|
|
■■■
■■
■ JR駅そばのラブホテル
銀座にある、フロアーがゆっくり回転するレストランで夕食を共にとった日のことです。
私たちは、ガラス質の壁面が美しく煌く、某JR駅そばのラブホテルにいきました。
私は彼にいだかれるようにして、そのホテルの一室に入ったのです。
最上階の一室をチョイスし、その部屋の入り口のドアをあけると彼は、
まるでそこが自分の家のようになれた手つきで、自分のコートをハンガーにかけました。
その自然な振る舞いに、何か隠された意図のようなものを私は感じました。
私の疑問は、すぐに氷解しました。
だからホテル入り口の隠しカメラも彼には解っていたし、部屋の間取りも全て知っていたのです。
それは、そのホテルで何か事件が起こった場合、
ビデオテープをチェックされることで、たやすく彼と私の情事が露見するということでもありました。
そんな危険をはらみつつ、抱かれる。
私はとてもエロチックな感情をそこに見出していました。
またそんな危険を冒してまで私をそのホテルに連れてきた彼の感情の内側を、私は嬉しいものとして受け取ったのです。
キスから始まる彼の愛撫は、とても優しく、時に激しく、彼の長い指が私に滑り込みます。
私の中で、彼の指はとても饒舌です。
その彼の指はまた、美しい建物のパース(完成予想の水彩画)を描く手でもあるのです。
「るりちゃん、自分の好きなように、俺の上で動いてごらん。」
彼に言われるまま従います。
「るり。るり子は、俺が抜けるか抜けないかの際で愛されるのも好きなんだね。」
彼は、なんて私をよく理解するのでしょう。
「るり子、俺は、おまえのものだよ、るり子。」
私を口説こうと思った半年前から、彼は妻を抱いていないといいます。
商業ビルを得意とする彼に、ある日私は言ってみました。
「ねぇ、私と貴方の、二人だけのお家のラフスケッチかパースが欲しいの。」
彼は
「おぃおぃ、俺を一時間拘束したら四〜五万はかかるんだぜ。(笑)」
そう言いながらも、ひと月ほどたったある日、コテージ風のスケッチを持ってきてくれました。
「本当のお家みたい。」
私がそう言うと
「ほんとうに建つよ。これを工務店に持っていけばね。」
と、彼はいいました。
でもこれを私たちが工務店にもっていく日は、おそらく一生こないでしょう。
携 帯 電 話 | I | 腰を痛めたんだって? | He | 今日の午後、病院に行って来るよ。 | I | 診察の結果を私に一番に教えてね。(笑) | He | あのさぁ、入試の結果じゃないんだから。(笑) | I | だって、それくらいは一番でありたいんだもん。 |
|
このくらいは言えるのです。 彼のなかの「女に対する愛情」というパートの殆どを占めているのは、少なくとも今は私だという事を、私自身が知っているから。 いつまで続くかわからない、儚く危うい一番です。
BBS
2002年06月25日(火)
|
|
|