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■ 心臓のなりたちの真実(妄想)
もともと心臓というのは、一つの風船、筒のようなもので、それがねじれてねじれて4つの心室・心房と、大血管につながるようにできていく。 だがそのねじれる段階で、ちょっと位置がずれてたりすると、動脈血と静脈血が混ざり合ったりして、身体の酸素が低くなって死にそうになることがある。 もしくは、本来肺に流れる血の量が、混ざり合うことにより増えすぎて、 死にそうなったりすることがある。 ほかにもいろいろ。
************* (-まだ生まれる前の赤ちゃん 心臓の設計中-)
まじめ「このさぁ、角度が難しいんだよな。どうやったらうまいこと、この血管がねじれてこの心室につながってくれるかな」
ふまじめ「もうお前さっきからそればっかじゃねーか、ちょっとぐれぇズレててもよくね? この袋はきれいに出来てるんだからさぁ」
まじめ「ダメだよ!上からキツく、設計図どおりにねじらせろって言われてるんだから」
ふまじめ「ぶっちゃけこんなん1mmズレたところでさぁ、ついてるトコに大体血管とかがついてればよくね? 左と右の間にも、心臓のなかで仕切りがありゃいいんだろ?」
まじめ「バッカお前、仕切りに隙間や穴ができたらダメだからこんなに苦労してるんだろーが」
ふまじめ「じゃお前、設計どおりに作らなかったらどうなるんだよ」
まじめ「いや…、それは、よくわからないけど… だってそんな不良品わざわざ作ろうとして作ったことないし…」
ふまじめ「だからさ、なんとなく包み込むようにまるく心臓つくっときゃ大丈夫だろ。心臓の外側に穴があいてるわけじゃねーんだから」
まじめ「それじゃお前、ほかの臓器担当部署のやつらとかもそんなふうに作ってるってこと?」
ふまじめ「そうなんじゃね? 胃とか簡単そうじゃね? ただの袋みたいなもんだし」
まじめ「えー、でもあいつらも、胃も腸も食道も、口から肛門までつながってるから結局たいへんって言ってたぜ。セクションによって酸が強かったり菌が棲んでたりで、環境も違うし結構過酷だって愚痴言ってたもん」
ふまじめ「とにかくさ、作っちまえば皮膚や骨のやつらみたいに奇形がすぐわかるもんでもないし、何とかなるんじゃね?」
まじめ「もーお前黙れよ、今ホント大変なんだから……ああっ!! ほらあーー!! 大動脈血管とかのつく位置ちょっと右にズレちゃったじゃんかあ!!」
ふまじめ「ほんとだね。ちょっとヨレちゃったね。なんか右と左の心臓の間にちょっと穴もあるけど、でも大体こんな形でしょ。大丈夫じゃね? 心臓の形にしちゃ95%はカンペキじゃね?」
まじめ「0か100なんだから、95%なんて全然カンペキじゃねぇよ!! どーすんだこれあぁあ…作り直しきかないのに…」
ふまじめ「イヤでもこれ案外さ、大丈夫だと思うけどなあ… もうだってこれ提出するしかないじゃん」
ふまじめが、スケジュール表を指差す。心臓製作工程の終わりは確実に間近であり、これが終わらないと次の工程に移れない。 基本的に出荷日を伸ばせないルールだし、もしかしたら顧客のニーズのために早めに出荷…もとい、出産させられるかもしれないのだ。
まじめは、うなだれた。もうこれで提出するしかなかった。
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医師「ファロー四徴症ですね」
ねじれかたが変だったために、本来酸素の豊富な動脈血を全身に送る左心室だけにくっついていなければならなかった大動脈は、ふるくて酸素のない血が入っている右心室にまで寄ってくっついて、きれいな血もきたない血も全身に流れるようになってしまった。
更に、ねじれくっつき方がズレていたために、右心室と左心室の間の仕切りもズレてしまった。本来筋肉のうすい右心室には、筋肉が厚くてつよい左心室からたくさんすぎる血が流れてきて、右心室は大きくなるし左心室は小さいため、本来の動きがうまくできない。
勝手に寄ってくっついてしまっている大動脈に押されて、右心室から肺につながる肺動脈は狭くなってしまった。うまく成長できなかった肺動脈の中を、古い血も新しい血もきゅうきゅうに通って、でもあまり流れられない(+ふるい血も身体を流れる)ので全身は紫がかった酸素の低いかんじになってしまった。
医師「今後、このせまい肺動脈が、お子さんが泣いたりするのを契機に一瞬ちぢこまってしまって、肺に血が流れなくなって発作を起こし致死的な結果をもたらす危険性があります。チアノーゼも強いですし…」
結局、手術になってしまった。
まじめ「やっぱり、だめだったじゃねーかー!!」
2010年04月27日(火)
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