公は、ただ臆病な人という印象もあります。まがりなりにも彼女が入院して大変だったらもっと壊れろよ。もっと間違ったことだってするはずだよ。とはいえ、その点で主人公が糾弾されることはなく、ただ感受性が強い人みたいになっているのも気になります。周りの人が自殺して死んで、嘆き悲しむのは良いのですが、彼は結局彼らの死を悼むことなく、ただ自分の世界を悲しんでるだけではないでしょうか?
個人的には、冒頭の空港(?)とか井戸のくだりは不要ではないかと。最後まで読んでから読み返すと、主人公もヒロインも性格かわちゃってます。さらに、身の回りで4人自殺者がでる人物っていう特異なシチュエーション・・・いる?深く掘り下げてないし。
この間、青春の蹉跌を読んだばっかりだったので、同じ時代背景の作品という点でも、疑問。

2009年01月30日(金)
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