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■ 人間は哀しみをひとつ持っている。
終電間近の東西線。九段下から乗り込むと、そこには座席に両足まで乗っけて寝転ぶ若い男性。彼の足先にしか空席がなかったため、腰をおろす。だんだんと混み合ってきた車内。頭側に座るおじさんが、若者の肩を叩く、揺り動かすなど試みるが、まったく反応なし。私の洋服に奴のナイキのスニーカー(茶)が食い込む。スニーカーのひもを外したい衝動にかられる。 東陽町、いよいよ満員電車と化した車内。熟睡する若者に冷たい視線。私、スニーカーのひもをはずす。成功。若者、寝返りをうち始め、手を頭の方へ。先ほどのおじさんの肩にあたる。その時、若者の左手薬指にきらりと光る指輪を発見。結婚してやがることに、愕然とする。 見るに見かねたおじさんのひとりが、若者の肩をたたくが、ちっとも反応なし。おじさん、めげずに今度は顔に張り手。一発二発三発。若者がやっと顔をしかめるも、おじさん、続けざまに往復4発。若者、やっと起きる。車内一同から冷ややかな視線をそそがれて、若者は事態をようやっと理解した様子。電車をおりるかな?みんなに、あやまるのかな?と思いきや、起きるやいなや携帯を開いてメールをしだす。
と!その時、私は見てしまいました。いえ、社内全体の人が見たでしょう。若者の携帯画面の待ち受けを。それは、結婚式の記念写真。赤色のカラードレスを来たおそらくその人の妻と、白のスーツをきたその人本人。なんてこと!よりにもよって、結婚式の記念写真だなんて!しかも、見た目、好青年風!
なぜ待ち受けをディズニーのスティッチとかにしてくれなかったのか! なぜどうでも良いようなもっさい人でいてくれなかったのか!
こんなに車内で「超うざ!」と思われていたにもかかわらず、きっと家にかえったら「まーくん(仮名)、おかえり〜」とか新妻にいわれる、「まーくん(仮名)、今日はオムライスだよ〜」とかいわれて、「エミちん(仮名)、ケチャップでハートとかはよせよー」とかって、甘い会話繰り広げるにちがいない!そう思ったら、私の目の前、真っ暗。あらがいようのない哀しみの渦!
ところが、次の瞬間、私にやってきたのは笑い。みんな見てましたけど、すごく笑いました・・・。もうね、哀しすぎて、面白くなっちゃったの。なんでだろう。 人間の根幹には、哀しみが流れている・・・。
西船橋でおりたまーくん(仮名)、夜のおかずはなんだった?
2008年09月23日(火)
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