るり子の日録【愛が終わる日】
るり子
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彼の落胆
元彼が
新橋で逢いたいと
突然私に連絡をしてきたのは、
元彼との辛い別れから、
ほぼ八ヶ月程たったある日の事でした。
ただ夜の街を腕を組んで歩いて
一緒にお食事をした
それだけのことで
「久しぶりに逢えて楽しかったよ。夢のような日だった。また機会があったらいいな。」
そう、元彼は言いました。
愛とか恋という以前に
仕事抜きで、
純粋にプライベートなひと時を持つことがほとんど出来ないほど
元彼は、
低迷している日本経済と熾烈な企業間競争、
外国企業の安価な労働力による追い上げ、
度重なるトップからのリストラ要請(元彼は、切る側なのです)
などの苦悩の中に
未だ、立たされているようでした。
昔の女と歩くだけの
さりげない日常が
夢のような時間になる。
なんて過酷な元彼の企業戦士としての人生でしょう。
私はその話を現在の彼に、
ホテルのダブルベッドの脇で告げました。
ホテルは、東京駅から
八重洲を通って歌舞伎座方向にある
シティーホテルでした。
この日は
待ち合わせの予定が、二時間ほど彼の都合で延びて
午後3時になってしまったり、
たまたま東京駅に
ご婦人の団体客がいて、
私が彼の腕をとろうとしたとき
彼がさりげなく
その私の腕を振りほどいたりしたのも、
私の気持ちをささくれ立ったものにしていました。
前日彼は、
「君のお誕生日用に、お祝いのケーキを買ってあげるよ。」
そういっていたのに
忘れているような彼の素振りも
私には不満でした。
ふまん顔いっぱいの
私のパンプスのヒールは7cm。
組んでいない私たちの腕と、
先に歩いていきがちな彼の歩幅で
私は
かみ合わないこの日の二人の気持ちを感じていました。
彼は
完全に私を自分の手中に収めたと
そう思い始めていたのでしょう。
それでもわたし達は、
小さな暖かいウエディングセレモニーの余韻が残る
このホテルのメインダイニングで、
楽しいフレンチディナーを取りました。
15時にチェックインした時計は
既に19時をまわっています。
彼の帰宅時間から、
二人で過ごせる残り時を私は逆算し始めました。
あと四時間あまりしかありません。
そういうタイミングで、
私は元彼と昨日逢った事を伝えてしまったのです。
「元彼に自分の気持ちがない事を、確かめたくて逢いに行ったの。」
と。
だまって私の話を聞いていた彼は
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彼の落胆と、静かで強い怒りが
私の胸にささります。
そんなことにならないという確信が欲しくて行ったと
そういう私の言葉は
彼には詭弁に感じられたことでしょう。
頭を抱えて
ソファーに座っている彼の
その右側で
私は自分を悔いていました。
「るり。ベッドに行きな。」
失意の中で
彼は私を抱きました。
携 帯 電 話
I
ねぇねぇ、もうじき貴方のお誕生日だから、私に何か買ってちょうだい。
He
この陽気で、頭にカビが生えたの?お誕生日なのは僕!(笑)
I
うん知ってる、今やってる物件のカラーコピーとパースの写真と、綺麗なハンカチでいいよ。(笑)
He
なんちゅうヤツ、そこまでリクエストするとは(笑)。でも、ハンカチくらいなら買ってあげるよ。
I
ちゃうねん、やっぱりお揃いのケータイストラップがいいねん。。
わがままついでに、「ここ数日の感情のすれ違いをソレで許してあげるね。」と、筋違いの極地を地で言ってみました。「なんか違うけど、まぁいいかぁ。ストラップは、適当に見繕って買っておいてあげるよ(笑)。」と、鷹揚な彼です。
BBS
2002年07月14日(日)
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