(SleepWalking)



さむかぜよるに
 
響くボールの音に
気付かない振りをして
走るあなたの背中を
見ていない振りをして
他の誰かに
見惚れた振りをして

ほんとうは走っているあなたが
誰よりもすきだった
走ることが好きなあなたが
誰よりもすきだった

2005年02月27日(日)


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電子音
 
ただひとこと告げればよかったものを
いわずに先延ばしにしていた
あなたとのつながりがなくなるのが
こわかっただけだ
あなたにふられてしまうのが
こわかっただけだ
後悔なんてものをしらないで
ずっと見つめられるとしんじていた
着信音がなって
電子音がげんじつを告げる
わたしがあなたに告げるまえに
温度のないつめたいおとで
あなたとはもう会えないのだと
好きだといっていたからえらんだ青いランプを
これほどにくんだ日はなかった
期待はいつも
はかないものだ
どこまでも
叶えられないものだ

2005年02月26日(土)


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紫外線
 
知っているはずだ
ここにはこないと
なのに振り返ってしまう
おろかさ
白を突き破って
うすくうすく焼き尽くす
激情はいったい
なんのために

2005年02月22日(火)


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さくらいろ
 
けれどもわたしは決して
しあわせなひとを受け入れられない
わけでは、ないのです
ほんの小さなことでもうれしいといえる
優しいひとたちを見ていると
本気でわたしもうれしいと感じるのです
たとえそれがわたしと
直接の関係がないとしても
おめでとうと言いたく、なるのです
桜色に染まった頬を思い描きながら
誰も知らない遠くから、あなたへ
おめでとう
どうか
どうか、幸せでいっぱいに、なってください

2005年02月21日(月)


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一瞬だけ
 
思い出してばかだなぁ、と苦笑してしまう
その程度のコイゴコロだ
悟られずに見つめているのは
たださびしくなっていくことと知っているから
不意の隙を突いた
一瞬だけ誰も交えずに
そこに引き止めた
愚かな決断だ
少しずつ歩き出すために
普段と同じに笑っていた姿に
普段と同じに笑いかけられただろうかと
思い出してふと顔が緩む
この浅はかさが
どうか無駄になりませんように

2005年02月19日(土)


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曇り空
 
薄く笑っていたあのひとがいま
どこにいるのかなど
私が知っているわけがない
もしかしたら
死んだのかもしれないし
借金取りから逃げているのかもしれないし
すてきな女性と結婚したのかもしれない
ただ
わたしはそれを知らない
それだけのこと

白く潤んだ天井に
かける言葉などひとつもない
願わくばカミサマ
あのひとを
空に吊り上げることは

2005年02月18日(金)


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寝惚け眼
 
母が出掛けてくるわよといった
もうそんな時間なのかと思った
なのにちっとも動かない
怠け者なこの体
あぁ
なんて太陽は眩しく光るのかしら
理由なんてただひとつ
もう高みに乗りかけているから
愚問だ
あのひとが隣に寝ていた朝を思い出す
ひとが考え付くような
陳腐な疚しさなんてどこにも無い
きれいな朝だった
体温とベッド以外なにも共有しない
柔らかな夜を越えて
アイを語るのに快楽が必要だなんて
言い出したのはどこの馬鹿か
そんな簡単なアイなんて
欲しくない
言葉にできるアイなんて
明日にも消えてしまいそうだ
気が付いたら猫が寝ていた
あのひとは猫だったのか
騙されていないと信じて
明後日の夜にまたでかけよう
同じモノなんて二度と
転がってはいないと知っているから

2005年02月11日(金)


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告白
 
もうすっとぼける自信も無い

仕方ないから認めるよ

あたし、あなたが、すきよ。

2005年02月10日(木)


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白のスケジュール
 
なにも書き込む予定が無い
寒々とした手帳の隅に
ふと思い出した
あなたの誕生日
祝えもしないくせにそっと、書き込んでみる
あなたがひとつ年をおうごとに
どうかはなされていきませんように
ずっとずっとその隣で
横顔に笑いかけられる日が
いつか来ますように
冷たい白の紙は
暖かな夢を描くための場所だ

2005年02月06日(日)


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かぜが
 
強く強く
吹き荒れていた
今日の風があたしを
どこかに吹き飛ばしていった

こころのどこかは空っ風

穴をあけていく
脆いところを突き刺して
冷たい槍を残している
あたしと同じ様に

優しさなんて言い訳だ
そんなの嘘に決まってる
だって同じほうほうで
あたしはあなたを傷つけた

いつだったか忘れたが
たしかあの日も強風だった
からっぽになったあたしを
風は冷たく凍らせた

明日春が来ればいい

2005年02月03日(木)


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