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■ るり子、京都に行こうか。
「るり子、京都に行こうか。」
「えっ、ほんと?ほんとに行けるの?」
初夏を感じさせる五月のある日、彼が私にそういいました。
「るり子は、いつがいいの?」
「四週目の土曜日。」
四月のあの妊娠騒ぎがあってから彼はずっと多忙で、
私たちはなかなか逢う機会をもてませんでした。
気持ちは全然ひけていないけれど、
男として迂闊だったと、深く反省していると、
その後彼はしきりに言いました。
辛い思いをさせたし、いろいろ自分も考えた、とも言っていました。
やはりホッとしたのです。
産ませる、産ませない
彼にしてみれば、どちらの選択枝を選んだとしても、
当然心に痛みはきたはずで、
もし産ませるという選択をした場合の、
環境の摩擦も当然想像したでしょう。
簡単に言ってしまえば、修羅場ということです。
私は私で、連休前に病院に行って、
事の全てを完結させなければならないと、
私なりの実際のシュミレーションをしていました。
純粋に、
どんな顔をした子が出来ているのか
その子を、腕に包んで抱いてみたい気もしたのですが、
その10倍くらいの感情で、苦悩もしていました。
産むなら彼と一生寄り添って暮らしたい
それが叶わないなら
いえ、望んではいけないのですから
やはり作ってはいけないのです。
ただ一つの例外を除いては。
それは彼ら夫婦が、私のあずかり知らぬ別のファクターで離婚を決意した時です。
「6月29日かぁ、遠いなぁ。5月25日はどう?」
「うん、いいよ。」
「よし、じゃぁ、それに決定だ。っと、それってもう五日後じゃん。(笑)」
「るり子、ネットでラブホを探しておきな。」
私は検索が苦手です。
京都に土地鑑がある私にその役目が廻ってきたのですが、
結局、チャットをしながら、二人でウェブサイトをあれこれチェックしました。
彼は、互いの気持ちが寄り添えば、
どちらからともなく互いの肌のぬくもりを欲するようになると
そういっていましたが、
抱かれたいという気持ちは
彼に対してだけ生じます。
私には呼べばかなりの確率で、何をおいてもきてくれる人がいます。
三年前はその人と、恋愛関係にありました。
肌のぬくもりが無性に欲しい時があります。
でも、
セフレという概念は全くなく
私が彼を好きでいる限り、
私は彼だけを欲し、そして受け入れ続けるでしょう。
当然の事です。
私にそんな権利はありません。
「哲学の道を散策して銀閣寺に行き、先斗町あたりで、るり子を抱こうかな。」
めまいがしそうなプランです。
携 帯 電 話 | I | 一緒に、温泉行ってる夢見たの。いきたぃー。 | He | 温泉ねぇ、秋くらいにいけたらいいね。 | I | わぉ!秋ぃ〜?何年後の秋でも嬉しい。 | He | 今年の秋だよ。(笑) | I | 行ける日を励みに、頑張るよ。(笑) |
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温泉で擬似夫婦として、彼と共に生きる一生分のシュミレーションがしてみたい。思い込みが、勝ちすぎているでしょうか。 今日の彼の声は、愛情に満ちています。 BBS
2002年07月01日(月)
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