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安房直子という名前に、じつは見覚えがなかった。 日本の児童文学界の女王といってもいいほどの 人なのに、体系的に読んでいない私には ときどきそういうロスが起こってしまう。
ながい作品リストを見ると、知っている作品が。 遠い遠い、小学生のころに 確かに読んだことがあるお話。
たとえば、 「はるかぜのたいこ」。 「あめのひのトランペット」。 なんだかとてもなつかしい。 それなのに、内容は忘れている。
『南の島の魔法の話』は、 名前のイメージで選び、ネットで取り寄せた。 12の不思議な短編が収められている。
読み終わると、なんともいえない寂寥感と同時に 万華鏡のような、きらきらとした色の破片を 目のなかに入れてしまったような、 本を閉じた後も、ここではないどこかに 旅をしているような気持ちになった。
少しこわくて、 とりかえしのつかないことが 待っている世界へ。
不思議で不思議で、どうしようもない。 ただ、 作家のひろげたハンカチーフのうえに そっと降り立ってしまったら最後、 私たちも与えられた役割を演じてゆくしかない。
だから、安房直子の本を、 もっともっと探すことからはじめよう。(マーズ)
『南の島の魔法の話』 著者:安房直子 / 挿絵:味戸ケイコ / 出版社:講談社文庫<※絶版>
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管理者:お天気猫や
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