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子どものころ、学校の図書館には必ず ドリトル先生の本が何冊かあった。 ただ、なんとなく、記憶には残っていなくて、 読んでないはずはないのだが、改めて読むのは 今回が初めてなのだ。 シリーズが13冊もあるとは、これも改めて驚く。
さて、そのシリーズ第一冊である。 英語では「DOLITTLE」(ドゥリトル)と書くドリトル先生を、 「ドリトル先生」と、おかしみのある親しみやすい名前で 日本中にひろめたのは、訳者の井伏鱒二。 井伏鱒二が訳を担当しているというのは知っていたので、 どんな感じなのかな、と思っていた。 私は、著者のロフティング自身がつけた線画に(少なくてもこの第1巻では) 個人的には親しめないのだが、訳はさすがである。 1920年にアメリカで出版された雰囲気を伝える訳(日本版1951年)でもある。 解説によれば、下訳は石井桃子が行って、それを井伏鱒二が 『あれには骨が折れた。』と難産ながらの名訳に仕上げたという。
それにしても、ドリトル先生が初めてアフリカへ旅する きっかけになったのが、良い人すぎてお金が一銭もなくなって しまったからだとは。 動物たちの知恵がなかったら、妹にも見捨てられた先生は、 そこで終わって(餓死)いたのだろう。 世界で唯一人、動物と話ができるようになったおかげで、 ものすごくスキルのある獣医に転向したドリトル先生。 本来、人間のお医者だったのに、家中に飼っている動物たちを 食べさせるために、ネコ肉屋のすすめで獣医になったのだ。 (ネコ肉屋は、ネコに食べさせる肉を売っている人) 先生は叫ぶ。
「ええい!金のいらぬアフリカへ、早くいってしまいたい!」(/引用)
アフリカで、猿たちの間に蔓延する疫病を治療した ドリトル先生と動物たちは、 黒人の国の王様につかまったり、 海賊船に追いかけられ、ディズニーの海賊映画のごとく船の争奪に 成功したりしながら、故郷のイギリスへと帰ってくる。
もしも、この、ドリトル先生の貧乏エピソードが、 以降の巻のなかでも、冒険のきっかけになるのだとしたら、 貧乏とは、ものすごいチャンスかもしれないし、先生のいうように、 お金なんてどうでもいい、ということかもしれない。 (マーズ)
『ドリトル先生アフリカゆき』 著者・絵:ヒュー・ロフティング / 訳:井伏鱒二 / 出版社:岩波少年文庫(新版)2000
2002年09月12日(木) 『西風のくれた鍵』
2001年09月12日(水) 『R.P.G』
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管理者:お天気猫や
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