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なんだか曖昧なタイトルですが、 実はこれがなかなか内容充実ながら読者を選ぶ。
青ひげ公ジル・ド・レーのお城チフォージュ城、 錬金術工房の残るプラハ城、郵便夫シュヴァルの理想宮、 ジャケ=ドロの自動人形、ノイシュワイシュタイン城、 カルナックの巨石列、フィレンツェの解剖鑞人形、 これらのブツにピンとくる向きには見逃せないですよ、お客さん。
何しろ世界的な文学作品に数々取りあげられ、 我々幻想と怪奇を愛するものたちの憧れの的であるこれらの怪奇物件を、 我らがアラマタ先生がじきじきに出かけて行って 実際に見て歩いて直に触って、おススメするツアーなんですから。
多くは澁澤龍彦氏の華麗な文章によって 日本の読者の幻想を掻き立てたこれらの怪奇物件、 昨今の海外旅行事情で実際に訪れる事も割合簡単になりました。
そこで見かけによらず常にフットワークの軽いアラマタ先生、 高名な観光地は言うに及ばず、なかなか普通の旅行では訪れないような 稀代の詐欺師カリオストロが幽閉された城砦都市サンレオや、 『レ・ミゼラブル』で有名なパリの下水道、 ロンドンの有名幽霊屋敷ツアーなどなど、 いろいろ見逃せないコースも紹介しています。
タイトルの「ファンタジー」は文庫化の際出版社が、 折からの『ハリー・ポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』の ヒットに便乗して無理矢理追加した様です。
いくら荒俣先生が翻訳ファンタジー界でも第一人者だからって 「へー、”賢者の石”って現実に探してたんだ」なんて思う ファンタジー初心者にはちょっと‥‥ディープ過ぎるかと。 特に「苦手」な人は口絵のカラ−写真を見ちゃ駄目ですよ。
いわく因縁ある建築物等はまだいいですが、 出て来る出て来る。 生けるがごとき人形、生けるがごとき死者、 死せる鑞人形、死してなお生ける異形。
「ヨーロッパ人達が身も凍る恐怖を楽しむという、 罪深い文化を生み出した」
罪深いみなさま、いらっしゃい。(ナルシア)
『ヨーロッパ ホラー&ファンタジー・ガイド』 著者:荒俣宏 / 出版社:講談社+α文庫
2001年10月29日(月) 『エスターハージー王子の冒険』
2000年10月29日(日) 『蒲生邸事件』
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管理者:お天気猫や
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