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「すべての女性が最も望んでいることは?」 その問いの答えを探さねば、命がない。
騎士ガウェインは、一年間の猶予を、答えを探す旅に費やす。 彼は伝説の王、アーサーの甥で一族の総領だった。 並びなき礼節の騎士と謳われたガウェインを待ち受ける叔母モーガン・ル・フェイがらみの陰謀、イングランドの美しい自然、魔法と運命の恋。 ここには静かな空気とともに、それらがすべて詰まっている。
とりわけ彷徨う旅の途上で描写されている静謐な風光と、出会うべくして出会う人びとの姿は、他の物語にはない光を投げかけている。騎士と愛馬、その犬。
ガウェインと他者との関係、自分との闘い、誰かを信じようとする強さ。 武器を手に戦をするわけでない、一見平和な王国における騎士道精神は、時代的にかの『アイヴァンホー』よりも古い時代の物語なのである。
そしてロマンス。ヒロインの設定は、ハウルのシリーズ第一作にかなりのインスパイアを与えたらしい。それともイギリスではこのような年齢差カップルに伝統があるのだろうか? ちなみにこの物語では王妃グウィネヴィアは良識ある美女として描かれる。というか、モーガンはじめ、他の女性たちが強すぎるのかもしれない。実母も含めて一族の強烈な女たちに操られたくない、と願うガウェインが、どんな女性と恋に落ちるのか、読んでのお楽しみ。
著者のアン・ローレンスは1987年に44歳で他界。本作はガーディアン賞次席にノミネートされている。
すべての女性が求めること、 その答えは確かに納得のゆくものだった。(マーズ)
『五月の鷹』著者:アン・ローレンス / 訳:斎藤倫子 / 出版社:福武書店1992
2005年01月05日(水) 『ナチュラル・ハウスキーピング』
2002年01月05日(土) 『南の島の魔法の話』
2001年01月05日(金) 『ハムレット狂詩曲』
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管理者:お天気猫や
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