HOME*お天気猫や > 夢の図書館本館 > 夢の図書館新館

夢の図書館新館

お天気猫や

-- 2005年01月13日(木) --

TOP:夢の図書館新館全ての本

『吉を招く「言い伝え」』

以前、新書版の歳時記を買ったらけっこう 仕事にも使えたので、本書も手に取ってすぐ決断。

副題が『縁起と俗信の謎学』となっているように、 日本で古くから信じられたり使われたりしてきた 俗信などの、本来の意味を探りあて、説き明かす。

一つの言い伝えについて、ほとんどは1ページ、 まれに2ページを費やしているが、とても 読みやすいし、共感をおぼえる書き方である。

曰く、「猫を飼う時は年数を決める」 いや、それはできない相談で(笑) じゃあ、「20年でお願いします。それが過ぎたら 出て行って下さい」と? 猫の神秘性が産んだ迷信なのだろうと言われている。 あまり長く生きすぎて、化け猫にならないようにとの 願いも入っているらしいので、周到というか。

一方、ぶどうや藤などは「下がる」から 家の敷地内には植えなかった、というのがあって 思い当たったのが、この正月の門松。 大阪で見かけて、京都の知人も言っていたが、 京阪神では下を向いて弧を描いた柳を 門松に刺すことが多いのだろうか。 紅白の餅花が刺してあれば華やかだろうけれど、それもない。

青竹をナナメに伐って天を突くかのごとき門松の勢いを緩和するというか、 腰砕けにそいでしまうようなバランスではある。 あるいはまたそこには、別の奥深い意味が込められているのだろうか。

まったくもって、日本人であるということは、 これほどにも障りが多く、しかも楽しいことなのだ。 昔から言われていることには、 何にでも意味があるものだとため息をつく。

日本人にとって、名前はその人の外見でなく魂につけるものと されている、などと読むと、いろいろ考えさせられる。 真の名前、「ゲド」シリーズを連想する哲学だが、 果たして私の名前は私の魂につけられたものだろうか。 (マーズ)


『吉を招く「言い伝え」』 著者:岩井宏實 / 出版社:青春出版社2005

2004年01月13日(火) 『神秘島物語』

>> 前の本蔵書一覧 (TOP Page)次の本 <<


ご感想をどうぞ。



Myエンピツ追加

管理者:お天気猫や
お天気猫や
夢図書[ブックトーク] メルマガ[Tea Rose Cafe] 季節[ハロウィーン] [クリスマス]

Copyright (C) otenkinekoya 1998-2006 All rights reserved.