るり子の日録【愛が終わる日】
るり子の日録【愛が終わる日】
るり子



 薄情だったその日の私

飛行機で帰れば早いものを

わざわざ新幹線をチョイスして

しかも東京駅で途中下車して





10ヶ月ぶりに 私に逢いに来た人がいました。







たかだか

私とお茶するためだけに 二時間強の時間を捻出した人。

そんな価値は、

今の私と その人の間には

既に

ないのに。







徒労を・・・・・・・・、

そんな徒労をしたら

在来線の乗り継ぎがその先に待っている

その人の帰宅は

当然、

零時過ぎるのは明白なことで。






私を抱く訳でもない、KISSする訳でもない、

手だって取らないし、腕を組んだりもしない。

何が楽しくて、その人はわざわざ途中下車をしたのだろうと思う程

淡々とした関係になった、






かつての私の恋人だった人。







今日彼が

「おまえが会った、かつての恋人って誰よ。」

と、私に聞きました。





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時間を人に分け与えるという行為が、

有限な人生において 尤も貴重な事だと

そう認識しているから。





その大切な時間をわざわざ私のためだけに割いた

相手のその行為に





最大限の敬意と尊重を表わし






私は

かつての恋人と逢いました。








今回彼は言いました。








「別にお茶を飲むくらい、何ていうことはないさ。

しかし、俺にいちいち言わなくていいことだ。」








誰だって、独占欲はあるし

嫉妬だってする。

好きな人がらみなら、当然のこと。

でも彼は、

以前のように落胆することなく、笑って流してくれる。







それは、

私の気持ちが彼に正しく伝わっている証拠でもあり、

また

信頼が確かな形として私たちの間に育っているから。






あんなに恋焦がれていたのがまるで嘘のように

自分でも知らぬ間に

かつて愛し合った筈の人を忘却していた。





楽しげに笑いながら過ごしてはいたけれど、

彼の傍らに飛んでいけたらと

ずっとその間、思っていた







正直なほど薄情だったその日の私。




BBS

2002年12月21日(土)
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