(SleepWalking)



はやおき
 
ねこが なぁ、 と鳴いて
鳥の羽が飛び散る音がした
ちいさなあさに
あたたかなミルクをいっしょに
飲みませんか
おそい太陽の目覚めをながめながら

2004年11月26日(金)


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ひだまり
 
おちてしまってもかまわないよ
と、あなたがいうから
あたしはおかまいなしにおちた

どこかふかいところ

あたたかいぎゅうにゅうに
めをさます
ここは
あなたのゆめのなか

ゆるくたいようがひかる
ねつはどこにもない
やくそくなんてしたおぼえはない
ただあなたがそこにいる

うきあがってそらをみおろす
そんなところにもとめるものなんて

2004年11月24日(水)


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今更
 
こんなこといっても無意味だって解ってるから
あえて言ってみる

あなたのこと
だいすきだったのよ
どこのだれよりも
あのときたいせつだったのは
まぎれもない
あなた

だけど
それじゃあなたを傷つけるから

巣立てるように
気丈なふりをしている
不器用だと知っていながら

2004年11月22日(月)


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朝日
 
見ていられなかったのは
あたしが弱いからよ
あなたのせいじゃない
どうしてもそのいらだちを
かくせなかっただけ

あたしは
こんなちいさなことにも耐えられない

どうにかして
どうにかして
この距離を
縮めなくては

朝日に笑ったあなたの左腕に
縋ることさえできない

2004年11月21日(日)


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独占欲
 
正直な話わたしは今まで
たとえ誰かと付き合っていても、
そのひとを所有しておきたいとは思わなかった
だって面倒くさいんだもの
「あなた」がいなくたって実はわたし
普通に生きていけるって知ってたから

わたしの「すき」はその程度
傷つけても傷つかないように
慎重に割り出した距離で
優しく突き放し続けた
そんなに大切じゃないのよ恋なんか
ただの気の迷いなんだから
思い込んだら一直線
気付いたら風邪も治って
手を握ってた「あなた」を
傷つけた

だけど
そんなわたしがどうしたことか
あなたを所有したくて仕方ない
太平洋に幽閉されたクマノミみたいに
自由に束縛してあげるから
どうか
わたしのものに、なってください

2004年11月18日(木)


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声に
 
動きを追っているだけの目は
結局何の役にも立たない
今日みたいな位置では
だから
精一杯の悪足掻き
「おつかれさまでした」って
笑顔で言うの
ありえないけど
わたしの動作があなたに
ちいさくてもいい
傷を残せたら良いのに

2004年11月16日(火)


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パーソナルスペース
 
そういえば
指先を観察するのは惚れた証拠なんだった
単純なわたしの
思いがけず入り込んだ近距離に
あなたの左手を見る
何も言わずに
いつもみたいに
くしゃっと顔をほころばせているんだろう
そんな後ろ姿

2004年11月14日(日)


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瞬き
 
そのくちがいつか
愛してる
などと
つまらない言葉を吐いたことがあったのだろうか

うっすら考えて
けれどこの先いつか
このひとの唇からアイを囁かれるような
きれいなひとがあらわれるに違いない

思いなおす
そんなことがきっとおきるのだろう
わたしの知らない場所で

まばたきの一瞬に掻き消されてしまう
かすかな笑顔を
誰かが一生所有するのだ
秘密の花園で
かすかな笑顔を大切に大切に
暖かな糧として

そこにわたしの存在はないだろう
このひとはきっと
選ぶひとを間違えないだろうから
いつかしあわせになれるように
ここから見守っていることにします
鈍感そうなその顔に
もっと笑顔がともりますように
そう
ねがうことにしたのです

2004年11月13日(土)


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小一時間
 
ただの偶然だと知って喜んでいられるような
そんなことばかりで世の中
埋め尽くされてるわけない
一瞬を一瞬で裏切るなにかの存在に
怯えて生きてるだけ
だってそんなこと
あなた知りもしないでしょう

笑っていてくれたらいい
あなたが幸せならそれで
聞き分けよくなんかなれないくせに

こっそりと伺う
なんだかストーカーみたいで気分が悪い
だけどそれしか今
方法がないから
暫くの間背中を見ているだけ
足りなくなることくらい
知っていた

悪あがきのひとつもできないのに
むくれることも許されずにいるのよ
なにか方法があるなら教えて
ほんのすこしだけしあわせになるための

2004年11月06日(土)


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無風状態
 
届かないと知っていて手を伸ばすほど
あたしは愚かじゃない

お姫様は信じていたのに
結局世間知らずだったのね
当たり前よ彼女ったら
生まれてこのかた、
お城の外になんか出たことが無いの
それに
ここ5年間はあの塔に閉じ込められているんだって

(どうやら母親を殺したらしい)

ばかねぇ
あの綺麗なお姫様は
届くと思って鳥に手を伸ばしたの
窓から体を乗り出して
そして
落ちた
白い肌に白いドレスで
飾りの薔薇は真っ赤に燃える
ただのいちにち
お姫様は
あっという間に消えてしまった
かさかさと物音

(風が吹かなかったのならそれは鼠)

2004年11月05日(金)


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