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■ 教養とキャリアアップと巨人の行方
多くの場合、アウトプットしているときは頭を使っていないと考えられる。当たり前かもしれない。インプットしているとき(本を読んだり、人の話を聞いたり、観察したりする)というのは、自分の中で理解する作業が必要なのでCPUも動かざる得ないが、その結果をしゃべるのは、データを印刷するのと同じように別にたいした容量はつかわない。せいぜい、見栄えくらいか?
というわけで、論文を実際に書いている(文字通り、カタカタタイプをしているとき)は音楽を楽しんでいる。内訳は、大体25%ジャズ系、15%クラシック系、15%洋楽ヒット(過去現在)、15%サントラ、15%ネットラジオ、10%邦楽懐メロ、5%その他、のような構成になっていると思う。ジャズ「系」などと、「系」がついているのは、いわゆるビッグバンドとか、スカパンクとか、ジャズオーケストラとか、いろいろ私には境界がわからないのでファジー感をだすためだ。(ビートルズは、洋楽ヒット過去に入るの?それともクラシック?)
ま、節操がなく色々聞いている。そんなときこんな記事に出会った。 外資系金融で20年以上世界中で活躍されている方のブログらしい。(参照:http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/fb24dd1927f54ba618126eb7dd02e5d9) 曰く、政府の「金融士」という資格を創設して、金融の現場で働く人の質を高めるべきだ、という議論に対し、現場は非常に優秀だが、経営陣のアホさ加減が抜きんでているのが日本の金融機関なのだから、必要なのはマネージメントのための「金融機関経営士制度」の設立だ、ということを訴えていらっしゃる。そのための必要最低限の資格として以下のことをあげている。 1.金融工学 2.TOEICも必須にして900点以下の人はだめ。 3.西洋金融史(マックス・ウェーバーあたりからマンデル先生くらいまでね) 4.西洋美術史(この話題ができないとパーティーでは人間扱いされない) 5.クラシック音楽のイントロあてクイズ(オーケストラまであたったら点数は倍) 6.日本史及び日本美術史(必ず聞かれます。答えられないとばか扱い) 7.日本財政(日本でもSWFをなんてばかなことを言わないため)
らしい。重ねて言いますが、私はこの大学で落ちこぼれ中の落ちこぼれなので例外ですが、他の生徒さん達は、未来のエグゼクティブですよ。ま、英語と金融工学は別にしても、このほかのこと、少なくとも20代後半から30代前半の人はなかなか3〜5に精通されている方は少ないんじゃないかと思います。経済でも学術系の院には、いらっしゃるかもしれませんが、MBA系は全然そんな感じじゃない。(MBAの校舎↓)
ということは、卒業して、さらに30代を通して、キャリアアップするにつれて、こうしたことも「勉強」されるんでしょうね。そう、まさに「勉強」ですよ。好きも嫌いもあったものじゃない。エグゼクティブになるのも大変ですね。金融系に勤める方は、会社帰りに銀座を通るたびに、福家書店で、相武紗季の握手会参加券付写真集や、ヤンジャンを買うのを我慢して、山野楽器に向かいクラシックを買い求め、八重洲ブックセンターで上野でやってる美術展をチェックし、関連書籍を購入するわけですか。休日は酒屋でビールを我慢して、ワインを数本買って最適チョイスの勉強と。なるほど。
大変ですなー。
好きなら全く苦じゃないですが、好きじゃなければ苦行ですな。もっといえば、ステータスとして教養が求められるとしたら、なんか、本当に西洋美術が好きな人には失礼かという気もします。
もっといいましょう。本当に好きだとして、そんな素敵な時間が、たまたま自分のキャリアアップにつながっていることを知ってしまった瞬間興は冷めるでしょう。本当に彼女の品の良さに恋していたのに、たまたま結婚したら資産家令嬢だった、みたいな。多少萎える。というわけで、軽いクラシックファンとしては、こういう業界に行きたくないな、と思った、新橋の居酒屋で上司や同僚と、巨人の今年の行方と、『サラリーマンNEO』の原史奈の魅力について語り合って出世の糸口をつかむのとどっちが良いだろう?
でも、確かに彼の言っていることは本当で、この前、NYにいくバスの中で隣になった75歳の元大使婦人の方が延々と4時間話かけてきましたが、オペラに関する造形は非常に深く、「魔笛とか、ずっしり重い感じのモーツァルトのオペラが好きかもしれません」といったら、やれウィーンでみたときだの、ベルリンでみたときだのと延々と知識を披露してくださった。
ま、国際的なエスタブリッシュメントを目指すのは色々大変みたいです。好きであれば好きなりに悩みは尽きないし、嫌いであれば苦行が続くと。
2008年05月09日(金)
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