スナックおのれ
毛。



 フランスへ。

 友人がフランスに出張だそうな。入社一ヶ月。会社の代表として、フランス入り。
上司「おい、さとう(仮名)。おまえ、パスポートあるか?」
友人「はい」
上司「フランス、行きたいか?」
友人「いやあ、行ってみたいっすねえ〜」
上司「じゃあ、行くか」
そういう何気ない風のやり取りで決定したみたいです。友人の上司の懐のでかさを感じます。いい加減な感じもうけますが、それもまた心よし。まるで映画じゃない。楽しげじゃない。友人は、横暴だ・・・といっておりましたが、端から見れば愉快この上ない。あなたの人生、いい感じに面白くなって来たじゃない、と笑いながら、フランス土産のエッフェル塔独楽を待ち遠しく思う私であります。

2004年10月30日(土)



 “0”の出発。

 今日で会社を無事退職することができ、私、またゼロになりました。ゼロ。心もとない気もしますが、なにもないということは作り出せるということです。色々描き込んであるキャンバスよりも、白いキャンバスの方が、描きやすい。そこに描きたい対象がすでにあるのなら、なおのことだと思います。
 送別会のために乗った電車に揺られながら、ゼロになったことを喜ぶ私。以前も会社を辞めたことがありますが、それとは違うと断言できることが、なお嬉しい。今の私には描きたい対象もあるし、もしそれがなくなってもまた別の対象を探せる自信もあります。
 さて、どうしようかな。まず、どの大きさのキャンバスを選ぼうかな?絵筆の種類は?画材は?色は?構図は?描く楽しみをしみじみ感じながら、とりあえず、来週から短期の仕事へ。そこでは何を描こうかな?どんなものを仕上げよう?
 自分が動くことで可能性が無限に広がる様って、本当に楽しいですね。そこに悩みや諍いがあってもそれもよし。少し前よりも生きやすくなった自分に心強さを感じます。

2004年10月29日(金)



 鼠の王様。

 鼠の王様、と言えば、ミッキーであります。王妃はミニー。堂々たる黒くて丸い耳を宙にひらひらさせて、ご登場であります。こんなことを言い始めたのは、本日、私、鼠国またはネズミーランドこと、ディズニーランドに行って来たからであります。
 久しぶりに訪問した鼠国は、相変わらずの盛況ぶり。平日だと言うのに、見渡す限り、人、人、人、そして、人。あきらかに小学生と見える子供には小声で「学校に行け!」と言いながら、歩を進めるうちに、モノの10分でテンションが落ちました。田舎出身の私は、もともと人ごみにめっぽう弱いのであります。アトラクションのために3時間の行列には並べません。だって、映画1本見終わるんですよ。無理に決まってます。
 というわけで、人酔いしながら、とりあえずふらふらふらふらさまよっていると、どうやらパレードの時間。愉快な音楽にあわせて、あらわれたは鼠国の主であり、鼠の王様であらせられるミッキー。ひときわ高いところからの登場は、他のキャラクターとはあきらかに違う偉才を放っていました。そして、観衆はミッキーが現れた瞬間、拍手喝采。もはや、ただのキャラクターじゃないわ、と心の底から思いました。彼は、本当に王様です。ミッキーなくして、王様は語るまじ。秋のうららかな日和の中で、私は楽しげに踊るミッキーを見上げながら、そう思った所存です。

2004年10月28日(木)



 群れ嫌い。

 ライオンの雌は群れて生活する。それぞれ単独でも十分に強いのに、置かれている状況はもっと過酷だと言うことでしょう。一体一体が生き残る目的のために群れるそれには、それぞれの自我が確かにあると思う。
 さて、話を人間に移して。私は、女子特有の群れ生活が嫌いです。なんのために群れているかよくわかりません。彼女たちは常に一律を目指して、お愛想笑いに忙しい。自我を出せば潰されて、よくわからない目的のために、それぞれの自我そっちのけで、群れ全体が行進します。たまに群れを出た時に彼女たちひとりひとりに会うと、面白い。「私はそうはおもってないんだけれどね」。そう言って、弁解します。組織ではなく、友達関係で、個人の自我のない群れほど生産性のないものはないと私は思います。
 ほぼ一匹で暮らす私は、よくそんな彼女たちに好かれたりします。うらやましい、なんて言われます。じゃあ、出れば?と言えば、無理だよ、と返す。じゃあ言うなよと思いつつ、話を打ち切り、その場を立ち去ります。
 個人の自我のない群れの人たちへ。群れにいる時、あなたは一体誰なのかしら?

 

2004年10月26日(火)



 サラリーマン・カラオケ。

 昨日の小椋桂のライブを見た方って、どのくらいいるんでしょうか。ほらほら、23時すぎにNHKでやってたアレです。私は23時半過ぎにかかって来た母:リエコの電話により見ることができました。
 画面に映し出されていたのは、まだ銀行マンだった頃の小椋桂。今は、丸出しにしている禿頭も、主張の激しいおでこ風。当時、はやっていたフィンガーファイブの小さい子がかけていたような茶色のグラサンに、赤のネクタイ、地味な茶色のスーツ姿。そこにまったくと言っていいほど、アーティストのかほりがなくて、「社内で歌のうまいオグラさん、NHKのど自慢で優勝!!」みたいな感じでした。
 でもね、やっぱ歌はべらぼーにすげーわけです。脱帽通り越して、脱毛です。まあ、そもそもそのすばらしき歌が、見た目が普通のおっさんから発せられるギャップが面白いわけですが。
 子供の時は、なんで小椋桂はアーティストなのに、銀行に勤めているんだろうと不思議でした。そんなのアリなのか?とも思っていました。今は、毎日、会社に行きながらも数々の曲を残せた小椋桂の器用さに感服するばかりです。いやあ、あのサラリーマンな小椋桂、本当にたまりませんでした。

2004年10月25日(月)



 庶民派スパ。

 しばらく来訪していた友人が去り、そして、地震が起き、なぜだか銭湯に行きました。まあ、大きな地震だったので、木造モルタル建ての我が家に不安を感じた、という判断でもあります。
 私の行きつけの銭湯は、ちょっと古い銭湯で柱の木目が印象的な高い天井の銭湯。こんなんでも、まだ我が家よりは頑丈のような気がするんですよね。ずっと立ってる実績とも言えるところに安心感があります。
 いつものように体をガリガリ洗って、湯船につかると、なんとまあ夢心地であります。ちまたにはラクーアだとか、大江戸温泉物語なんて、高級浴場もありますが、私にとってはこれが毎日の暮らしのうさばらしです。湯気越しに見える齢80は過ぎているであろう足の悪いばあさんが一生懸命に体を洗う様とか、となりの男子風呂から聞こえる子供が数を数える声だとか。いつもは見えないこの街に暮らす人々の姿を間近に感じる感覚が、とてもいい。
 風呂からあがって、これまたいつものように各ストレッチ器具で体を動かしながら、なんとなしに体のおとろえを感じつつ、これまた日々の暮らしの喜びを感じた次第であります。ずっとつづけたいなあ、この道楽。

2004年10月23日(土)



 ホクロ・アイデンティティ。

 椎名林檎が東京事変なんてバンドをやっていますが、全く聴いていません。昔、椎名林檎を良く聴いていたりして、魅力は感じるんですが、押しの一手が足りない。なんだろうなあ、と思ったら、理由はホクロにあるらしいです。
 椎名林檎のホクロと言えば、口の斜め上にあるホクロ。個人的にこれを「ブスボクロ」と呼んでいます。だって、ちょっとハナクソっぽいじゃないですか。でも、そのちょっとした台無し感が、好きだったんです。ほら、マリリン・モンローのボクロも、見ようによっては食べこぼしみたいに見えるじゃないですか。きっとあのホクロが、セクシーボクロなんて言われるのも、台無し感なのでは?と思うんです。私は、完璧な美人よりも一カ所だけ破損している美人の方が魅力を感じます。なぜでしょうね。もしかして、フェティシズムなのかしら。
 彼女の場合、あのホクロをサインペンで人工的に作り上げていたようで、そのエピソードとかものすごく好きでした。だから、ホクロのなくなった椎名林檎なんて、桜の塩漬けがついていないあんぱんみたいに感じます。
 ホクロをカバーできるようなニュースのある曲。僭越ながら、私は、東京事変にそんな曲を作って欲しいと思ったりします。

2004年10月22日(金)



 「寝る前」遺伝子。

 寝る前になると、なぜ掃除がしたくなるのか。寝る前になると、なぜエクササイズしたくなるのか。寝る前になると、なぜ漫画が読みたくなるのか。朝、布団から出るのはあんなに嫌なのに、なぜ寝る前は寝ることを拒絶するのか。
 先ほど、私は突如として部屋の掃除を始めました。排水溝に塩素をふりかけて、各台所用具を殺菌。本棚崩壊により積み上げられていた本を整理し、挙げ句の果てにその本棚を修理。真夜中につき掃除機をかけられないことが、とてももどかしい。なぜなんだ。
 もしかして、体が熟睡をほしがるあまりに、より体を疲れさせているのではないか。しかもそれは無意識のままに。遺伝子に組み込まれていることのように。生まれたばかりの赤ん坊が口を刺激されると乳を吸う口になるかのように。とかなんとか言っているうちに、寝ろって話なんですけれどもね。現在、冴えに冴えている自分の脳みそが呪わしい。

2004年10月20日(水)



 音楽は、無理矢理、未来の夢を見る。

 20世紀からみれば、21世紀は未来でした。今、私が置かれているのは、アトムが誕生して、そろそろドラえもんが量産され、宇宙開拓に挑むスペースなイメージの近未来です。実際はそうはいかなかったけれど、ファミコンとかピンボールとかインベーダーゲームの音楽は、近未来をイメージして間違いなく作られたんだろうと思います。私は、そんな未来を音楽から覗こうとした音楽がとても好きです。ロケットが宇宙に飛び出しそう音楽。それぞれの人の中でイメージされた近未来を表現した音楽。
 その音楽はアトムやドラえもんよりも、もっと非現実的なイメージではあるんですよ。人の心を持っていたりするロボットたちとは違って、もうちょっと無機質感あふれてますから。まあ、そんなことを言い出したのは久しぶりにover rocketのCDを聞いたからであります。あいかわらず、この心躍る無理矢理な近未来観いいなあ。しかも、そこかしこに散らばるジャバニーズならではのバタくささ。さらによろしい。なんだか新しいアルバムも出たようですね。ジャパーニーズな感じは少し排除されて、洗練されているみたいですけれど。興味のある方は、overrocketのHPで試聴できるみたいなので、是非。

2004年10月19日(火)



 慇懃無礼メール。

 少々欲しいものがありまして、ヤフーオークションに参加しました。今まで楽天ユーザーだった私ははじめてヤフオクというものに参加したわけですが、いや〜しょっぱなから無礼な輩にあたってしまったようです。どうもメールから礼儀を感じない。むしろ、なめている。
 直接、顔を会わせていないということもあるでしょうが、あまりにも無礼すぎる。別にね、こんにちは〜☆とかで、ムムムッと来ているわけではないですよ。そんなことはネットのやり取りにはよくあることですし、向こうも楽しくスムーズにやっていきたい、という気風が感じられますから。なんかこうね、小作人を相手にする悪代官風なんですね。ほれ、小作人。おまえはこんなもので喜ぶのじゃろう、しかも金まで出して!みたいな感じとでも言いましょうか。
 ってなわけで、あまりのむかつきにより、先ほど、慇懃無礼なメールを送信しました。ビジネス文書みたいな人気を感じさせない文章を送ってやりましいた。謝るところは謝り倒して、スキを見せないメールです。気づかない人は気づかないだろうけど、気づく人は気づくはず。
 ネットで便利なんですが、やっぱり人と人とが顔を合わせないというところが最大のネックなんだろうなあ、と。私自身も、慇懃無礼メール平然と送ったりしますからね。まあ、自分のしたことはあんまり気にもとめていないですけれども。
 

2004年10月18日(月)



 コンビ。

 小西康陽は歌わない。坂本龍一は歌わない。すばらしい楽曲は作るけれど、歌わない。正解だと思う。すごい曲を作れる人が、その曲にあった歌を発せられるかと言うとまた別の話で。もちろん、そういう人もいるけれど、そう言う人は特別に運が良い人だと思う。
 コンビの力はあなどれない。一人で作り出すよりも、二人の力が倍増して、もっとすごいもにのを作り出す。私はそう言う人に会えるのかな?仕事だけじゃなくても、すべての生活の上で。
 すばらしきコンビ。ひとりよりは二人の力で、妙ちくりんなことにも望んでいきたい。
 

2004年10月16日(土)



 ランドマーク・メガネ

 履歴書を書いていたら、気持ち悪くなりました。文字を書き慣れてないということではありません。(実際、書き慣れていませんが)字が汚くて文字に酔ったというわけではありません。(実際、字は汚いですが)答えは、メガネです。メガネかけっぱなしで、姿勢悪く書いていたからです。おかげで、すっぱいものまで競り上がる始末。今の私が小学生だったら、間違いなく、保健室の主として名を馳せることと思います。
 最近、赤いメガネのコという覚えられ方をします。たしかに人との待ち合わせの時、このメガネは大変に便利です。「メガネ」という目印が私にはあるのです。もし、これがなかったらなんて言われるんでしょ。背が高い人?髪の毛を貧乏臭く1本締めにしてる人?顔に特徴のない人?なんにせよ、目印にはなりにくい。もはや、私、メガネ付き人間だか、人間付きメガネだかわかりません。
 かといって、最近、メガネつけてる人なんて、いくらでもいますからね。赤い色だって珍しくはありません。さあて、この目印を今後とも使用していくためにいっそのことメガネを変えるか。たとえば、ダイヤモンドが縁取ってるメガネ、チョウチョのカタチのメガネ、2004をかたどってるメガネ・・・。まあ、待ち合わせに最適なメガネではなりますが、性格を疑われるのは避けられないでしょうねえ。

2004年10月15日(金)



 「怠惰」と言うコア。

 CDを聴こうと思いました。5年ほど前に購入したCDでです。私は、コンポの近くに最近のフェイバリットミュージックのCDを置くようにしていますが、5年ほど前のCDまでは網羅しておりません。面倒になりました。CD棚まで5、6歩進み、暗闇にてお目当てのCDを探し、また戻り、コンポの電源をつけて、CDを入れる。そんな行動が非常に億劫になったのです。躊躇しました。この衝動をどうしたものかと、少し思案に暮れました。後、ハッとしました。そういえば、macのi-tuneにソレ入れておいたわ。音質という面では劣るけれど、まあ、いいや。面倒だから。
 かくして、私はお目当てのCDを、まさしく今、i-tuneにより聴いています。しかし、音質よりも環境よりもなによりも、面倒くさくないかどうかを優先した自分の衝動が恐ろしい。そこに私のコアが集約している気すらするのです。 
 今、i-tuneから流れるメロディーを聴きながら、私は考えます。文明は怠惰から生まれる。そう!人から意味嫌われる怠惰から。切なくもなりますが、それはまぎれもない事実。果たして100年後。人はどんな面倒くさくない世の中に住んでいるのか。失われるであろう人の生命力に懸念もしますが、うらやましくもあります。

2004年10月13日(水)



 自己PR遊び。

 猫は喧嘩になると、毛を逆立てて自分を大きく見せようとします。かまきりは鎌を振り上げて、オレッチは強いんだぞと主張します。自分を本物よりも大きく見せることは動物界には大切でも、人間界ではそうでもないみたい。特に私なんかは。
 新卒の就職活動の時は、自分をどう大きく見せようかと思案しました。大きいわけなんてないのにね。今は、どういうふうに今の自分を正直に表現しようかと考えます。もちろん評価された方がいいにはきまってるけど、そこにフェイクがあっても、ねえ。それが突き通せる人だったら良いんです。言うことで本当に実現できちゃう人も良いんです。でも、私なんかの場合は、完全にバレますから。だって、面接をする人なんて、私よりもたいてい年上で、能力もあって、たくさんの人にあっていますから。
 だいたい、能力のない私の書類に目を止めてもらうこと自体が難しいんです。ってなわけで、自己PR書を書きながら、制作遊び。正直な自分をどう見せるか、遊び。新卒の頃みたいに、当たり前のことができて、なんてもういいじゃない。思わず目を止めちゃうような自己PR書の制作を正直に楽しみながらやりました。こりゃあ、なかなかアレだぞ、なんて思いつつ。ま、すべて結果次第って話ですけれどもねえ。

2004年10月12日(火)



 椿山荘の戦い。

 いろいろありまして、椿山荘に行って参りました。フォーシーズンズホテルのある椿山荘。世間に疎い私ですら聞いたことがある椿山荘。正直、なめていたので、びっくりして、ひれ伏し、土下座、割腹、介錯までお願いしたい気分になりました。だって、目の前に広がったのは、ここは明治神宮か?と思うほどの広〜い庭。瀧が流れて、小川となり、池におちて、また川に流れる。緑もうっそうとしげり、「庭園」と言うには畏れ多い。また、仲居さんをはじめスタッフの方々の対応。これが伝統や格式なのねん、と頷けるものがありました。
 さて、事件は、私が「へ〜」「ほ〜」とスタッフの方に案内されながら、結婚式場を通りかかった時のこと。長い廊下の向こうから走ってきたのは、お色直しが終わった花嫁さん。時間が遅れてしまったのか、全力疾走でかけてきます。注目はそのドレスです。黒地に大きな赤いハートマーク満載。しかも横には「親せきの子どもかしら?」と間違える背丈の新郎をつれて。なんだか圧倒されて見ていると、隣りにいたスタッフがきちんと「おめでとうございます」と言った後に「パーチーですかね、パーチー」と言うのが聞こえました。とても小声で。
 個人的にはこういう適当さ大好きなんですけれどもね。だって、あの素敵な庭園に不思議ドレスをまとった花嫁は、確かにちょっと妙だもの。まあ、花嫁にとっては一応、一生に一度のことですからねえ。でも、将来子どもに堂々とその写真みせられるか?とか。まあ、椿山荘でやらなくても・・・というのが正直な感想です。


2004年10月11日(月)



 本棚から見る性分。

先日、本棚がぶっこわれまして。その後始末を試みようとしたわけですが、一体全体どうしていいものかわかりません。自分自身の本が多いとは思いませんが、どうやら収納に対しての本の数はあってない様子。こりゃあ、新たな本棚購入か?と思いまして、通販雑誌をペラペラ。素敵な本棚はないものかしら?と思いつつ、ハッとしました。だって、私、最初っから通販雑誌をめくってる。なんかスタイリッシュな生活とかハイソサイヤティな生活などと私の根本がかけ離れている。たかが本棚、されど本棚。ここに来て、自分自身の性分をハッキリと見せつけられた気分です。

2004年10月10日(日)



 帰れ!

 「帰れ!」。野生に還れ!土に帰れ!私に帰れ!家に帰れ!と、まあ、いろいろ様々な帰れがあるわけですが、私の今日の議題は最後の「家に帰れ」です。
 今日は台風でした。午後2時くらいにテレビを見ていると、東京駅で停車している新幹線が映し出され、その中にとどまる家族連れのコメントが報告されました。どうやら、彼ら、すでに一時間ちかくも新幹線の中で出発を待っている模様。大阪から東京に遊びに出て来た彼らは「もし、このまま新幹線の出るめどがたたなければ、東京の親戚に電話して泊めてもらう」、そういっておりました。驚愕したのは、その後のJR側の呼びかけです。「今日のお出かけはおひかえください」。そんなコメントが何度となく社内アナウンスで流れていたようなのです。そんな中、新幹線にとどまり続ける家族連れって・・・。いいじゃん、親戚の家に帰れよ。帰れ!
 と、ここまで言いながらも、実は今日、私もでかけて帰れなくなった部類であります。歯医者の予約があったとはいえ、最寄り駅の近くだからとはいえ、945ヘクトパスカルをなめておりました。で、近場の居酒屋でしばらく非難し、帰って来たわけですが、ちょっとこういうのって楽しい。もしかして、家族連れ。家族連れもそういう状況を存分に楽しもうとしていたのかな?いや、少なくとも子供は楽しかったはず。
 台風のどうしようもない状況も遊べる心があれば、少し楽しい。ま、そんなこと言ってると、怒られちゃいますけれどもね。すみませんでした。

2004年10月09日(土)



 サラリーマンのキーホルダー

 その人は、ガチャガチャしている人のようでありました。
 メッシュの厚みある素材でできた黒くて大きなリックサック(潰しても蹴っても、ちっともカタチを変えないような強固なもの)、ズボンの後ろポケットに扇子、横のポケットには携帯電話(大きな画面が表に出ていて、その画面をぐるりと回して使うタイプのもの)を家の電話の線(うずまきになっているグルグルしたアレ)でつなぎ、胸元には社員証、その紐に赤ペンやら青ペン、黒ペン、そしてマーカーの類をいくつもぶらさげ、彼は私のとなりに座ったのであります。
 見たところ、30前後の働き盛り。エンジニアか、なにかの制作者か。持っているものは、すべて少し高価そうでありますが、どうしてこんなにもガチャガチャしているものか。現に彼が動くたびに、ガチャガチャと装備したなにがしかが音をたて、後、はずれる、落とす、拾う、また落とす、と、行動までもがガチャガチャしていました。
 子どもの頃、ランドセルにお守りをはじめ、でかすぎる目的のわからない鈴や観光地のキーホルダーの類、ぬいぐるみ、ペン、給食袋等を装着したものですが、あれによく似ています。起こりうる全てを想定しすぎて、機能からほど遠くなっているのです。
 矛盾をはらんだサラリーマンのキーホルダー。こんな人もめずらしい。とりあえず、社員証とペンくらいは目的地についてからの装備ではいいのではないか?落としたキーホルダーを拾う彼の後ろ姿に、そう語りかけた次第であります。


2004年10月08日(金)



 丸の内と私。

 今日、丸の内というところに行って参りました。丸の内、車があまり通らないくせに大きな道路の丸の内。沿道にたくさんのブランドショップの立ち並ぶ丸の内。友だちと、何する?、と疲れ果ててしまった丸ビルのある丸の内。私と縁遠い場所、丸の内。
 白っぽい背高のっぽのビルヂングに囲まれて、広い歩道をあるいていると、なにやらそこにいる自分が似つかわしくない。一緒に行った会社の方々は馴れた感じで歩いていたのですが、どうも私だけ似つかわしくない。不釣り合い。まるで、齢50をとうに過ぎたおばさんがミニスカートにロングブーツ姿でいるような、魚を飼っている水槽の中にピシャの斜塔が置いてあるような、違和感。
 おそらく、人には分という物があって、私には丸の内を散策する分がないのでしょう。なによりも、私は、あの町で何をしていいものだか、困ってしまうのです。丸の内という場所が、「君は戸越か、巣鴨、あるいは浅草、合羽橋方面に行きなさい」と言っているかのようでありました。
 まあ、諸手をあげてそちら方面に向かいますけれどもね。

2004年10月07日(木)



 揺れない髪。

 ミセスマツダの髪は不思議だ。今日、ミセスマツダの髪型を後ろからじっとみてみた。ミセスマツダは髪の毛を茶色に染めていて、それを、こうなんか、ふぅ〜んわりと見せながらもガッチリ固めている。その髪型をじっとみていたら、ミセスマツダの髪型、振り向いてもお辞儀をしてもまったくくずれない。まるでプラスチックでできているかのように、髪の毛ってものすべてが、まるでそうだったかのように、存在している。
 こりゃあ凄いぞ、と。ありえないぞ、と。思って思って、隣の店員と見比べたり、自分の髪の毛を触ってみたり。私って、いや〜な客なんだろうな、と思いつつ。
 でもさ、だってさ、ミセスマツダの髪型。エアーズロックとか台風の目を下から見上げた時の光景とか、そんな人の力を超越した存在感があるんだもん。許して、ミセスマツダ。

※ミセスマツダ:近隣のスーパーに勤める場末のバーのママ風店員。
 

2004年10月06日(水)



 水炊きとアフタ−5。

 最近、諸事情により定時で帰宅しています。黒いスーツの人々にまぎれて、同じ方向へ向かっていると、なんだかベルトコンベアーの上にでも乗っけられたようにも思います。ですが、まあ、嬉しい定時なのです。ウキウキウォッチングで、桃色ハプニングあり!のアフター5のはずなのです(?)。
 ですが、時折、何をしていいか困る時があるんです。呑みにいくか?とか、買い物行くか?とか、ビデオみるか?とか、思うんですけれども・・・ねえ。呑みにいくのにも買いにいくのにも先のものが必要だし、ビデオはいきつけがつぶれちゃったし。なんだかなあ、と思いながら。いかんいかん!と頭を大きく横にふりつつ、本日は水炊きうどんをつくった次第。明日は、五時間ぐらい煮込むスパイスたっぷり、なにがなにやらわからない食事でも作ってみるか!

がんばれ、自分!


2004年10月05日(火)



 会話のない医療。

 今週土曜日の3時から歯医者の予約をとりました。実に二年ぶりの歯医者。一念発起の決意であります。
 さかのぼること二年前。私、初めて歯医者で気持ちが悪くなったんです。それまで気にしなかったチュイーンって音とか脳髄まで達する振動とか。急に気持ちが悪くなって・・・。困った私は、その後、意識をそらすことにしました。仕事のことを考えたり、心の中で鼻歌を歌ってみたり、羊の数を数えてみたり・・・。で、結果、寝ちまいました。当時、寝不足だったせいもあるんですが、口内に凶器を入れられているにもかかわらず、爆睡。困った歯医者は、今日はこれまでで、と内心の怒りを禁めて笑顔で対応しておりましたっけ。
 それ以来であります。少し歯医者が怖くなりました。またあの恐怖に陥るんじゃないかと、おびえているんです。ですが、ここにきて銀歯が一度に二個とれるという現実に押されて、泣く泣くの通院を決意。果たして、耐えられるのかどうか・・・。いっそのこと、歯医者と談笑できたら良いのに。口を開けてるわけだから無理だけどさ。なんか、手話とかチャットとかで・・・。

2004年10月04日(月)
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