(SleepWalking)
朝焼けを
北風の吹き荒れるふるさとだ わたしの生きている場所は 壁に守られた都などではない なにも遮らずに立ち尽くしている 長く落ちた影などだ 風に流され吹き飛ばされて 影はいつのまにかひかりへと きらきらと飛んでいる烏の 黒い羽が舞い落ちる そんなふるさとにも 同じように朝は来る こんな帰り道に朝焼けを見る 君も連れてくれば良かったな わたしのたいせつなひとですと この土に紹介したい
2004年12月28日(火)
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小心者
なるほど
恨むべきは自分の
思い切りの悪さなのだ
2004年12月21日(火)
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暖冬
どこがいつもと比べてあったかいって言うのよ
ビルで封鎖されたトウキョウから出てくれば
やっぱり冬は寒い
ひとが冷たいから平均気温は同じだけど
2004年12月18日(土)
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はと
喉を唸らせている大きな鳥の 羽の下には小さな虫がごっそりと つやつやした海の 底にはフナムシがぎっしりと 気味の悪い骸骨の上には 腐った肉がどっさりと 蠢いては生きている それが人間なのだと 幸せはどこからくるのか 一体何から与えられるのか 青い鳥でも 四葉のクローバーでも 左手のピンキーリングでもなく ただ象徴しているはと 掌に載せて八つ裂きにして 炒めて食べてしまおうか そうしたら 幸せで腹がいっぱいだ いっぱいだ
2004年12月16日(木)
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オリオン
何が正しくて 何を欲しがっていて 何に縋っているのか
見えない夜に冷たい空を仰ぐ もう誰も居ない空だ
氷の浮かぶ雲の中を ふらふらと泳いで見る 小さな魚の群れはもう 鯨に食べられてしまったよ プランクトンは死んだんだ
見つめても誰とも見詰め合えないから 呟いてみよう オリオン 天に昇ったお前は果たして 今も蠍から逃げているのだろうか その術をわたしに 与えてはくれまいか
2004年12月14日(火)
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北風
視線の先に白く息が見えることを祈っている 見えたらきっと生きているのだろう ちいさなちいさな生き物も 指先で一瞬に消してしまえるような たいせつなものも
風の吹いてくるほうに向かってゆるく おれんじいろに微笑んだ男を思い出す 無駄な時間を使うのはいいことだ 白紙の手帳を埋めるには なにも文字に潰れたスケジュールが 有意義な人生を示すわけではあるまい たとえば男との約束を のうみそのどこかに隠していたように
無理矢理に抱き寄せて奪い取ったのは そんな陳腐なものではない ただの絶望だ 奪い取ったつもりで本当は その根は深くなるばかりだったけれど 気付かないのがこのお気楽な頭 あからさまな言葉こそがアイであると 信じていた幼稚な大人
落ちてきた雨を掌に集めて 暖めたら撒き散らしてしまおう 意味のない行動に惚れこむように からっぽのこころはどこかに飛んでいって 北風に向かって息を吐き出す 星が綺麗だ
2004年12月13日(月)
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銀杏
風が吹いてたから実が全部落ちたんだって 踏みつけられて悪臭を 雨に晒した無数の銀杏
そういえば散歩道に 散らばっていたのは銀杏の葉ではなかった あの時既に かさかさと死んでいたものは
蹴り飛ばして宙に舞った こころも同じ様に 風に吹かれてふわりふわり 流されているだけの 臆病者は消えるほかないという
思い出してもひとつもいいことはないから 臭いに煽られて吐き出してしまおう ただ置き去りにされた思い出を 卑怯者の忘れ物を
2004年12月12日(日)
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歌う意味など
結局あなただって無理だったじゃない
あたしのために歌って なんて 言うんじゃなかった あなたのこえは もうあたしのものじゃないのに
意味なんかもう 何処にもない あたしが歌う意味なんか あなたがいないのに
死んでるって知ってれば救われたのよ あたしだって あなたが死んでるって知ってれば それ以上なにも 今求めていないだろう 知らずにずっと探していた 愚か者のあたし
死んで空から笑うがいいわ あたしはそこに投げつけてやる さらさらのうた あなたの姿などどこにもないうたを 忘れて捨ててやるの 全ての姿を
うそつき
2004年12月10日(金)
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冷たい手
ただ呼吸をするだけで真っ白く世界が変わる あなたがいるところはここより暖かいのだろう あのこがそういっているのだから間違いない
こんなに近くて こんなに遠い遠い 関係に意味なんてないんでしょう 欲しいのはただ
夢に見るほど強く 知りもしないで憧れているのよ馬鹿みたいに あなたが今どうやって生きてるのか 想像もつかないけど 帰ってきたときにはきっと とってもおおきくなっているんだろう
もう繋げなくなった手をもてあまして 風と握手をするばかり 明日も笑っていられますように 見知らぬ青い空までも
2004年12月01日(水)
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