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■ 虚像空間2@謡
窓がブラインドウとカーテンに覆われた部屋。
太陽の光は届かない 私達の身体にはただ危険だから
白熱灯の光がぼんやりと部屋の中を照らしている。
「飛びたいなぁ、こう…ぶ〜んて」 「ぶ〜ん?」
真壁センセイが帰った後、私と宇宙は病室へ戻った。 部屋へ入ると、私達と同い年の琥珀が模型の飛行機を 振り回しながらくるくる回っていた。
「そう、飛んだりたいんよ」
どこか、イントネーションの違う口調で話す琥珀を チラリと見て、私は口を挿んだ。
「ウタも飛びたい。ソラは?」 「ぼくは…いいや。今は飛びたくない、かも」 「え〜?面んないよ。んなん」
宇宙は、んー…と暫く考えてから小さく答えた。 それに納得がいかないらしい琥珀が抗議の声を上げる。
「ウタは飛びたいよ。 隙あらばピョーンて脱出するのよ。ね?」 「ねえ」
もう一度、繰り返すとウンウンと琥珀が頷いてくれた。
「危ないよ」
宇宙は、少し慌てるように言った。
「じゃ、ソラは飛ばなきゃいいの。青空はあんなに 素敵なの、一回見たくらいで罰なんか当たらないわよ」
頬を膨らましてそっぽを向いた私にはその後の泣きそうな 宇宙の表情なんか見えなかった。
2005年04月28日(木)
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