僕らの日常
 mirin



  虚像空間4@琥珀


パラ パラ パラ ッ

白いシーツの上に舞い散る青い空のフィルム
横に置いてあった、紙飛行機がエアコンの風に流れ
押されて、まるで一瞬だけ空を飛んだように見えた

そんな魔法になった気がした。

「センセェ、また撮ってきてな」
「いいけど、写真ばっかり一体どうするんだい?」
「あんな…」
「ん?」
「やー…内緒なん。次センセェ来たときのお楽しみにしぃ」

キシシ...と、おれは笑って不思議がるセンセェを
病室の外に『またね〜』言って追い出した。


青いのは、上に貼って
黒いのは、横に貼る
窓のカーテンは、赤いのを貼り付けて...

人口の空

おれが見れるのは黒いのだけ
だから、身近にするのは黒い色

青いのは見えるだけでいい
本当は、誰も届かんもん
ずっと、遠い遠いところにあって見上げたら

いつもある

壁をこんなにして『おれの空〜』って言ったら皆笑った
いつも見れる人は笑いよる
ここにいるのは今はおれだけで、気持ち一緒のは
誰もいない

いつか、この空を笑わない誰かにも会えるかな?

2005年05月23日(月)



  虚像空間3@宇宙

青い空

赤い夕暮れ

黒い天

白い壁に散りばめられた天のフィルム

黒い写真の中
悪戯に蛍光で描いたポーラースターが輝いていた。

き ら き ら と...

ぴ か ぴ か と...

偽者のきれいな綺羅星

『私達、いつかきっとこの下へ行けるかな?』

青い空の写真をまた一枚と壁に貼り付ける作業を繰り返す
3年も前この世界から姿を消してしまった、
そんな彼女の声が今でもまだ頭の中で木霊している。

病室の閉じられた窓という窓。
黒いカーテンにしっかりと閉じ込められた様な廊下

その先にあるのは静寂な空間だけ

暗い廊下の中、懐中電灯で閉鎖となった病棟を照らして歩く
ざわざわと遠くで響く人の声やナースコール
そんなのを背にして...

向かう先は、あの日ウタが泣いて笑った秘密の扉の裏出口

2005年05月12日(木)
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