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夢の図書館新館

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-- 2004年03月29日(月) --

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『夜明けのフーガ』

日本では1987年にハーレクイン版で登場した作品の文庫化。

セラピストのディオンヌと、 トラウマで歩けなくなった患者、ブレイクの ラブロマンス。

リンダはトラウマが愛の障害になる男女を 好んで描くが、今回のように犯罪事件抜きで 互いの「愛」だけがテーマ、というのは珍しいかも。

評判のセラピストとして多忙な日々を送るディオンヌは、 休暇先のビーチで、ある患者を診てほしいと依頼される。 休暇を切り上げて乗り込んで行った屋敷には、 かつての栄光が見るかげもなく衰えた 冒険家の青年、ブレイクがいた。 一切を拒絶し、死にかけているブレイクに、 ディオンヌは闘志を燃やす。 ブレイクを歩かせることが、 ディオンヌに与えられた使命となった。

セラピストと患者の擬似恋愛と かけがえのない愛に揺れながら、 患者だったはずのブレイクによって、 ディオンヌはみずからのトラウマを克服してゆく。

ブレイクの妹で兄思いのセリーナの役どころも、 リンダらしい微妙さだ。

先週の『カムフラージュ』から続けて、 最も弱った絶望的な状態の男性主人公が ヒロインによって元気になっていくというストーリー。 『カムフラージュ』では体が、 今回は心と体が、ともに動かない。 ヒロインの側がそういう状態に置かれる話も リンダは描いているのだろうか? まあ、ショックで一時的に喪失状態になるヒロインは 多くて、いつもしっかりと男性にサポートされている のだけれど。 (マーズ)


『夜明けのフーガ』著者:リンダ・ハワード / 訳:野沢まさみ / 出版社:MIRA文庫2004

2003年03月29日(土) 「いちばん美しいクモの巣」
2002年03月29日(金) 『グリーン・ノウのお客さま』
2001年03月29日(木) 『妖都』 

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