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なんてことを、考えて買ったわけでもなく、2000年頃に買って、そのまま醸成していた本を、ついに今になって、日々の苦しみの中で何かのよりどころにしようと思って開いた、というわけでもなく。
結局、『ソフィーの世界』を読み終われなかったという挫折感の中、再チャレンジの期待も込めて、とりあえず、“哲学とは何か”という初歩的な疑問の答えを探して、数年ぶりに『POPな哲学』に手を伸ばした。−哲学を身近な話題でダイジェスト−というサブタイトルの通り、主な哲学者の思想の要旨を非常に卑近な例でコンパクトに伝えてくれる。
哲学の入門書なんかを読むと、過去から現代へと哲学者の思索が辿られているので、途中で挫折するせいか、いつもギリシア哲学とか、せいぜい中世までで、いつまでたっても近代が幕開けしない。その点、この本は、非常にPOPで軽い哲学入門書だけれど、現代から過去へとさかのぼっていくので、いつまで経っても辿り着けなかった構造主義とか記号論とかのさわりに触れることができ、それだけで満足。
買ったのは2000年頃。もう今から7年も前。第1刷は1994年発行だから、もう軽く10年以上前の本。それぞれの哲学者の思想を分かりやすく伝えるために、赤名リカやら尾崎豊やらHanakoさんたちが登場する例は古いといえば古い。でも、同じ時代を彼女や彼らと共に生きてきたのだから、懐かしくもあり、今頃、ああ、そうだったのかと、時代のシンボルに今頃やっと共感したりもする。
本も軽いが、私もお手軽なので、自分の置かれている状況については、納得をした。ヤスパースのいうように私は「状況内存在」であり、いまこの自分にはどうにも打開のしようがないと思われる今の状況は「限界状況」であり、私は日々、職場の廊下を歩きながら自分という存在にどんな意味があるのか、どうしてここにいるのか、私は何なのだろう、ここでいったい何ができるのだろうと、いつも非現実感の中、これらの思いが頭の中でぐるぐる回っている。好むと好まざるに関わらず、これが哲学(らしい)。この苦悩がヤスパースのいう「限界状況」らしい。ここまでは理解した。
そして、その解決は「実存的交わり」だという。それもわかる。哲学ではなくても、職場でのこの硬直状況を打開できるものがあるとすれば、それは人間関係の改善・開拓しかないだろうと思う。それは「実存的交わり」という高次元の解決ではないだろうが、人間関係を捨てるか、人間関係に身を投げ込んでそこで活路を見いだすか、大げさだが、そこにしか今の職場でのサバイバルはないだろう。
いずれにしても、もうちょっとヤスパース先生のご意見は聞いてみたい。そんなことを思いつつ、結局買ったのは、デカルト『方法序説』
“我思う、ゆえに我あり。”
そうだといいなあと、思いつつ。まずはデカルトから、哲学を攻めてみる。そして、いつかは『ソフィーの世界』へと。(シィアル)
※『ソフィーの世界』を常に挫折し続けていることが、未だに悔しいと思うことが、またまた悔しかったりしている。
『POPな哲学―哲学を身近な話題でダイジェスト』 著者:鷲田 小彌太 / 出版社:東亜同文書院 (1994/06)
2005年02月04日(金) 『シノダ!チビ竜と魔法の実』
2004年02月04日(水) 『あのころはフリードリヒがいた』
2003年02月04日(火) 『光をはこぶ娘』
2002年02月04日(月) ☆最近読んでいる本
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管理者:お天気猫や
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