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『エマ』のこともまだ書き足りないのだが、 というよりも、ほとんどストーリーに触れずに終わってしまい、 未読の方には意味不明なことを連ねたと反省しつつ。
そもそもヴィクトリア女王の在位は長かった。 1837年から1901年まで。エリザベス1世(1558-1603)やジョージ3世(1760-1820)をしのぎ、歴代最長である。 1714年から始まったハノーヴァー朝は彼女をもって終焉した。 後を継いだのはエドワード7世。
『赤毛のアン』で知られるモンゴメリ作品にも、ヴィクトリア女王はたびたび登場する。 といってもこちらは肖像画として壁に掛けられていることが多い。
しかし、『エミリーはのぼる』の場合は特別な意味がある。 舞台はカナダ東端のプリンスエドワード島だが、 島民の多くは英国やスコットランドなどからの移民だ。 作家志望のヒロイン、エミリーは、マーガレット・マッキンタイヤおばあさんと いう不思議な貫禄のある女性と知り合い、 「王様におしおきした女」という物語の着想を得る。
移民であるマッキンタイヤおばあさんの語った興味深い物語の「王様」とは、 ヴィクトリア女王の息子、バーティ王子その人だった、という顛末。 バルモラル城での「おしおきの場面」には、 ヴィクトリア女王とアルバート殿下も登場するのだが、 エミリーがマッキンタイヤおばあさんに会う2年前に女王は逝去し、 バーティ王子が即位した、とある。
最近手にした絵本に、『お茶においでになった女王さま』 という作品があって、こちらもヴィクトリアンに関係している。
大判の絵本で、文章もかなり多い。 とある英国の上流家庭のレディが、孫娘に見せるため、 60歳になってから、幼い日々に見聞きした社交生活の様子を描き始めた。 当時女の子だった、自分自身の目と耳と口、そしてハートを再び働かせて。
絵の巧拙よりも、彼女だけが持っている懐かしい記憶をいかに絵にするか、 今の時代には失われてしまった空気の何を伝えるかが重要で、そこには大変な努力があったことだろう。
私たちのだれもが、ある程度の年齢になったとき、やろうとさえすれば 何かの形ではできるだろうけれど、こんな風にやりおおせるものではない。
始まりは、1901年。そう、ヴィクトリア女王が逝去した歳から。
女王さまはずっと長いあいだわが国の守護者でおられましたから、 人々は、もし女王さまがおかくれになったらどんなことになるか、 わからなかったのです。(引用)
(つづく)
(マーズ)
『お茶においでになった女王さま』(絵本)著者(文・絵):ヘレン・ブラッドレイ / 訳:暮らしの手帖翻訳グループ / 出版社:暮らしの手帖社1984
『エミリーはのぼる』著者:L・M・モンゴメリ / 訳:村岡花子 / 出版社:新潮文庫1967
2005年01月13日(木) 『吉を招く「言い伝え」』
2004年01月13日(火) 『神秘島物語』
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管理者:お天気猫や
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